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公開日 2010/04/13 20:12

「4つの独自技術」がてんこ盛り − シャープ4原色3D液晶ディスプレイの実力を探る

折原一也がレビュー
折原一也
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昨日、シャープが4原色パネルを採用した3D液晶ディスプレイの技術発表を行い、今夏に本ディスプレイを搭載した3Dテレビを発売することをアナウンスした(関連ニュース)。

大きな盛りあがりを見せている3D液晶テレビに関連した技術発表会だけに、多くの報道陣が詰めかけ、注目度の高さを物語っていた。

今回発表されていた3D液晶ディスプレイには「4つのオンリーワン技術」が搭載されているが、2D表示時にも大きな画質向上が期待できる技術として、今年1月のInternational CESで世界初披露された、RGBにYを追加した4原色パネルにもぜひご注目頂きたい。

今回発表会場で、実際の画質クオリティを見比べるようなデモ展示が行われていたので、ファーストインプレッションをお届けしたい。

■RGB+Yの高いポテンシャルを実感

まず、米国ですでに発売されている、2D専用の4原色液晶テレビ「LC-LE810UN」の画質を見てみよう。やはりと言うべきか、その色鮮やかさは大きな特徴だ。展示用に用意された、広色域の再現性を重視したデモソースのみの視聴となるが、特に一目見て違いが分かるのがRGB+Yで追加されたイエローの美しさで、比較展示が行われていた「LC-LE700UN」にはない深みある色が出ており、特にデモソースではサックスの渋く重厚なゴールドが強く印象に残った。

右が北米で発売されている2D専用の4原色液晶テレビ「LC-LE810UN」

特筆すべき点は従来、RGB LEDバックライトの時などに指摘されていた、過剰な広色域で不自然さを覚えるような映像ではなく(かつては赤に力を入れた結果、肌色の調整に苦労していたものが多かった)、より自然な映像表現を実現していることにある。デモ映像の展示がひまわりの花のイエローと南国のエメラルドグリーンの海などシアン方向の再現性に力を入れており、他にも紫やオレンジなどの色も力強さを増している。ただし「デモ機は米国モデルであり、日本とはユーザーの色の好みも異なるため、国内ではこのまま発売するわけではない」(説明員)とのことだ。

4原色ではサックスの黄金色が非常に美しく表現されている

3原色モデルでは金色がやや黄色っぽく見える

広色域による高画質化へのチャレンジが成功するかは、パネルそのものの性能だけでなく、放送やBDなどの色域をいかに上手く拡張できるか、というファクターも大きい。他社ではパナソニックが「ハリウッド・リマスター」の名称で、PDPの広色域を積極的に用いることで深みある映像を作り出している。シャープが日本向けの製品として、どのようにしてパネルの持つ色域性能を料理し、画作りを完成させるかに注目していきたい。

■高輝度と鮮やかさを特徴とするシャープの3D液晶

さて発表会の目玉は、同社が「明るい大型3D液晶」と謳う3D映像だ。既に国内メーカーだけでも、パナソニックとソニーが先行して製品を発表しているが、シャープが差別化要素として打ち出したのは、明るく鮮やかで、クロストークの少ない3D映像だ。

シャープが開発した60インチの3D液晶ディスプレイ

シャープのオンリーワン技術の詳細は既報記事に譲るが、UV2A技術、RGB+Yの4原色、さらに240Hz駆動を実現するFRED技術、サイドマウントスキャニングLEDバックライトにより、テレビの光利用効率を従来モデル比で約1.8倍にまで向上させている。これにより、他社モデルは3Dメガネ越しの実測値が10〜60cd/m2であるのに対し、シャープは100cd/m2、コントラスト比5,500対1という性能を実現した。クロストークは、サイドスキャニングLEDによるバックライト点灯によっても抑えられている。

実際に会場に用意された60インチの3Dディスプレイは、天井の照明も近く、さらにちょうど向かい側に展示されていた液晶技術のデモが、光沢パネルの表面に映り込む場所に設置されていた。画質を評価する際にはもちろん不利な条件だが、このような条件下であってもデモ機の映像は非常に明るく、そして立体感が十分に出ていた。クロストーク(二重像)についても、デモソースを見る限り気にならなかった。

「明るい大型3D液晶」の名の通り、3Dのクオリティは「明るさ」と「鮮やかさ」に特徴がある。暗闇のステージを撮影した実写映像では、まるでCGを彷彿とさせるような立体感を感じさせるし、水中を撮影した映像でも、物体の輪郭がクッキリと表現されている。

最終的な画質評価は、他社機と同じソースで視聴する機会を待ちたいが、明るさと鮮やかさというシャープの3D液晶の特徴は特にゲームなどのコンテンツに有利だろう。

国内メーカーによる3D対応テレビ(または今回の試作ディスプレイ)のデモを見るのは今回のシャープで3社目となるが、深みある黒で映像への没入感を高めているパナソニックに対し、明るく鮮やか志向を打ち出しながらも基幹技術が異なるソニー、シャープと、各社それぞれ差別化を図っているのは興味深い。同一条件で比較した際に、どのような違いが出るか大変興味深いが、今回発表された技術を搭載したシャープの3D対応テレビは5月発表、国内では夏商戦に向けて発売される。各社の3D対応テレビが揃う夏に向け、3D画質競争の動向から目が離せない。

(折原一也)

執筆者プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。

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