• ブランド
    特設サイト
公開日 2018/02/21 10:12

オーディオテクニカの旗艦ヘッドホン「ATH-ADX5000」レビュー。ハイエンドアンプ5機種と組み合わせテスト

同社技術を結集した最上位機の実力を検証
山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
オーディオテクニカが開放型ヘッドホンのフラグシップとして投入したATH-ADX5000は、素材と構造の吟味を重ねる本質的アプローチで基本性能の底上げを図った製品として強い関心を集めている。筆者も何度か試聴の機会があったが、そのときどきで新しい発見があり、潜在能力を秘めた奥の深いヘッドホンであることを思い知らされた。

ATH-ADX5000(予想実売価格¥238,000前後)

あるときはモニターヘッドホンのような精度の高いサウンドで演奏の細部を克明に描き出し、また別の曲ではエモーショナルな表情をたたえた密度の高い音で聴き手を虜にする。表現の幅の広さ、そして音色を描き分けるパレットの大きさは半端ではない。その秘めたるポテンシャルをどこまで引き出せるのかを知るために、フラグシップ級ヘッドホンアンプを集結。ATH-ADX5000から究極の音を引き出すのはどのアンプなのか、検証を進めていこう。組み合わせたヘッドホンアンプは以下の5機種だ。

・LUXMAN「P-750u」 ¥300,000(税抜)

ラックスマン「P-750u」(¥300,000/税抜)

・OJI Special「BDI-DC44B G-Tuned」 ¥958,000(税抜)

OJI Special「BDI-DC44B G-Tuned」(¥958,000/税抜)

・Questyle「CMA800R-G/LTD」 ¥OPEN(予想実売価格359,800円前後)/1台
 ※バランス駆動は、同機をモノラルフルバランスモードで2台用いて再生

Questyle「CMA800R-G/LTD」(予想実売価格¥359,800前後/1台)

・Goldmund「Telos Headphone Amplifier THA2」¥1,980,000(税抜)
 ※本機のみUSB-DACを内蔵。試聴も本機のUSB入力を用いた

Goldmund「Telos Headphone Amplifier THA2」(¥1,980,000/税抜)

・OCTAVE「V16 Single Ended」¥1,200,000(税抜)
 ※専用強化電源「Black Box」(¥163,000円/税抜を使用)

写真奥がOCTAVE「V16 Single Ended」(¥1,200,000/税抜)。手前は専用電源「Black Box」

用意した5台のヘッドホンアンプはいずれも国内と海外の名門ブランドを代表する製品で、ヘッドホンアンプとしては異例の高価格モデルも含まれる。価格に制約を設けなかったので、現実的とは言いにくい高価格システムになってしまうケースもあるが、ATH-ADX5000の真価を見きわめることが目的なのでご容赦いただきたい。同様の理由からヘッドホンアンプ側の条件もあえて揃えず、各機がその性能を発揮できる条件を選択して試聴した。なお、トランスポートにはfidata「HFAS1-S10」、USB-DACにはCHORD「DAVE」をそれぞれ使用した。

リファレンスのUSB-DACとして用いたCHORD「DAVE」(¥1,500,000 /税抜)

また、今回はATH-ADX5000の性能を最大限に引き出すために、バランス出力に対応したヘッドホンアンプについては、オーディオテクニカ純正のA2DCコネクター搭載バランスケーブル「AT-B1XA/3.0」を用意し、バランス駆動も試した。

XLR 4pin端子を備えた専用バランスケーブル「AT-B1XA/3.0」(予想実売価格¥40,000前後)

アンプをラックの上段に設置し、次々と入れ替える形式で聴取した


<組み合わせ1>LUXMAN「P-750u」
ATH-ADX5000から力強い低音を引き出す。立ち上がりが鋭いが付帯音は皆無

最初にラックスマン「P-750u」との組み合わせを聴く。「P-700u」の後継として登場した同社のフラグシップ機で、高精度な音量調整回路の「LECUA」を従来モデルから継承。フルバランス構成のアンプ回路は最新世代の「ODNF4.0」に更新され、電源回路も強化された。

ラックスマン P-750uとATH-ADX5000

バランス接続時はもちろんのこと、アンバランス接続時にもS/Nを大幅に改善している点も見逃せない。4pinのXLR出力を新設したので、別売バランスケーブルがそのまま使えるメリットも大きい。

P-700uもそうだが、ラックスマンの最上位モデルで駆動すると、ヘッドホン再生らしからぬスケールの大きさと安定した低重心の周波数バランスをもたらし、安心して音楽に浸ることができる。P-750uはその安定感がさらに向上した印象で、ATH-ADX5000から実体感豊かな力強い低音を引き出してきた。

ガッティ指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のマーラー交響曲第2番「復活」(DSD5.6MHz)では低弦の立ち上がりに遅れがなく、鋭く切り込むヴァイオリンやヴィオラとのリズムの応酬が見事。松脂の粒子が見えるような表面的な派手さではなく、速い音形同士がガッチリ噛み合うことで推進力を生む様子が生々しい。テンションの高さが刺激的だが、神経を尖らせるというより、心地良さを感じるところが面白い。

次ページしっかりした定位と共に現れる組み合わせ毎の個性

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 小栗旬VS山田孝之!鈴蘭制覇に挑む不良たちの熱く、若く、ギラついた青春
2 米ソニー、ブランド史上最高輝度のMiniLED「BRAVIA 9」や有機ELなど24年新テレビ4シリーズ
3 女子プロゴルフ「42nd フジサンケイレディスクラシック」、4/19からの放送・配信予定
4 ラックスマンの“新Zシリーズ”プリメインアンプ試聴会、4/27にジョーシン日本橋店にて開催
5 どれが好み? 一番人気のミニコンポ「M-CR612」を“売れ筋スピーカー”3機種と相性テスト!
6 LG有機ELテレビ“あえての”22年モデル「OLED C2」が超コスパで狙い目!推す理由をくわしく解説
7 マクセル、“デコれるスティック型ケース”の完全ワイヤレス「MXH-BTW401」
8 ウェブを「耳で聞く」のが意外に便利!iOS 17のSafari新機能を試してみよう
9 TCL、量子ドットMini LEDテレビ「C855」「C755」シリーズ。4K液晶モデル「C655」シリーズも
10 “音質も最高”の「グラミー賞2024」受賞曲、人気のPolk Audioスピーカー3機種で聴き倒す!
4/19 16:45 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX