公開日 2015/12/18 14:21

あの高音質ストリーミングはラズパイオーディオで聴けるのか?

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(8)
海上忍
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ファイル再生だけがHi-Fiにあらず、現在では「ストリーミング」も有効な手段として認識されつつある。海外ではロスレス配信サービス「TIDAL」が注目されるなど、量で勝るGoogleやAppleといった大手企業のサービスに対し「質」において存在感を示している。では、ラズパイ・オーディオでストリーミングの質は追求できるのか……そのあたりの状況を説明したい。

連載目次
<第1回>
5,000円の手のひらコンピュータ「Raspberry Pi」で自作オーディオを始めよう!
<第2回>
Raspberry Piで自作する“ラズパイ・オーディオ”。音質をあのメーカーに聴いてもらった!
<第3回>
“ラズパイ・オーディオ” の音質を高めよう! 「クロックダウン」で再生を追い込む
<第4回>
“ラズパイ・オーディオ”をフルデジタルアンプ「DDFA」にI2S入力! 鮮烈な音に驚愕した
<第5回>
“音質も変わる? “ラズパイ・オーディオ” のデコーダーをカスタマイズ!
<第6回>
ラズパイは動画再生もイケる!ラズパイらしいYouTube再生アプローチ
<第7回>
ラズパイ・オーディオでアップサンプリング! CD音源を変換して高音質再生


ラズパイ・オーディオでストリーミングは可か不可か

以前にも書いたと思うが、筆者はデジタルオーディオ再生/リッピング環境をRaspberry Piにほぼ集約させている。PC(Mac)は内蔵ディスクの容量が不足気味ということもあり、すでに音楽プレイヤーとしての出番はほぼなく、CDの取り込みにすら使っていない。USBメモリに楽曲ファイルをコピーするなど、管理ツールとしては現役だが、今後メインのオーディオ再生機器として復権することはないだろう。

それほどまでに充実している「ラズパイ・オーディオ生活」だが、不満な点がひとつある。商用音楽ストリーミングサービスを楽しみにくいのだ。

多くの商用サービスは、オーディオ機器組み込みのソフトウェアやスマートフォンアプリを中心に展開しており、自由だがプロプライエタリな技術との相性が芳しくないラズパイ・オーディオ -- LinuxなどのオープンソースOSはオープンであるがゆえに著作権保護機構を要する商用サービスの対象とされにくい -- は、どうしてもサポート対象外にされがちだ。

それに、本連載でいうところのラズパイ・オーディオは、マウス/キーボードを利用した操作体系を敬遠している。物理的にもソフトウェア的にも“身軽さ”を重視しているため、ディスプレイをつなぎGUIで操作することは避けたいのだ。

仮にDRMなどの諸問題が解決されたとしても、MPDのようにコマンドで指示を出せる再生系との親和性が考慮されていなければ意味がない。WEBアプリを使うという手法であればラズパイ・オーディオでも実現の可能性大だが、ボタンのクリックを伴うようでは利用価値が大きく低下する。

現時点でのラズパイ・オーディオにおけるストリーミングサービスのサポート状況だが、可か不可かと問われれば「とりあえず可」と答えておこう。VolumioではMP3ストリーミングがサポートされており、WEBインターフェイス(搭載したWEBサーバと連係し、他のWEBブラウザからの操作を可能にする機構)と統合されているため、スマートフォンから気軽に選局できる。

VolumioにスマートフォンのWEBブラウザからアクセスすれば、WEBラジオをかんたんに楽しむことができる

ラジオ局の追加は、所定のフォルダ(/var/lib/mpd/music/WEBRADIO、SMBでネットワーク共有されているのでPCからアクセスできる)にURLを記述しただけのファイル(*.m3u)、またはiTunesなどで使用されるプレイリストファイル(*.pls)をコピーすることで行う。

Volumioの共有領域をPCにマウントし、「WEBRADIO」フォルダにプレイリストファイルをコピーすれば、WEBラジオ局を追加できる

WEBラジオ局のプレイリストファイル(M3U/PLS)は、PCでダウンロードしたほうがかんたんだ

Volumioには多数のM3U/PLSファイルが収録されているほか、膨大な数が存在するインターネットラジオ局の多くもフォルダへのファイル追加だけで楽しめるが、問題は「音」。いかんせんMP3であり、音質面での限界があることは事実だ。

次ページラズパイ・オーディオで高音質ストリーミングを楽しめる?

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