公開日 2019/04/18 06:00

買って後悔なしの「ペア10万円以下スピーカー」はこれだ! 本命13機種を一斉レビュー(前編)

ユーザー目線で集中試聴



<試聴モデル5>
DALI「OBERON1」 57,000円(税抜)

ダリ「OBERON1」

【主なスペック】 外形寸法:162W×274H×234Dmm、質量:4.2kg、ユニット:29mmソフトドーム・トゥイーター/130mmウッドファイバー・コーン・ウーファー、カラー:ダークウォルナット/ブラックアッシュ/ライトオーク/ホワイト、再生周波数帯域:51Hz-26kHz、能率(2.83V/1m):86dB、インピーダンス:6Ω、最大出力音圧レベル:106dB、推奨アンプ出力:25-100W、クロスオーバー周波数:2.8Hz、端子:シングルワイヤ/バナナプラグ対応

■どこまでも快適な心地よい質感を楽しませる

DALI(ダリ)はデンマークのスピーカーブランドで、世界的にも高い人気を持ち、日本国内でも圧倒的な販売数を誇っている。それだけに、万人に受け入れられる明朗なサウンドと、人気ブランドだからこそ実現できる、極めて高いコストパフォーマンスを備えていることが特長だ。

試聴室に設置したOBERON1

本機は同社の新たなエントリーモデルで、この度、贅沢にも上位機からの技術を移植。ダリの顔ともいえるウッドファイバー・コーンを搭載したウーファーユニットには、歪みを抑えるSMCマグネット・システムを搭載するとともに、駆動力強化のために、軽量性が追求された4層巻きのボイスコイルを搭載するなど、大きな刷新が図られている。

質感のよいカジュアルなサランネットなど、北欧製品らしくシンプルかつモダンなルックスが印象的だ。トゥイーター周囲がシルバーのパーツで仕上げられていたり、ウッドファイバー・コーンに木の繊維が見え隠れする感じなどが実にスタイリッシュである。

サランネットを装着したところ

背面端子部

そのサウンドは、透明度が高く歪みを感じさせない、スムーズで見通しのよいものだ。ヴォーカルの瑞々しさやアコースティック楽器のフレッシュな質感が素晴らしい。ギターやシンバルの音色には、まるで、おろしたての弦や磨きたてのシンバルのような、透き通った美しさが味わえるのだ。ベースの量感も程よくボリュームがあり、音色がドライにならないバランスの良さを持っている。

【相性のよかった音楽ジャンルとそのポイント】
どんな音楽ソースも、高い解像感で、なおかつどこまでも快適な心地よい質感を楽しませてくれる。それだけに、ソースが良質で情報量に富んでいればいるほど、その心地よさが光った。


<試聴モデル6>
TEAC「S-300HR」 ¥OPEN(予想実売価格62,000円前後)

ティアック「S-300HR」

【主なスペック】 外形寸法:184W×260H×229Dmm、質量:4.4kg、ユニット:25mmチタンドーム型トゥイーター/130mmペーパーコーン型ウーファー、カラー:チェリー/ピアノブラック、再生周波数帯域:50Hz-50kHz、能率:86dB/W/m、インピーダンス:6Ω、定格入力:50W(最大100W)、クロスオーバー周波数:3.5kHz、端子:バイワイヤ/バナナプラグ対応

細部までもが手に取るように聞き取れるクリアさ

TEAC(ティアック)は、手ごろな価格で良質なオーディオ機器を展開する国内メーカーだ。ハイエンドオーディオのESOTERICブランドのほか、業務用放送機器ブランドTASCAMを有し、ハイエンドやプロ機で培った技術が同社製品にも惜しみなく投入されている。

試聴室に設置したS-300HR

本機は、20年ほど前に発売したロングセラースピーカー S-300を踏襲するもの。トゥイーターとウーファーを同軸配置、つまり同心円上に重ねて配置することで、高・低、両ユニットの発音位置を揃えて、音域を問わず明瞭な音の定位を実現する。トゥイーターユニットには、新たに50kHzまで再生可能なチタン製の振動板を搭載し、ワイドレンジな高域性能を備えている。

やはり、同軸型の利点が生かされ、音の定位感の良さが抜群だ。左スピーカーから右スピーカーにかけて、それぞれの位置に配置された楽器の像が、同一線上に、まるでひと巻きの絵のように展開していく姿が壮観だ。加えて、主役のヴォーカルが前方で、伴奏楽器が後方へと、音像の前後感もしっかりと再現される。

サランネットを装着したところ

背面端子部

音色としては、チタン製トゥイーターの存在感がひとしおだ。癖のないバランスで素直な音色を持ち、旋律の動きからヴォーカルのブレスなどまで、細部までもが手に取るように聞き取れるクリアさがある。ヴォーカルや旋律楽器の存在がグイグイと聴き手に迫ってくる印象だ。一方で、低域のボリュームは過度に膨らむことがなく、あくまで適切な量感で再現され、実にモニター的なバランスの良さがある。

【相性のよかった音楽ジャンルとそのポイント】
ロックやポップスで、リードギターやヴォーカルなどが、前へ前へとエネルギッシュに迫ってくる姿が印象的だ。総じて、音楽の勢いやパワフルな押し出しが重視されるジャンルに特にマッチした。



後編では、KEF「Q350」、オンキヨー「D-212EXT」、B&W「607」、ディナウディオ「Emit M10」、JBL「4312MII」、ファインオーデイオ「F500」、フォーカル「Chorus 706」と、約7万円〜10万円までの7モデルの魅力を探っていきたいと思う。

(生形三郎)


>>記事後編はこちらから

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