公開日 2019/06/12 06:30

ノイズ低減に強力な効果! オーディオリプラスの重量級コンセントプレート「CPP-2SZ/HG」を評論家が自宅で試した

鈴木裕が自宅に導入レポ
オーディオリプラスの分厚い金属でできたコンセントプレートは、電源プラグの周りをがっちり固めつつノイズを誘導して減衰させるアイテム。ノイズ誘導といえばS/Nに作用することはイメージできるが、信じがたいほどの、それ以上の効果が現れる。16年前に発売され、年月を経るごとに認められているロングセラー。鈴木裕氏が自宅で試し、また(?!)返せなくなったレポートをお届けしよう。

オーディオリプラスのコンセントプレート「CPP‐2SZ/HG」

試してみたら皆戻せなくなるコンセントプレート

オーディオリプラスの製品もいろいろあるがちょっと見ただけではその意味というか、真価が伝わりくいのがコンセントプレートのCPP-2SZ/HGだ。「いや分かるよ。ノイズを抑制するんだろ」とおっしゃる方もいるだろうが、ノイズ誘導によってS/N感が良くなるだけでなく、音の密度が大きく上がったり、トランジェントが劇的に向上したりするさまは体験するまでは予想できない。

ちなみにリプラスには3種類のコンセントプレートがあり、2万4800円のCPP‐2SZ/S(15mm厚)、4万4800円のCPP‐2SZ‐SE(30mm厚)、そして、40mm厚で7万6000円のCPP-2SZ/HGがラインアップされているが、実際にユーザー宅で3種を体験してもらうと多くの方がCPP-2SZ/HGを購入するという。ほかのふたつのモデルもきちんと効果を発揮するが、CPP-2SZ/HGが圧倒的だからだ。以前、本誌試聴室でテストした時に結局そのままレファレンスとして装備されてしまったのも、テストに立ち会っていた者全員が元に戻せない〞ほどの効果を感じたからだ。


CPP-2SZ/HGの本体と表面部を分解した写真(※実際の製品は分解できない)。本体の溝には特殊合金パウダーが充填される
まず、CPP-2SZ/HGの概要。ノイズを誘導するために3種類の要素を持っている。ベースは航空機グレードのアルミ合金。フタというか壁コンセントに設置した場合、正面から見えるやや赤みがかったところが銅合金。そして電源ケーブルを差した時にそのプラグ部の周囲を囲むように彫られている筐体内部の溝には特殊な合金パウダーが充填されている。これらによって、EMI(電磁障害)やRFI(電波障害)などのオーディオにとってノイズの元になる要素を誘導、リジェクトしている。全体はウルトラSZ物性処理(総合的なクライオ処理)が施され、固有の鳴きをなくしている。


鳴り出した瞬間から唖然とすることの連続!

今回のテストは筆者の自宅のシステムで行った。CPP-2SZ/HGを装着した対象について具体的に書くと、ベースは1.2kgほどの重さを持つやや硬めの木材の板にパナソニック電工の鋳鉄製スイッチボックスをネジ留めし、リプラスのコンセントベースSCB-2SZに壁コンセントRWC‐2RUを取りつけたものだ。そこからMITの電源ケーブルで電源タップSAA-6SZ-MK2に給電され、CDプレーヤーやプリアンプなどに電気を供給している。

(1)鈴木氏は上のように電源コンセントを組み立てて使っている。硬く重い木の板にパナソニック電工の鋳鉄製スイッチボックスをネジ留めし、リプラスのコンセントベースSCB-2SZに壁コンセントRWC-2RUを取りつけたもの

(2)CPP-2SZ/HGを取りつける。リプラスのコンセントベースの上に取りつけるのでマッチングも良いだろう。ちなみに、コンセントベースがなくても、直接取りつけることもできる

(3)CPP-2SZ/HGを取りつけると、再生音は著しく向上した。なおメーカーによると、CPP-2SZ/HGは、他社コンセントとの組み合わせであっても同様の効果があるという

まずこの状態を確認して(というかうちのレファレンスの音だ)、続いてコンセントプレートCPP-2SZ/HGを装着して聴いた。

音が鳴り出した瞬間から唖然とする連続だった。音圧が2dBくらい大きくなったようで、その密度も俄然高くなっている。サウンドステージの枠は前後左右、そして天井方向に拡大。例えばエリック・クラプトンの『アンプラグド』ではライヴ録音によるノイズが乗っていて、再生するシステムのS/N感が良くなるほどに録音自体のノイズが認識できるようになるが、音の背景とノイズの描き分けが凄い。オーディエンスの拍手はよく解れて前後方向の定位が広がりつつまろやかなトーンだが、一方アコースティック・ギターの高域がきちんと立っている。この両立が難しい。最低域のレンジも広がって、再生している部屋の床の揺れ方も明確に強い。総じて言えば、みっちりと全体のエネルギーが上がっている。

トリフォノフがソロピアノを弾くラフマニノフの変奏曲でも、各パートの演奏の細部のニュアンスが良く出てくるし、ピアノのタッチも克明だ。また大太鼓を伴ったオーケストラのフォルティシモの立ち上がりの極めて俊敏なこと!素晴らしいトランジェント(過渡特性)としか言いようがない。特筆しておきたいのは、こうしたハイファイ性能が軒並み向上しているのに全体的な再生音としてはナチュラルなトーンである点だ。強調感がない。

CPP-2SZ/HGは壁コンセントに取りつける使い方が一般的。通常のプレートを取りつけるのと同じ工程で(壁コンセントの中央とドライバーを使ってビスで固定)、もとのプレートと交換すればよい

それにしても、と考えた。確かにノイズフロアが下がることによって音量が大きく聴こえたり、細部の描写が際立ってくるのは理解できる。しかしこのトランジェントの凄さについては、コンセント自体が振動コントロールされている要素だろう。CPP-2SZ/HGがコンセントとネジで締結されることによって剛体化。その900g(実測)という重さや剛性によって、コンセント自体が逃げずに踏ん張っているように感じるのだが。

筐体内部。この精度感溢れるボディと溝。実際に見て触れて他と比較したりすると、切削精度や仕上がりの良さがよく分かる。本体は航空機グレードアルミ合金で、それだけでもストイックさ満載。プレート表面部の銅合金と、彫られた溝に充填される特殊合金パウダーとあわせて3つの素材を採用している理由は、異なる帯域のノイズを誘導するためという

この再生音の向上率を考えると、値段はむしろ安く感じる。自宅で体験した多くの方と同様、購入する以外の選択肢はなかった。

(鈴木 裕)



上の動画は、オーディオリプラスがCPP-2SZ/HGについて高周波ノイズ除去の効果を実験した模様。直近60cmに高周波ノイズ源となるWi-Fiルーターがある状況下で、Tenmars社製電磁波テスターを使用し、CPP-2SZ/HGによるノイズ低減の効果を検証している。

たとえば0秒〜13秒のCPP-2SZ/HG無し状態では電界21V/m、高周波4.19〜6.1V/mだったものが、15秒〜34秒で有りになると電界12〜15V/m、高周波0.26V〜0.38V/mとなっている。数回有/無を繰り返してみても、電界で約35%〜47%、高周波で約84%〜93%のノイズ除去効果が発揮されていることが示されている。




本記事は季刊 オーディオアクセサリー vol.173からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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