公開日 2019/10/25 07:33

数倍の価格のモデルに匹敵、デノンが4年かけて作った新フラグシップ “SX1 LIMITED” レビュー

素材やパーツの吟味でさらなる高音質化
日本きっての老舗オーディオメーカーが節目に送り出す“SX1 LIMITED”

デノンのプリメインアンプ「PMA-SX1」とSACDプレーヤー「DCD-SX1」が、それぞれ「PMA-SX1 LIMITED」「DCD-SX1 LIMITED」に進化した。デノンは世界に冠たる我が国の老舗オーディオメーカーである。前身の日本コロムビアを含めると1世紀以上の長い歴史があり、2020年には創業110周年を迎える。

「PMA-SX1 LIMITED」(780,000円/税抜)

「DCD-SX1 LIMITED」(750,000円/税抜)

同社がプリメインアンプを手がけ始めたのは1972年のこと。当初から高い技術力を有していたが、現在につながるアンプ技術が確立されたのは「POA-S1」というモノラルパワーアンプをリリースした1993年だと筆者は認識している。このモデルの開発を通じて得られた、終段の素子であるUHC-MOSをシングル・プッシュプルで使用する回路設計や、パーツをメカニカルにグラウンディングさせる手法は、現在のプリメインアンプ群でも踏襲されている。

デジタルディスク・プレーヤーに関してもデノンの歴史は長く、1983年には放送局用の据え置き型CDプレーヤー「DN-3000FC」をリリースし、CDの普及に大きく貢献した。現在のプレーヤーの流れを作ったのは2010年にリリースした「DCD-SX」である。このモデルはSACDプレーヤーとして機能するのみならず、高度なアップサンプリング機能を装備しており、通常のCDからハイレゾを思わせる滑らかな再生音を得られるのが大きな特徴だった。

山内サウンドマネージャーが4年をかけ、最高級機をさらに磨き上げた

「PMA-SX1」と「DCD-SX1」の立ち位置を確認しておこう。両モデルはデノンブランドの最高級品として企画され、後者が2013年に、前者が2014年にリリースされた。両モデルの大きな特徴は、必ずしもスペックにこだわらず、ひたすらに高音質を目指したことだ。

「SX1 LIMITED」のベースとなった、「PMA-SX1」「DCD-SX1」

PMA-SX1の出力は50W×2(8Ω)。この数字はすぐ下のモデルである「PMA-SX11」(110W×2)の半分以下である。しかしながら回路を全段フルバランスとしたり、トーンコントロールやバランス調整回路、プリアウトを省いたり、超高級パーツを投入したりするなど、質にこだわった製品作りがなされている。

また、電子式音量調整回路が主流になっている今日にあって、バッファー段を省略できるアナログ式音量調整回路にこだわっていることも見逃せない。DCD-SX1は開発時期が早かったこともあって、USB入力はDSD 11.2MHzまでのフルスペックではないのだが、アマチュアのリスナーが楽しんで使用するうえではほとんど問題にならないというのが筆者の見解である。

“SX1 LIMITED”は同社のサウンドマネージャー、山内慎一氏が4年の歳月をかけて作り上げたものだ。山内氏がサウンドマネージャーに就任したのは両モデルのオリジナルが世に出た後の2015年のこと。当初は研究のつもりでパーツの変更が及ぼす音質改善効果を探っていたそうだが、途中から発売予定の製品開発という扱いになったという。

オリジナルモデルをベースに、サウンドマネージャー山内氏が理想のサウンドチューニングを追求した

両モデルともオリジナルから基本的な設計に変更はないものの、カスタムメイドの電解コンデンサーやA7075超々ジュラルミン製のトップパネルと脚部などといったスペシャルなパーツが加えられた。山内氏は“VIVID&SPACIOUS”という言葉をキーワードとして音作りを進めたという。おそらくは躍動感と音場感を重視したチューニングを行ったのだろう。

外見上、オリジナルモデルとの明確な違いのひとつが、正面パネル右下の「LimitedEdition」バッジ。他、超々ジュラルミンのトップパネルや脚部なども異なっている

次ページディスク、レコード、USBの3音源で音を確認

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX