テレビ選びの新基準とは? 画質だけでは語れない「没入感」と空間デザインの関係

没入感を左右するのは画質だけではない──見落とされがちな要素とは
テレビを選ぶ際、多くの場合は画質や⾳質、あるいは価格やサイズといったスペックが重視される。もちろんクオリティやスペック、価格は重要だ。テレビはリビングや寝室といった空間の中核に設置されるプロダクトだ。
そのため、「どのように映るか」だけでなく「空間の中でどのように存在するか」が、体験の質に⼤きく影響する。例えば、フレームの存在感や壁⾯からの浮き、露出したケーブルといった要素は、無意識のうちに視界へ⼊り込み、映像への集中を妨げる“ノイズ” となる。
そうした余計な要素を排し、空間と⼀体化させることで、結果として映像への没⼊感そのものが⾼まる──これは、これまであまり語られてこなかったテレビの価値のひとつと⾔えるだろう。テレビは単なる映像表⽰装置ではなく、空間体験そのものを左右する存在である。
デザイナー視点で読み解くテレビの条件
デザインと映像のクオリティは別々の評価軸ではなく、本来は密接に結びついている。デザインは単なる⾒た⽬の問題ではなく、視聴体験の質そのものに関わる要素だからだ。では実際にインテリアの現場では、テレビはどのように選ばれているのか。
今回は、建築とインテリアの双⽅に精通する⼀級建築⼠であり、統括デザイナーでもある町⽥瑞穂ドロテア⽒に、デザインという観点からテレビのあり⽅について話を聞いた。
町⽥⽒は「壁掛け前提の空間では、LGの有機ELテレビを選ぶケースが⾮常に多いです」と語る。
続けて、「お客様から“LGのテレビでお願いします” と指名されることも珍しくありません。特にインテリアとの調和を重視する場合は、優先順位が⾼い選択肢になります」とのことだ。
ここで重要なのは、この選択が単なる「ブランドイメージ」によるものだけではなく、設計上の合理性に基づいた選択であるという点だ。お話を伺う中で、ひとつ気づいたことがある。
確かに、インテリア雑誌や建築系のウェブメディアで紹介される住宅事例を⾒ている と、デザインの完成度が⾼いリビングや寝室ほど、テレビの存在感が極端に抑えられている。
そして、その写真の中に写り込んでいるテレビの多くがLGのテレビであるということに気づいた。もちろん、単なる偶然の可能性も否定はできない。しかしその後、複数の建築家やインテリアデザイナーに話を聞くと、同様の傾向が確認される。
テレビはこれまで画質や⾳質という「クオリティ軸」で語られることが多かった。もちろん画質・⾳質は最重要なポイントである。しかし空間デザインにおいては、それ以前に「テレビがどのように存在するか」が問われる。テレビはリビングをはじめとする空間の中⼼に設置されることが多い。そのため、空間要素として成⽴するかどうかという評価軸も重要になるのだ。
そうした視点から⾒たとき、LGの有機ELテレビのフラグシップとなるLG OLED G5(2025年モデル)シリーズは、空間要素としてどのような意味を持つのだろうか?
町⽥⽒のコメントとともに、設計・映像・体験の3つの側⾯から検証していく。
壁面と一体化するテレビ──One Wall Designの設計思想
LG OLED G5シリーズの空間要素としての特徴としては、壁掛け設置を前提とした
「One Wall Design(壁にピタッとつくフラットデザイン)」が重要なポイントとなる。単に薄型であるというだけでなく、「壁との⼀体化」を設計思想の中⼼に据えている点が特徴的だ。
⼀般的なテレビは、壁⾯から数センチ浮き、側⾯・背⾯の構造が露出する。この「浮き」や「段差」はインテリアにおいてはノイズとして作⽤する。町⽥⽒はこの点を具体的に指摘した。
「壁掛けにしたときに、側⾯の厚みや機構が⾒えるかどうかは重要です。例えば寝室でドアを開けた瞬間にテレビ側⾯が⾒えることがありますが、そのときに壁⾯からの出や側⾯の構造・配線といった“裏側の情報”が⾒えるなど、視覚的な情報量が多いと空間の完成度が下がります。
さらに、そうした余計な情報は視界に⼊り続けることで、映像への集中を妨げてしまう要因にもなります。できるだけノイズを排除することで、映像そのものに意識が向きやすくなり、結果として没⼊感も⾼まるのだと思います。
また、正⾯から⾒た際のフレームの在り⽅も重要な要素です。フレームに凹凸がある か、モニター⾯と⼀体化したようにフラットかという違いは⼤きいです。1mm単位でも印象は変わるので、そこはかなり効いてきます。その点、このテレビはフレームと画⾯の境界が極めて曖昧で、ひとつの⾯として認識されるためノイズになりません」
LG OLED G5シリーズの価値は「薄さ」そのものだけでなく、壁⾯と⼀体化する前提で成⽴しているデザインにあると⾔えるだろう。
「黒い長方形」を消す──非視聴時まで含めたデザイン
もうひとつ、町⽥⽒が指摘していたのは、テレビを視聴していない時に「⿊い巨⼤な⻑⽅形」にならないという点だ。テレビは、視聴していない時間の⽅が圧倒的に⻑い。そのため、電源がオフの状態でどのように⾒えるかは、インテリアにおいて無視できない要素となる。
従来のテレビは、電源を切ると「⿊い⻑⽅形の物体」として壁⾯に残る。特に⼤型化が進むほど、その存在は強い違和感となる。町⽥⽒もこれまでの設計においてこの問題に対処してきたという。
「テレビをインテリアに取り⼊れるときは、⿊い画⾯だけが浮いて⾒えないように、周囲の素材や⾊を調整することが多かったです。壁の中に“⽳が開いたように⾒える”状態にならないように意識してきました」
しかしLGのテレビではこの前提⾃体が変わる。⼀部の液晶テレビを除くLGテレビには LG Gallery+という、絵画や写真、時計などを表⽰できる常設表⽰機能がある。
「今回⾒せていただいたような、窓の映像や環境映像を表⽰できる点はすごく良いと思いました。窓のように移り変わる景⾊を拝⾒して、空間に⾃然に馴染んでいると感じました。モニターは光を発する存在なので、景⾊のように光を含んだ環境を映し出すことで、空間との親和性がより⾼まるのだと思います」
さらに、フレームやロゴの主張を抑えたデザインも、この「⾮視聴時の⾒え⽅」に寄与している。
「フラットに⾒えるのがいいですよね。フレームが細くて凹凸がなく、前⾯はほぼ映像。余計な情報がないことで、画⾯を空間の⼀部として扱いやすくなります」
テレビは、映像を視聴するための装置であると同時に、視聴していない時間をどう過ごすかを設計するプロダクトでもある。LG OLED G5シリーズは、その点においても従来のテレビとは異なるアプローチを取っている。
有機ELの黒表現がもたらす視覚的ノイズの低減
次に映像性能に⽬を向けると、LGの有機ELパネルが持つ特性が、インテリアとの関係においても重要な意味を持っていることが読み取れる。有機ELは各画素が⾃発光するため、⿊を表⽰する際には完全に発光を停⽌できる。
この「完全な⿊」は、コントラスト向上だけでなく、視覚的なノイズ低減にも寄与する。町⽥⽒のLG OLED Gシリーズに対する評価はこの点に集中している。
「⿊と⾊が付いている部分の境界がすごくきれいに⾒えます。物と物の輪郭が⾃然に⾒えるというか、現実に近い感じがあります」
さらに、液晶との違いについても具体的な⾔及がある。
「液晶の映像はどこか⽩い膜がかかっているように⾒えることがあって、それにストレスを感じることがあります」
ここで重要なのは、「⾼画質」という抽象的な評価ではなく、視覚の⾃然さ=疲労の少なさ=空間との親和性という関係性である。
没入感は設置で決まる──デザインと映像の関係
LG OLED Gのデザインにおいて、もうひとつ重要なポイントは画⾯以外の要素を徹底的に排除している点だ。フレームの極⼩化、ロゴの⾮主張、配線の不可視化。これらはすべて、「視線を画⾯に集中させる」ための設計である。
没⼊感は、パネル性能だけで決まるものではない。設置状態や外形デザインによって視界から余計な情報がどれだけ排除されているかが、⼤きく影響する。なぜなら、⼈の視覚は映像そのものだけでなく、その周囲に存在するフレームや凹凸、壁⾯からの浮きといった要素も同時に認識してしまうからだ。そうした視覚的ノイズが少ないほど、意識は⾃然と映像へと集中し、結果として没⼊感が⾼まる。
町⽥⽒も体験としての違いを次のように語る。
「周りに余計なものが⼊ってこないので、映像に集中しやすい。気づいたらずっと⾒てしまうような感覚があります」
また、壁⾯との⼀体化が没⼊感に寄与している点も指摘する。
「壁にピタッとつくことで、テレビという“物体” を意識しなくなります。その結果、映像そのものに⼊り込めるのだと思います」
実際に見て確認できる有機ELの質感とリアリティ
ここまで設計やスペックの観点からLG OLED G5を⾒てきたが、最終的な評価を決定づけるのはやはり実際の映像体験である。今回、町⽥⽒には映画コンテンツを中⼼に複数の映像の視聴体験を通じて得られた画質・⾳質に対する率直な評価と、ストレスアナリストとしての視点からウェルネスという点についても尋ねてみた。
まず最初に挙がったのは、暗部表現の質の違いだ。
「暗いシーンでも影がきれいに映し出されていて、ディテールもしっかりと⾒えるのに、不⾃然に強調されることがない。そのバランスがとても⾃然でした」
さらに印象的だったのは、被写体の存在感に関するコメントである。
「⼈物の⾒え⽅がすごくリアルで、本当に⽬の前にいるような感覚になりました。ブラッド・ピットがそこにいるみたいで、“挨拶したくなる” くらいでした(笑)」
⿊の締まりによって背景が整理され、⾊再現の精度が⾼まることで、被写体が前に“浮き上がる” ように認識されるためだ。また、映像の⾃然さという観点では『FILMMAKER MODE(フィルムメーカー・モード)』の評価も⾼い。
「FILMMAKER MODEで⾒たときが⼀番⾃然で楽でした。変に強調される感じがな
く、⾃然に⻑時間⾒ていられる映像です」
⼀般的にテレビの⾼画質モードでは、視覚的なインパクトを優先してコントラストや⾊を強調する傾向がある。⼀⽅で『FILMMAKER MODE』は、制作者の意図に忠実なトーンを再現することを重視しており、⻑時間視聴時の負担を抑える効果も期待できる。
町⽥⽒の評価からもわかるように、重要なのは“派⼿さ” ではなく、映像の違和感の少なさと⻑時間視聴可能な⾃然な映像体験である。
視野角がもたらす空間的自由度
さらに、視野⾓の広さも印象的だったポイントのひとつだ。有機ELは構造的に視野⾓が広く、どの位置から⾒ても⾊やコントラストの変化が極めて少ない。
町⽥⽒も、この点を体感として捉え、コメントした。
「斜めから⾒ても、⾒え⽅がほとんど変わらないのがいいですね。空間の中でどこにいても違和感なく⾒られ、設置場所の⾃由度も⾼いと思います」
特にリビング空間では、視聴位置はテレビの正⾯に置かれるソファだけに限定されない。例えばダイニングやキッチンからだと、テレビを斜めから⾒るようなケースも発⽣する。そうした環境において、さまざまな⾓度から⾒ても画質が崩れないという特性は、単なるスペックではなく空間設計上のメリットとしても機能する。
明るいリビングでも成立する有機ELの進化
従来、有機ELは「暗い環境で真価を発揮する」という印象が強かった。しかし最近では輝度性能が向上し、リビングのような明るい環境でも⼗分な視認性を確保している。
今回の視聴でも明確に感じられたと町⽥⽒はコメントする。
「今回拝⾒したのは、事務所の天井照明が点灯している明るい環境でしたが、その中でも映像がしっかりと⾒えました。⽬を凝らすことなく⾃然に視聴できるため、ストレスが少ない点が良いと感じました」
ここでも注⽬すべきは、輝度そのものだけではなく、輝度とコントラスト、そして⾊再現性のバランスが適切に取られている点だ。単純に輝度を上げるだけでなく、明るい光の中でも破綻しない映像設計がなされていることが確認できる。
個人最適化という新しいテレビの価値
さて、LG OLED G5シリーズでは、AI機能によるパーソナライズも⼤きな特徴となっている。
パーソナルピクチャーウィザードという機能は、複数の映像パターンから好みを選ぶことで、⾃動的に画質を最適化する機能だ。
「同じ映像でも好みは複数に分かれますし、その最適化の設定を選択式で答えていくアプローチがとてもわかりやすいと感じました」
さらに、AI⾳声IDによってアカウントを切り替えることで、家族それぞれに最適な設定を適⽤できる。
「家族それぞれの設定ができるだけでなく、⼀⼈で視聴する際にも、映像に応じた明るさや⾳の設定をIDとして保存し、⾳声で切り替えられる点が良いと感じました」
加えて、町⽥⽒が興味深い視点として挙げたのが、「⾒え⽅の個⼈差」への対応だ。
「例えば年齢によって⾒え⽅は変わりますし、⽩内障の⽅だと映像の⾊や明るさの感じ⽅も違ってきますよね。そういう意味で、明るさや⾊の出⽅を個⼈ごとに調整できるのは、とても理にかなっていると思います。わたしの個⼈的な好みになりますが、あまり明るすぎると疲れてしまう。そういう個⼈ごとの映像の好みの違いを吸収してくれる機能はとてもよいですね」
テレビはこれまで、同じ画⾯を同じ設定で共有する前提のデバイスだった。しかし現在では、ひとつの画⾯を家族で使いながらも、視聴体験そのものは⼀⼈ひとりに合わせて最適化できるようになってきている。
最後に、⾒逃せないのが視聴時の疲労に関する評価だ。有機ELはフリッカー(ちらつき)もほとんど発⽣せず、ブルーライトも抑えられている。また、低反射設計により外光の影響も少ない。
ストレスアナリストでもある町⽥⽒には、しっかりと計測する必要があるという前提の上で、今回の取材を通じて体感した印象を語っていただいた。
「これまでテレビを⾒ていると疲れやすかったのですが、理由がわかった気がします。光のオンオフやちらつきが影響していたのかなと。このテレビを⾒ていると、そのストレスがかなり少ないです。これならば⻑時間⾒ても⼤丈夫だと感じました」
映像機器としての性能評価において、疲れにくさも重要な指標であることを⽰唆するコメントと⾔える。
テレビの評価軸は「没入感」──デザインとクオリティを統合する
今回の取材を通じて⾒えてきたのは、テレビの評価軸として、デザイン性とクオリティが切り離せない関係にあるという事実だ。
インテリアデザインの視点では、「壁⾯処理として成⽴するか」「空間にノイズを⽣まないか」「視覚的に⾃然か」といった点が重要になる。⼀⽅、映像の観点では、「⻑時間視聴に耐えられるか」「個⼈最適化が可能か」といった要素が求められる。当然、画質や⾳質というクオリティの評価軸もある。
これらは⼀⾒別々の評価軸のように⾒えるが、最終的には「どれだけ⾃然に映像へ没⼊できるか」という⼀点に収束する。
そして、その没⼊感を成⽴させるためには、⾔うまでもなく映像や⾳のクオリティそのものも⾼い⽔準で満たされていなければならない。
こうした複数の要求をトータルで満たすプロダクトとして、LG OLED G5シリーズは設計されている。
「テレビは空間に設置される存在である以上、インテリアとして成⽴していることは⼤前提です。そのうえで、映像としての違和感のなさや、⻑時間視聴における疲れにくさも含めて、全体が⾮常に⾼いレベルで整っていると感じました。
どこかひとつの性能が際⽴つというよりも、すべてが調和していることで、“⾃然に使い続けられる” という安⼼感が⽣まれているのだと思います。空間の中に置いたときにも違和感がなく、映像に向き合っているときにもストレスがない。その両⽅が無理なく成⽴しているプロダクトだと感じました」
このコメントが⽰しているのは、テレビの評価軸が単なる画質やスペックにとどまら ず、空間との関係性や視聴体験の質まで含めた総合的なものへと広がっているということだ。⾔い換えれば、デザインと映像性能は別々に語られるものではなく、最終的には “どれだけ⾃然に没⼊できるか” という⼀点に収束していく。
テレビは単なる映像表⽰装置ではなく、空間と感動体験を設計する装置である。その変化を最も端的に体現しているのが、LG OLED G5シリーズだと⾔えるだろう。それは、テレビという存在が「画⾯を⾒るためのもの」から「空間全体で体験するもの」へと変わりつつあることを⽰している。
