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公開日 2018/08/23 16:57

TIEN AUDIOのアナログプレーヤー「TT5」を聴く − トルク調整機能がレコードの情報を極限まで引き出す

「TT3」のアップグレードモデル
石原 俊
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昨年、トップウィングにより日本での取り扱いが開始されたTIEN AUDIO(ティエンオーディオ)のアナログプレーヤー「TT3」。そのアップグレードモデルとして「TT5」が登場した。今回はトルク調整機能やベースユニットの追加など、よりレコード盤の情報を引き出す強化がなされている。そのサウンドの魅力に迫りたい。


アナログプレーヤー
TIEN AUDIO
TT5
¥1,550,000(税別・カートリッジ別売)

Profile ティエンオーディオは2002年に台湾で創立されたアナログブランド。音楽を楽しむことに焦点を絞り、なおかつシンプルな設計を独自に研究し、2011年に製品第一号を発売した。本機はTT3のアップグレードバージョンで、軽量プラッター+3基の低トルクモーターによる回転機構に、3段階のトルク調節を備えるベースを搭載。カートリッジの動作条件を整え、レコード盤の溝の奥深くに刻まれた情報を露わにできるよう、新たなコンセプトを形にしている。

理想の低トルク機構に3段階の調整機能を搭載

ティエンオーディオは台湾のレコードプレーヤー・メーカーである。主宰者のジェフ・ティエン氏は当初、プレーヤーの修理工房を営んでいたそうだが、数多くのプレーヤーの分解組み立て作業を行っているうちに、レコードプレーヤーの理想を見出したという。

本機は先行してリリースされた、TT3のアップグレードバージョンだ。内容的にはTT3にコントロール機能つきのベースボードを付加したものである。したがってTT3からのアップグレードもできる。TT3については一度レポートしたので(関連記事)、屋上屋を架すことになるが、おさらいしておこう。

TT3の「TT」は、Triple Turntableの略である。プラッターと同サイズのベース部は、3本の円柱で支持されている。円柱の直上には3基のモーターがマウントされているので、モーターの振動は相互に干渉しにくい。ではなぜ3基ものモーターを使用するのだろうか。ティエン氏によると、モーターは1基でも2基でもダメだそうで、3基のモーターが正三角形状のベルトを駆動し、その正三角形に内接する円であるところのサブプラッターを回転させることで、理想的な回転が得られるという。

メインプラッターを外したところ。3基のモーターを採用、プラッターにかかる力を均等に保つ。プーリーに採用のサスペ ンションで、ベルトの経年劣化によるワウ・フラッターの発生も抑制

TT3(¥550,000/税別、トーンアームVIROA付属)のアームボードはアクリル製。※写真はダブルアームセッティング時

TT3には白っぽいアクリル製のメインプラッターが載っていたが、本機にはデルリンという黒っぽい素材のものが標準でつく。重量は1s程度で、軽量の部類といえるだろう。アップグレードの要であるベースボードには3カ所の窪みがある。工作精度は極めて高く、そこにTT3の3基の円柱をマウントするとピタリと収まる。TT3は円柱にスパイクがマウントされているが、TT5ではTT3をベースボードにネジ留めする。ベースボードは重量級で極めて剛性が高い。ボトムパネルには4基の自社製インシュレーターがマウントされている。

デュポン社のデルリン製プラッター(写真左)により、右のアクリルに比べてダンピ ングファクターが向上

ベースユニット。Stillpoints社製の振動制御技術を導入している。TT3に追加すれば、TT5に簡単にアップグレ ードできる

ベースボードのコントロール部はUSBケーブルを介して3基のモーターを制御する。コントロール部への給電はトランス式電源アダプターで行う。右側のノブはスタート/ストップ兼回転数選択ノブだ。左側のノブはオン/オフ兼トルク選択ノブで、H/M/Lが選択できる。TT3のモーターのトルクは極小で、3基合わせてもダイレクトドライブ機の十分の一、通常のACシンクロナスモーターの数分の一程度しかない。低トルクで軽量プラッターを回転させる方が高トルクよりも情報量が多い、というのがティエン氏の主張だ。またトルクを微妙に調整することで、幅広いタイプのレコードに対応できるという。

ベースユニットに搭載の3段階のトルクコントロール機能(左のノブ)。レコード収録時間に応じて切り替える。右は回転数の切り替えノブ

TT3/5は腕木状のアームボードを介してトーンアームを取りつける。アームベースは他社製用も存在するそうだが、試聴機には自社製のVIROAというヘッドシェル一体型トーンアームの10インチタイプがついていた(12インチタイプも用意されている)。これはなかなかのスグレモノだ。ピボット部は下側からスパイクで1点支持されているので、そのままではフラフラなのだが、スタイラスがレコードにコンタクトするとピタリと安定する。面白いのはケーブルの処理で、アームパイプからいったん外に出て、小型のコネクターでRCA端子の出力部に接続する仕組みになっている。だからアームパイプを買い足せばカートリッジを比較的楽に交換することができる。

トーンアームViroa。手前は10inch、奥は12inch。アームパイプにカーボンを採用、アジマス調整機構とアンチスケーティング機構を兼備する独自のマグネットダンピングシステムを採用。出力はRCA端子

次ページ「TT5」のサウンド/トルクコントロールの実力に迫る

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