オーディオテクニカ「AT-MCD1」を聴く。スタイラスチップ一体型ダイヤモンドカンチレバー採用カートリッジの実力に迫る!
オーディオテクニカからスタイラスチップ一体型ダイヤモンドカンチレバー採用カートリッジ「AT-MCD1」が登場。ブランド60周年記念限定モデルとして販売後、すぐに売り切れてしまうほど注目を集めた「AT-MC2022」の後継モデルだ。「AT-MCD1」の進化ポイントをオーディオ評論家の角田郁雄氏が深堀りしてお届けする。

スタイラスチップ一体型ダイヤモンドカンチレバーMCカートリッジが進化
レコードをかけようと思い、ふとプレーヤーに目を向けると、なぜか、私なりのレコード再生の原点が見えてくる。
その一つは、グルーヴから音をピックアップするカートリッジだ。なかでも印象深いカートリッジと言えば、若かりし頃から馴染んできたオーディオテクニカの製品だ。そのヴァリエーションは広く、初心者向けからハイエンドまで。独自のVM構造あるいは、デュアル・ムービング・コイル構造などの独自技術は、歴史を重ねることに進化を遂げてきた。
その歴史のなかで、ひときわに輝いたのは、創業60周年記念限定モデルとして、発売されたMCカートリッジ、「AT-MC2022」であった。その代表的な搭載技術は、高速伝搬特性と明確な音像定位を飛躍的に向上させるダイヤモンドカンチレバー(0.22mm角)の採用である。
これは、CVD製法によって生成される高純度のLab-Grown Diamondであり、天然ダイヤモンドに勝るとも劣らない素材特性を備えている。しかし、これに留まらず、スタイラスチップ(マイクロリニア針)までも一体化させてしまった。お家芸のデュアル・ムービングコイルと強力な磁気回路を搭載し、その音質の良さゆえ、残念にも、情報解禁と同時に完売してしまった。
その後、世界の愛好家から、再販を希望する熱烈な声があり、今回、喜ばしいことに、「AT-MCD1」として、新発売されることになった。
本機を紹介しよう。そのデザインは、ゴールドから深みのある、輝きに満ちたブラック・グロス仕上げとなり、前モデルを踏襲し、旅客機や新幹線の先頭部を思わせるスタイリッシュな形状とした。
その本体構造も同様で、一切の微細振動も寄せ付けない、アルミ製ベース部、チタン製のハウジング、ゴム系のエラストマー製アンダーカバーのコンビネーション。
しかし、開発者は、「AT-MC2022」の単純な継続モデルとはせず、さらなる進化を求めていた。
それは、一括りで言うなら「さらなる自然な表現」であった。これは、再生の全帯域において、強調感のないダイナミックレンジの広い音質とダイヤモンドの情報量の豊富さの両立という奥の深い技術と捉えることができる。
