公開日 2024/09/09 06:30

<IFA>欧州でも勢い伸ばすDolby Atmos。シャープ“AQUOS”新サウンドバーでイマーシブシアターを体験した

NIOショールームでイベント開催
9月6日にベルリンで開幕したエレクトロニクスショー「IFA 2024」に頃合いを合わせて、ドルビー・ラボラトリーズが市内中心部にあるオートモーティブブランド「NIO」のショールームでプライベートイベントを開催した。

■欧州でもDolby Atmosが勢いに乗る



IFAは毎年世界最大規模で開催されるコンシューマーエレクトロニクスのイベントだ。期間中にはオーディオビジュアルやコンテンツクリエーション、エンターテインメントなど各市場から関係者がベルリンに集まる。ドルビー・ラボラトリーズもDolby Atmosの音響テクノロジーに関わるパートナーを集めて、欧州市場におけるイマーシブエンターテインメントの「勢い」を伝えるために今回のイベントを企画した。

イベントを主催したDolby GermanyのAndreas Ehret氏

Dolby GermanyのAndreas Ehret氏は「ヤマハが2023年のIFAに出展したDolby Atmosに対応するホームエンターテインメント製品がとても好評だった。いま市場を見渡せば映画・音楽配信のストリーミングサービスにもDolby Atmos対応のコンテンツが勢いよく増えている。私自身もドイツをはじめ、欧州においてイマーシブエンターテインメントに対する注目度がにわかに高まっていることを実感している」とスピーチで述べた。

イベントの舞台には、中国のEVを中核とするオートモーティブメーカーであるNIO(ニーオ)が運営する、ベルリン市内シャルロッテンブルク地域の繁華街にあるショールームが選ばれた。

NIOは世界のオートモーティブメーカーの中でもとりわけ早く、2021年からDolby Atmosに対応する車載エンターテインメントシステムを採用しているドルビー・ラボラトリーズのパートナーだ。Ehret氏は「ヨーロッパでもDolby Atmos対応車載エンターテインメントシステムの認知拡大を牽引する立役者」であるとNIOとの蜜月をアピールした。

ベルリン市内のNIOのショールームでイベントを開催した

NIOから出席したChristian Wiegand氏も、同社EVの最新車種である「EL8」に全23基のスピーカーによる7.1.4チャンネル対応のイマーシブオーディオシステムが搭載されていることを例に挙げながら、今後も「Dolby Atmos対応」を同社EVの強みとしていく考えを述べた。

■シャープにヤマハ、Audezeの展示がイベントを盛り上げる



会場には現在、シャープにヤマハ、Audezeなど、欧州でDolby Atmos対応のプロダクトを展開するブランドのオーディオが展示された。

シャープは “ドルビー対応” のAQUOSスマートテレビの欧州展開にも力を入れている。同社のサーシャ・ランゲ氏によると、2024年9月時点で欧州に展開するAQUOSシリーズのうち、28機種がDolby Vision IQによる高画質化技術をサポートしており、さらに25機種がオーディオのDolby Atmos対応を兼ねているという。内蔵するスピーカーユニットはハーマン・カードンが監修している。

サウンドバーには「FQ-Serie」というシリーズがある。サウンドチューニングを仏DEVIALETに委ねているところが欧州モデルの特徴だ。

今回のIFA 2024の開催に合わせて、シャープは横幅のサイズが52cmという、ユニークなコンパクトサイズのサウンドバー「HT-DSB700」を発表している。2.0.2というユニークなユニット構成で、小柄な筐体に2基のアップファイヤリングユニットを内蔵している。価格は199ユーロだ(約3.1万円)。

横幅52cmというコンパクトなシャープのサウンドバー「HT-DSB700」

欧州モデルのAQUOSの一部機種には、オプションのWiFi対応スピーカーとワイヤレスサブウーファーを組み合わせて、AQUOSによるテレビシアターのサウンドを拡張する「AQUOS Wireless Surround(AWS)」という機能がある。

テレビが内蔵するスピーカーをフロントLR/センターとして使い、2.4GHz対応のリアスピーカー「CPAWS2001」と、コンパクトサイズなサブウーファー「CPAWS0101」を同期させて、本格的にイマーシブなDolby Atmos再生を実現する。AQUOSスマートテレビの対応機種は4K QLEDモデルの「65GR8265E」と「55GR8265E」になる。

AQUOSのテレビ内蔵スピーカーを活用するイマーシブサウンドの機能「AQUOS Wireless Surround(AWS)」

筆者もNIOのシアタールームでAWSの実力を体験した。音のつながりが想像以上にスムーズで、テレビの内蔵スピーカーとオプションのスピーカーとのバランスに違和感がない。センターチャンネルの音声も定位が鮮明だった。テレビシアターを気軽に拡張できる機能として欧州で人気を集めそうだ。

AWS対応のリアスピーカー

ワイヤレスサブウーファー

ほかにもヤマハが日本市場にも展開するDolby Atmos対応のサウンドバー「SR-B40A」が欧州でも好評だという。今年はフラグシップヘッドホンの「YH-5000SE」の欧州上陸も果たして勢いに乗る。

ヤマハのサウンドバー「SR-B40A」

ヘッドホンブランドはAudezeがプライベートイベントに参加していた。90mm振動板を搭載する平面磁界駆動型のヘッドホン「Maxwell」はゲーミングのほか、Dolby Atmosに対応するコンテンツの制作用モニタリングヘッドホンとして多くのクリエイターに選択されているという。

Audezeの「Maxwell」

ドルビー・ラボラトリーズのプライベートイベントは、9月7日からIFA 2024が閉幕する9月11日までNIOのショールームで一般にも開放される。Dolby Atmosの最新事情に様々な方向から振れられる機会として注目されそうだ。

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