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公開日 2021/03/19 06:30

“余計な付帯音が乗らない”サウンドマジックのオーディオラック。長年の経験と測定技術を生かしたPremium Series

【特別企画】ホームシアター用もラインアップ
井上千岳
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ハイCPな本格オーディオラックの代名詞として、幅広いオーディオファンから支持を得ているサウンドマジック。同ブランドが創業20周年を迎え、そのアニバーサリーモデルの一環として「プレミアム・シリーズ」が発売された。

SOUNDMAGICの20周年記念オーディオラック「プレミアム・シリーズ」※写真は「Hi03」(60,500円/3段・税込)●サイズ:605W×472D×609Ho●耐荷重:天板=40s/棚板=50s●質量:16.8s

ベースとなるのは発売以来20年以上にわたってロングランを続けるデザイン・エディション・シリーズ。同シリーズのデザイン性の高さを継承しつつ、最高峰EXシリーズのノウハウを投入し、さらなる高音質化を実現させている。ラインアップは縦型タイプの「Hi」と横型タイプの「Ai」。この記念シリーズの音質を、井上千岳氏が体験する。


■最高峰のエッセンスを注入、25mmの極厚天板を採用

ドイツ・クアドラルのスピーカーやフランス・リアルケーブルの輸入販売を行うネットワーク・ジャパン(株)ではオリジナルブランド、サウンドマジックを手掛け、オーディラックやテレビ用金具、ファニチャーなど幅広いジャンルでオーディオ/ホームシアターの関連製品を手掛けてきた。創業は2000年のことで、最初に取り扱ったのがほかならぬこのサウンドマジックのラックである。

以来サウンドマジックは用途やデザインに応じた様々なシリーズを加え、現在では最もよく知られたオーディオ/AVラックのブランドのひとつとなっている。

これまでのラインアップではフラッグシップの「EXシリーズ」を頂点として北欧風のデザインを取り入れたデザイン・エディション、重厚なハイファイ・エディション、防弾ガラスを使用したガラス・ラックなど5つのシリーズが展開されてきた。そこへ昨年新たに加わったのが、ここで紹介するプレミアム・シリーズである。

防弾ガラスのシリーズはガラス自体がコンセプトのひとつなので少し措くとして、このプレミア・シリーズに関係が深いと思われるのはEXシリーズとデザイン・エディション・シリーズである。先にそこを見ておくことにしたい。

デザイン・エディションは2000年に同社が創業したときに、最初に発売された基本モデルである。中でも「HF04」というモデルが、サイズの点でもスタイルの点でも定番となっている。

棚板はハイファイ用に高圧縮した厚さ19mmの特殊MDF。これにローカーボン鋼38mm径の支柱を組み合わせたシンプルな構造だ。組み立てはネジで行う。また底部には真鍮削り出しのスパイクとスパイク受けが標準装備される。

このデザイン・エディションにはホームシアター用のロングサイズも用意されているが、それも含めて今回のプレミアム・シリーズはそこにベースを置いているようだ。英国調ともドイツ的とも違う、北欧風のエレガントな雰囲気と同社の言うスタイルは、そのまま引き継がれている。

価格は写真上「Ai02」(71,500円/2段・税込)、写真中央の「Ai22」(104,500円/2段・税込)、写真下の「Ai222」(104,500円/2段・税込)

これに加えて最高峰EXシリーズの技術が、プレミアム・シリーズのポイントのひとつになっている。EXシリーズではMDF製棚板の厚さを25mmとし、クローム仕上げのソリッド支柱にスパイクを取り付けて各段ともスパイクで積み上げることが可能になっている。プレミアム・シリーズではこのうち25mm厚のMDFを天板に採用した。他の段は19mm厚だが、これによって重量が増し安定性が高まっている。さらに天板の組み立てはネジだけでなく、トッププレートを新たに加えて天板を挟み込む構造とした。

これらEXシリーズのエッセンスを注ぎ込み、独自の測定や評価技術を駆使することで、高忠実な再現性の確保を実現することができたという。従来のデザイン・エディションとはもうひとつ志向性の違うラックの誕生である。

天板の厚みとトッププレートによる固定が利いているのか、全体が非常に強固に感じられる。ミドルワイドサイズやロングサイズもあって、ホームシアターでの使用にも対応する。構成は同様だが、ここではスタンダードな「Hi03」を試聴することにしたい。

■ソースだけを正確に取り出し、一切の無駄な響きを感じさせない

聴いてすぐに感じるのは、余計な音が乗らないということである。ソースの音楽信号だけが正確に取り出されて、共振や固有振動による無駄な響きがない。これは単に硬いだけではだめで、振動を効果的に排除・吸収するノウハウが要求されるものである。その点がこれまでにも増して有効に働いている。

ピアノは静かな出方で、付帯音が乗らないため情報がしっかりと伝わっている。タッチはクリアだが硬質感はなく、余韻も透明で濁りなく響く。端正でニュートラルな鳴り方だが、ダイナミズムの幅も取れて表情が深い。

室内楽もクリアで暴れのない音調だが、それに加えて音場の出方がいい。余韻に歪みっぽさがないためか遠近が見えやすく、奥行のある空間性が自然に描き出されている。ピアノやチェロの低域もふやけることがなく、レスポンスが均質でにじみのない鳴り方である。

マドリガルは周囲の静寂感が際立つ印象で、一人一人の声や楽器それぞれが音場の中に鮮明に立ち上がっている。空間全体が見渡せる位置感のいい再現である。オーケストラもよく鳴る。エネルギーが削がれないのである。強弱の幅が広く躍動感に富む。オーディオ的な品位を感じるのである。



本記事は季刊AudioAccessory vol.180 SPRINGからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから

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