公開日 2017/01/13 10:00

デノン「DA-310USB」は高級ヘッドホンをどこまで鳴らせるか。4機種と組み合わせテスト

DDFA搭載のフルデジタル・ヘッドホンアンプ
デノンは「DA-310USB」にて、そもそもスピーカーを駆動することを前提に開発された先進デジタルアンプ「DDFA」を採用。フルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプを実現した。その駆動力と再現性はどれほどのものなのか。人気の高級ヘッドホン 4機種と組み合わせて、岩井喬氏がその性能をチェックした。


DDFAによるフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプを搭載

デノンは、独自のアナログ波形補間技術「Advanced AL32 Processing Plus」を搭載したSACDプレーヤーにUSB入力を設けるかたちで、ネットオーディオに世界に本格参入してきた。そして2014年に登場した「DA-300USB」が、同社初となる単体USB-DACとなった。

このDA-300USBの特徴のひとつに、アナログ構成の高音質なヘッドホンアンプが挙げられた。しかし、本機はあくまで「USB-DAC」の機能をメインに据えていたこともあって、ハイ・インピーダンスなヘッドホンを鳴らし込むには、駆動力が足りなかったといえる。

DENON「DA-310USB」¥68,000(税抜)

こうした課題を踏まえ、後継機として登場した「DA-310USB」は、ヘッドホンアンプとしての機能を大幅に強化した。クアルコム社のフルデジタルアンプ「DDFA」の最新バージョンを、いち早くヘッドホンアンプ部に導入したのである。

DDFAを用いたフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプは、高速かつ精度の高い独自のフィードバック・ループ、0.5dB精度のボリュームやPCM系におけるAdvanced AL32 Processing Plus処理に至るまで、全てをデジタルドメインで完結する構成となっている。加えてDC領域まで負帰還をかけることでDCオフセットを抑え、低域の利得低下や位相回転の要因となっている出力カップリングコンデンサーも廃した。こうした数々の技術により、高純度で原音に忠実なサウンドを得ることができるようになったという。

DA-310USBの筐体内部。赤枠で囲んだ小さなチップが、本機の心臓部ともいえるDDFAだ

DA-300USBでネックとなっていたハイインピーダンス機への対応という点においては、3段階のゲイン切り替えを設けて、600Ωクラスのヘッドホンも平然と鳴らし切る高い駆動力も獲得した。

USB入力は新たに384kHz/32bit PCMや11.2MHz・DSDに対応

USB入力も強化し、384kHz/32bit PCMや11.2MHz・DSDに対応。縦置きにも対応するボディも従来の樹脂からアルミ外装に変更された。サイズはやや大きくなったが、デザインはPMA-50などにならった、よりモダンなスタイルに進化。高級感漂う落ち着いた佇まいを備えた。

背面端子部。USB入力に加えて、光デジタル入力×2、同軸デジタル×1を搭載する

USB-DAC機能(ライン出力)については、TI製のDACチップ「PCM1795」を採用。44.1/48kHzそれぞれに超低位相雑音クロックを設け、DACチップ直近にクロックを配置しジッターを低減するマスタークロックデザインを採用する(ヘッドホン出力はDDFAでフルデジタル処理が行われるので、これらDACやクロックは用いられない)。USB入力や同軸デジタル入力に対しては、PCなどから流入するノイズを阻止するデジタルアイソレーターも搭載する。

アナログ回路も強化しており、カスタム電解コンデンサーや抵抗器、フィルムコンデンサーなど厳選したパーツで構成されている。電源に関しても、デジタル/アナログ系それぞれに専用のレギュレーターを用意して安定化を実施。こうした配慮がフルサイズ機と比肩する音質につながっている。

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