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公開日 2018/12/12 17:29

最先端仕様が凝縮された旗艦D/Aコンバーター。iFi audio「Pro iDSD」を徹底検証

DSD1024へのアップサンプリング機能を搭載
石原 俊・逆木 一
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わずか数年で、オーディオファンから圧倒的な支持を獲得したiFi audio。同社の人気のその理由は、他の追随を許さぬ最先端かつユニークな技術と、それに裏づけられたサウンドにある。そんなiFi audioが現時点での集大成として長い年月をかけて開発したのが「Pro iDSD」である。D/Aコンバーターとして、プリアンプとして、そして同社初となるネットワークプレーヤーとして。現在市場に溢れるあらゆるサウンドに対応することはもちろん、ファームウェアによる将来的な「最先端」への進化にも対応するPro iDSDを石原 俊、逆木 一の2名がそれぞれの目線で検証した。



iFi audio
USB DAC/ネットワークプレーヤー
Pro iDSD
¥360,000(税抜)


石原俊の着眼点で聴く
さながらの最先端仕様とユニークな3つの駆動モード

本機は、瞬く間に多くのオーディオファンから支持を得たiFi audioのコンポーネントを複合機化させたような内容を持つ「フラッグシップ機」だ。高精度かつハイスペックなUSBDACとして機能するし、バランス駆動にも対応したヘッドフォンアンプとしても機能する。出力は固定と可変を選択可能なのでプリアンプとして使うこともできる。そしてもうひとつ、iFi audioとして初となるネットワークプレーヤーであることも注目だろう。この機能性については後半で逆木一氏にご説明いただくとして、筆者はごくごく一般的なオーディオ的な使い方を想定して、総合的なサウンドをレポートする。

Pro iDSDがユニークなのは、アナログ出力モードに3種類を用意することだ。「ソリッドステート」モードでは半導体回路が動作し、「真空管」モードでは同社が採用するGE製5670を採用した回路のみが動作。「真空管+」では前者のNFBを最小に抑えた動作がなされる。まずは出力を「固定」として、これらのモードの音の違いを探るところから始めた。

注目機能のひとつとなる駆動モードの選択。「ソリッドステート」「真空管」「真空管+」 の3つから選択可能。一台でさまざまな音の表情を聴かせるこの機能も、実にiFi audioらしさ溢れるポイントだ

まずは、出力を「固定」として「ソリッドステート」モードで聴く。「Pro」を名乗るだけあって、音像の角が丸まっていない高解像な音である。エネルギーバランスは摩天楼型で、低域が不足することもない。音楽的には演奏・楽曲に一切介入することなく、そのありようをストレートに表現する。

本機に採用される真空管は、GE製の5670。ソリッドステート用とそれぞれ独立させた入力回路を持つことで、3つの駆動モードでの動作を実現している

人によっては、この音を「素っ気ない」と感じることもあるだろう。だからこそ、この3段階のスイッチが生きてくる。「真空管」モードへ切り換えると、かなりの変化を確認することができた。音像の角にある程度の丸みがあり、「ソリッドステート」モードよりも耳に優しい。エネルギーバランスは低域がある程度豊かな、いわばスカイツリー型だ。「真空管+」モードは、今回の試聴では、より現代的な真空管アンプ的な音だと感じた。NFBがかかっていないので「真空管」モードよりも音が強く、ジェントルマン的なアキュフェーズのP‐4200をマッスルマンに変身させる。

本体中心に設けられたディスプレイは、本機のさまざまなステータスを表示する。ネットワーク再生の場合は、「App」という入力モードを選択。これによって、コントロールアプリ「MUZO Player」からAirPlayやネットワーク上のNASからだけではなく、本体リアに挿入したmicro SDカードの音源も再生が可能となる

ここで本機の出力を可変としてDACプリアンプとして聴くと、当然ながらPro iDSDの素の音が見えてくる印象だ。個人的にはこのサウンドが最も気に入ったので、以下の試聴は「真空管+」モード、「可変」で進めた。

アナログ的な質感だけでなく奏者の気配まで伝わってくる

本機の真骨頂は、なんと言ってもハイレゾ再生にある。本機のハイレゾサウンドは非常にキレイで、水に例えればミネラルウォーターのようなものだ。ミネラルウォーターでも銘柄によって味が異なるように、音楽ファイルのありようによって聴き味が変化する。PCM192kHz音源は素直な解像度の高さが耳に心地良い。情報量は極めて多いのだが、リスナーに過度な緊張を強いることなく、音楽の細部を優しく伝えてくれる。同じPCMでも384kHz音源ともなると一種の威厳というか神々しさのようなものがサウンドに乗るので、思わず畏敬の念を抱いてしまう(もっとも、試聴に供したのがバッハのオルガン曲であることも影響してはいるのだが)。

一方のDSDは、2.8MHz音源だとアナログ的ともいえるような滑らかさが印象的だ。情報量はビックリするほど多いわけではないのだが、このアナログ感に身を任せて音楽の海に揺蕩うのはなかなかの快感だ。ところが同じDSDでも11.2MHz音源になると、奏者たちの気配感や録音ロケーションの温度感まで伝わってくる。ここまでくると、深夜に独りで聴いていたら薄気味悪く感じられるかもしれないとすら思うほどだ。

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