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公開日 2023/03/03 06:30

ティアック「VRDS-701」速報レポート!詳しい仕様とサウンドをひと足早くに体験

TASCAM譲りのドライブ技術を応用
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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先日、フロリダのオーディオショウでティアックの“700番シリーズ”に当たるCDプレーヤー「VRDS-701」が出展されるというニュースがオーディオ界を駆け巡った。すでにSNSで大きな反響を見せている本機について、一足早く詳しい仕様を教えてもらうとともに、同社試聴室にてその音を体験させてもらった。その速報レポートをお届けしよう。

ティアック「VRDS-701」

すでに発表されている通り、今回の「VRDS-701」最大の目玉は、型番にもある「VRDSメカドライブ」を搭載していることにある。V.R.D.S(Vibration-Free Rigid Disc-Clamping System)といえば、まさにティアックのお家芸と言えるディスク再生技術で、ターンテーブルをCDの上からクランピングすることで安定した回転を実現するとともに、ディスクの反りや歪みを低減し、ピックアップの負荷を下げることで読み取り精度を向上させるというもの。

今回の「VRDS-701」はものすごくざっくりと説明すれば、「UD-701N」からネットワーク機能を省き、VRDSメカドライブを搭載しCD再生を可能にしたもの、ということができる。なお、SACDの再生は非対応で、CD再生専用機となる。

シルバー仕上げ

ブラック仕上げ

そのため、「UD-701N」で搭載されている機能のほとんどが踏襲されている。例えば自社開発のディスクリートDACを搭載している点や、フルバランス・デュアルモノラル構成であること。ヘッドホンアンプを搭載することに加え、プリアンプとしても活用できる。つまり、UD-701Nと同様、パワーアンプと直結して最小限でのシステムを構成できるということになる。

「VRDS-701」はプリアンプも搭載しているため、パワーアンプ「AP-701」と直結して最小限のシステム構成が可能

ただし、CD再生周りの基板はすべて本機のために新規に設計されたもの。

ティアックブランドとしてVRDSドライブを搭載するCDプレーヤーは、2003年に発売となった「VRDS-15」以来20年ぶりとなる。この間エソテリックブランドでは、同名称を冠するドライブを搭載したSACD/CDプレーヤーが発売されてきたが、今回の「VRDS-701」のメカの背景はそれとは異なる。そのバックボーンとなるのは、業務用機器TASCAMで培われてきたディスクドライブの技術なのだという。

例えばCDトレイの開閉の速さや、CDのローディングの速さなどは業務機で要請されるスペックを満たすものとなっている。またサーボの制御についても自社でメカドライブを開発しているからこそ、細部まで手を入れて音質を追い込むことができるのだという。トレイにさり気なく「VRDS」の文字が印字されているのもニヤリとさせられる。

トレイの引き出し部には「VRDS」の文字も

特別にVRDS-701の天板を外して内部も見せてもらった。なお、見せてもらったのは音決めの最終段階のもので、量産品については多少の変更がある可能性があるとのこと。手前側がフロントで、左側にメカドライブ、右側が2段構成になっており上段がアナログ部、下がデジタル処理部となっている。それぞれに3つの電源トランスが配置されているが、よく見ると一番右のアナログ用のトランスは音質も考慮し少し大型のものが採用されている。

天板を開けたところ。左がディスクドライブ、右がデジタル/アナログ部。3つのトランスは一番右の少し大きいものがアナログ用となっている

メカドライブを見てみると、トレーの引き出し部の上にアルミの円板が配置されており、CDが挿入されるとこの円板がCDを上から抑え込み、精度の高いピックアップを実現する。上のブリッジ部分の形状も、剛性と軽量を両立させるべく何度も試作を繰り返し決定されたものだという。またドライブのマウントについても、リジッドに締め付けすぎず、適度に遊びをもたせて設計されている。700番シリーズで培われた、「柔」と「剛」を巧みに使い分け筐体に無駄な力がかからないようにする技術がここにも応用されているのだという。

新規開発されたCDメカドライブ。アルミのターンテーブルがCDをクランピングし回転の安定とディスクの読み取りエラーの減少を実現する

フロントにはボリューム調整と選曲・設定などを行うジョグダイヤルが2つ、再生停止などを行うボタンが4つ搭載されている。またUD-701N同様に小型のディスプレイも装備。CD再生の場合はトラックナンバーや時間、USB-DAC(背面にType-C端子を搭載)として使う場合は再生フォーマットなどが表示される。ちなみにMQA-CDも再生可能で、MQAのコアデコーダーとしても使用できる。そのほかデジタルフィルターやアップコンバート機能なども搭載、さまざまな設定をリモコンあるいは本体で行える。

背面端子。USB Type-Cのほか、COAXIAL/OPTICALの入出力を装備。アナログ出力はRCAとXLRを各1系統

デスクトップオーディオとしての使用も想定しており、UD-701N譲りのヘッドホンアンプも見逃せない。ただし、4pinバランスヘッドホン端子は省かれており、6.3mm出力のみ。手元で操作することも考え、選曲のしやすさやジョグ回しのニュアンス感も含めた「触り心地」にもこだわって開発したという。

UD-701N同様、ライン出力はFIX(固定)とVARIABLE(可変)を選択できる。パワーアンプ直結も可能であるが、FIX出力のままパワーアンプにつないで再生すると、最悪の場合スピーカーを壊してしまう恐れがある点は注意が必要だ。

専用リモコン。選曲、ボリューム調整等のほか、フィルターの設定やアップコンバートなどもリモコンから設定できる

ちなみに、DAコンバーターを搭載する「VRDS-701」の他に、CDトランスポートのみに特化した「VRDS-701T」も同時に発売されるという。すでにUD-701Nを所有しているユーザーに対して、DAコンバーター部が重複してしまうことを配慮してのラインナップだという。もっとも、現行製品でCD専用トランスポートというのはあまり数が多くないので、手持ちのお気に入りのDACと組み合わせるという選択も大いに有り得る。

さて、いくつかのCD音源も聴かせてもらった。「交響組曲 もののけ姫」では、伸びやかで豊かなオーケストレーションが耳に自然に飛び込んできて、思わず音楽そのものに身を委ねてしまう。肩肘張らないナチュラルなステージ表現だが、楽器ひとつひとつの質感の表現も非常に細やかかつ艷やか。それでいて派手に見せつけるような感じではなく、ただ自然に音楽が目の前に解き放たれてゆく。

B&Wの「800 D3」にて早速音をチェック!

パワーアンプ直結による鮮度の高さもさることながら、「CDにはここまでの音が収められていたのか!」という新鮮な驚きに満たされる。CDのパッケージを開けて、ワクワクしながら再生ボタンを押す。時々パッケージやライナーノーツを読み返す。そんな「音楽と向き合う時間の大切さ」を改めて思い出させてくれるようだ。

アデルの「Hello」では、隅々までコントロールされた彼女のヴォーカル、そして消えゆく余韻の美しさはまた格別。インストゥルメンタル・ジャズグループのスナーキー・パピーでは、さまざまな楽器を駆使して高さや奥行きも含めた3次元的なステージング構成の技術に舌を巻く。

今回はあくまで「CD再生」かつ「スピーカー再生」に絞った形で試聴したが、共通しているのは伸びやかでどこも手詰まったところがない、自然に呼吸と音楽が一体になるような音楽体験である。そして、「CDってまだまだ面白い!」と思わせてくれる豊かさに溢れている。

横幅こそフルサイズだが、高さも低く奥行きも浅いので、たとえばテレビラックの下に置き、HDMI搭載アンプのアナログ入力と接続すれば、リビングに立派なオーディオシステムが完成する。専用室だけではなく、リビングやデスクトップオーディオとしても活躍できそうと、さまざまな想像力が広がってゆく。

ストリーミングサービスの発展やレコードの復権が取り沙汰される中ではあるが、実はCDプレーヤーに対する需要も根強く存在する。日本のみならず、香港や中国などからも引き合いが強いという。

発売日や価格などは今後また改めて正式発表するとのこと。今回はあくまでVRDS-701の最終モデルの先行試聴という形だったが、CD再生+ヘッドホンアンプの実力や、トランスポートVRDS-701TとUD-701Nを組み合わせた場合のポテンシャルなど、ますます興味は深まるばかりだ。これらについても、PHILE WEBでは引き続きレポートしていく。こちらも楽しみにしていてほしい。

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