公開日 2017/12/26 10:00

ラズパイ・オーディオにもぴったり! パナソニック「USBパワーコンディショナー」の効果、新旧の違い

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(39)
ラズパイの「ノイズ源」を考える

現在のRaspberry Piは第3世代、基板サイズこそ共通しているものの、仕様は第1世代と大きく異なる。SoCのコア数とクロック数、USBポートの数、コンポジットビデオ出力の有無など、挙げ出すとキリがないほどだ。ソフトウェア的にはほぼ互換性が維持されているものの、第1世代と第2/第3世代ではGPIOのピン数が異なることから、拡張ボードなど市販の周辺機器の多くは第2世代以降がターゲットとなっている。オーディオ用途に関していうと、ほとんどのユーザが第2世代以降を利用していると考えていいだろう。

しかし、オーディオ的な目線でいうと、第1世代には捨てがたいメリットがある。ボード上の「電源」だ。

第2/第3世代では、直流電源の安定化手法として「スイッチングレギュレータ」を採用している。この方式では、電圧を高速にオン/オフ(スイッチング)することで出力を安定化させるのだが、電力変換効率に優れる反面、ノイズが乗りやすい。本連載でも何度か触れているが、このレギュレータ(PAM2306)の存在はRaspberry Piで音質を追求する時にネックとなる。

Raspberry Pi 2以降、電源にはスイッチングレギュレータ(赤線部分)が使われている

一方、第1世代では「リニアレギュレータ」を採用している。効率面ではスイッチングレギュレータに見劣りするが、スイッチング動作がないためリップルノイズが発生しないというオーディオ向きの特性を持つ。第2世代以降では、できるだけ電力消費量を抑えるためスイッチングレギュレータに変更したのだろうが、残念なところだ。

自前の電源機構を持つ「DAC 01」を利用する場合、Raspberry Pi側に電源(micro-Bケーブル)を接続する必要はない

ノイズ源といえば、第3世代以降で標準装備となったワイヤレスチップ(Wi-Fi/Bluetooth)も指摘しておきたい。ソフトウェア的に無効化することが可能なため、半田ごてを使って除去/交換するしかないスイッチングレギュレータと比べると、対策は難しくないがせっかくの便利機能が使えなくなる。そこを納得した上で、ネットワークは有線LAN(Ethernet)またはUSBデバイス型のWi-Fiアダプタを利用しよう。

歴代Raspberry Pi主要スペックの変遷
比較項目第1世代(B+)第2世代第3世代
SoCBCM2835BCM2836BCM2837
基本命令セットARMv6(32bit)ARMv7(32bit)ARMv8(64/32bit)
コア数144
クロック700MHz900MHz1.2GHz
メモリ512MB1GB1GB
USBポート2基4基4基
GPIOピン数34(13×2/4×2)40(20×2)40(20×2)


ノイズ対策だが、「遮へいする」あるいは「経路を変える」方法が考えられる。電流に伴い生じる電磁波は、特にSoCなど高集積回路から発せられるが、これは金属製シャーシによってある程度遮へいできる。

筆者プロデュースのアルミ削り出しケース「AVIOT CASE 01」は、まさにその効果を期待したもので、Raspberry Piと拡張ボードの間へ挟み込むように装着する銅製シールドにより、さらに上を狙っている。出荷直前(度々遅れて申し訳ない…)のDACボード「AVIOT DAC 01」が自前の電源入力端子を持ち、3.3VをGPIO経由でRaspberry Piへ供給する構造にしたのは、リニアレギュレータ(TI LM317など)によりノイズ抑制を意図したもので、後者の“経路を変える”に該当する。

そしてもう一つ、「除去する」方法がある。「USBパワーコンディショナー」を背面のUSBポートへ挿すのだ。そこで先日発売されたばかりの「Panasonic SH-UPX01」を入手し、CASE 01/DAC 01と組み合わせて試聴してみた。

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