海上忍のラズパイ・オーディオ通信(36)

ラズパイより音がいい!? ASUSの「Tinker Board」のオーディオ的実力を検証する

海上 忍

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2017年10月20日
1ヶ月超のご無沙汰だが、決してサボっていたわけではない。ケースとDACボードの製造管理に活動時間の多くを割かざるをえなかったのだ。ケースはAVIOTブランドから「CASE 01」として無事発売(関連ニュース)、購入者から次々寄せられる好意的なコメントに胸をなで下ろしているところだが、DACボードは部品の通関に手間取るなど想定外の事態が発生、少々遅延している。いましばらくお待ちいただきたい。

今回は「ラズパイのHDMIでハイレゾ/マルチ再生環境を」の後編(前編はこちら)を予定していたが、ここ1ヶ月ほどでVolumioなどのディストリビューションが相次いでアップデートを実施、I2Sで384kHz/32bit出力を標準カーネルでサポートするなど状況が大きく変化している。そのあたりも踏まえて整理したいため、内容を変更してお届けする。

Tinker Boardという選択肢

本連載では「Raspberry Pi」を中心にオーディオ環境を考えてきたが、Raspberry Piに固執していたわけではない。世のシングルボードコンピュータは豊富な種類があり、それぞれに個性や長所がある。Raspberry Piの場合、圧倒的な出荷数により多くのユーザーコミュニティが生まれ、サードパーティー製ハード/ソフトも充実するという好循環を編み出している。その市場性を重視したというわけだ。

しかし、オーディオ機器としての性能が他のシングルボードコンピュータを凌駕しているというわけでは決してない。ラズパイ・オーディオにおけるアドバンテージの一つ「I2S」を例にしても、1系統のシリアルデータしか出力できないため、単体でのネイティブDSD再生が難しい。一方、BeagleBone(Black/Green)では2系統のシリアルデータを扱えるためネイティブDSD再生が可能であり、外部からのクロック入力も容易な仕様となっている。Raspberry Pi以外のプラットフォームにも目を向けるべきなのだ。

たとえば「Tinker Board」。PCマザーボードやスマートフォン/タブレットで名を馳せる“ASUSTeK”が2017年1月に発売したシングルボードコンピュータで、SoC「Rockchip RK3288」に最大1.8GHz動作の4コア/Cortex-A17を搭載、PC級の高い処理性能を発揮する。有線LANはGigabit Ethernetに対応、USB 2.0×4とHDMI 2.0×1も備えており、外部接続性も十分だ。

サイズがRaspberry Piとまったく同じ「Tinker Board」

Raspberry Piと高い互換性を持つ「Tinker Board」

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