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公開日 2018/11/20 07:00

【レビュー】世界初の民生用8Kプロジェクター、JVC「DLA-V9R」の実力をチェック

評論家・大橋伸太郎が実力に迫る
大橋伸太郎
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■世界初の民生用8Kプロジェクター、JVC「DLA-V9R」の実力をチェック

DLA-V9R

JVCケンウッドのD-ILAプロジェクターがVシリーズに交替し、VGP2019総合金賞を受賞した。シリーズ全3機種に与えられたのだが、最上位機種の「DLA-V9R」が牽引したといっていい。民生用8K解像度プロジェクターへの待望がこの一、二年高まり、JVCがその期待を一身に担っていたのである。

すでにJVCには、「DLA-VS4800」(UHPランプ 最大輝度4,500ルーメン)、「DLA-4810」(レーザーフォスファー 同5,400ルーメン)という、1.27インチデバイスにe-shift技術を組み合わせ8K解像度を得るプロジェクターがあり、かねてより活躍中だ。同様に同社の民生用0.69インチ4Kデバイスとe-shift技術を組み合わせれば、ホームシアター用途の8K解像度プロジェクターが完成する。

天面に8K e-shiftロゴを記載

つまり、家庭用8K解像度プロジェクターを発売するにあたり技術的に問題はなく、要はどのような位置付けと価値感にするか、価格、投入のタイミングが課題だったのだが、今回のDLA-V9Rは、世界中の大画面ユーザーのデマンドに耳を傾け、8K解像度を採用したに止まらない「D-ILA愛」へのアンサーを盛り込み、製品像について考え抜かれた大画面ファン待望の製品として誕生した。

JVCには「DLA-Z1」という4Kの最高峰でプロシューマー的性格の不動のフラグシップがある。つまり、8K解像度とZ1が住み分けなければならない。そのせいか、V9RはZ1と異なった存在感を見せつける。前から見ると中央の大口径レンズが目を惹く。ずんぐりと腰高に見えるが実寸上は全高が1mm低い。DLA-Z1がレンズ、光学部、レーザーフォスファーの主要コンポーネンツをインライン(一列)配置するのに対し、VシリーズはUHP光源をオフセットしたL型配置になる。ホームシアターに入った時の設置性のよさが一目で分かる。外形の構築から「もう一つのDLAフラグシップ」であることが伝わってくる。

「DLA-Z1」(下)とのサイズ比較

内部構成に目を移すと、100mm口径16群18枚は、DLA-Z1と同じオールガラスレンズシステムで、8K解像度に対応にあたりレンズマウントの精度を高めてフォーカス性能を追い込んでいる。

Z1から引き継いだ0.69型4K D-ILAデバイスは、平坦化と反射効率の改善が図られ、開口率もアップした。デジタルドライバーLSIを新開発し、新しい広帯域メモリーHBM(High Bandwidth Memory)をシリコンインターポーザーで接続。8Kに相応しい高速処理、高速駆動を行う。V7/5で後述するが、「オートトーンマッピング」は、同社技術陣のHDRコンテンツの近年の分析と研究が生み出した新機能だ。メタデータのMAX CLL/FALLを参照し、ソフトの輝度の特性に合わせてピクチャートーン、ダークレベル、ブライトレベルを自動調整する。

一方、DLA-V9Rで間に合わなかった課題が、8K映像をダイレクトで入力出来ないことだ。インターフェースの規格決定まで待てなかったのだ。JVCの今後の対応が待たれるが、4Kにダウンコンバートした8K映像を再度アップコンバートして130インチのスクリーンに映し出したモロッコの8K映像(※8Kカメラ撮影の映像をATMOSから4K出力し、V9Rで再び8Kアップコンバートし130インチスクリーンに投写) は、そんな瑕疵を吹き飛ばす説得力に満ちたものだ。

背面端子部

解像度イコール精細感と考えがちだが、画素が多い分階調情報が増し映像がきめ細くなる。日が当たっている個所の輝きが生々しく、肉眼視しているようだ。HDRについてJVCの研究が進み、他より一足早く8K映像に反映されたことがわかる。

『ハン・ソロ』(4K UHD BD)は、スター・ウォーズ本編の華やかさと対照的な暗めのトーンでルックが統一されている。サーガの序章で銀河革命の夜明け前を表現しているのだ。ディスプレイ(テレビ、プロジェクター)に解像力と階調表現力が足りないと、どんよりと濁った見辛い映像になる。DLA-V9Rの大画面映像はヴェールを剥ぎ取ったように奥行きに富み細部が明らかで瑞々しく、個性的なルックの奥に潜む演出の真意と美術のこだわり、物語の現在ばかりでなく未来の展開をもスクリーン一杯に映し出す。

DLA素子始め電子系も優れているが、300万円もするDLA-Z1と同じ100mm口径16群18枚のオールガラスレンズシステムをためらわず搭載、さらにレンズマウントの精度を高め8K解像度に見合うフォーカス性能へ追い込んだ。JVCの妥協のなさがこの映像のクラリティを生んだ。プロジェクターの画質の大半はレンズ性能で決まるのである。

民生唯一の8K解像度プロジェクターは、全ての大画面ファンの願望が結晶して誕生した。約束された映像がいまここにある。

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