DALIの新エントリーシリーズ「SONIK」でHi-Fi&イマーシブサウンドの音質を徹底レビュー
北欧デンマークのスピーカーブランドであるDALIのエントリーとして、2018年に誕生以来人気を博していた “OBERONシリーズ” が、この度 “SONIKシリーズ” にリニューアルを果たす。近年、DALIはフラグシップである「KORE」に投入された技術を反映した製品を次々に誕生させているが、当然SONIKもその流れの上にある。
ステレオだけでなくサラウンドも楽しめる、センタースピーカーやオンウォール型を含めたマルチチャンネル向けのラインナップを揃え、価格についても値上げの幅を抑えたリーズナブルな設定として幅広いニーズに応えるスピーカーシリーズとなっている。
本稿ではSONIKシリーズで組むことができる2段階のマルチチャンネルシステムと、シリーズの最上位フロアスタンディング型「SONIK 9」でのステレオ再生を試す。
上位フロア型にハイブリッド・トゥイーターをエントリーシリーズ初採用
まずはSONIKシリーズの概要について解説していこう。OBERONシリーズのサイズ感や基礎的な構成を踏襲しつつ、上位のフロア型「SONIK 9」と「SONIK 7」においては格上のシリーズで導入されていたプレーナー型トゥイーターを搭載するなど、単なる後継ではなく、全く新しい構成へとブラッシュアップされている。
ラインアップとしては2ウェイ・ブックシェルフ型の「SONIK 1」「SONIK 3」、フロアスタンディング型「SONIK 5」「SONIK 7」「SONIK 9」そしてセンタースピーカーの「SONIK CINEMA」、オンウォール型の「SONIK ONWALL」の7モデル。
このうちSONIK 1とSONIK 5、SONIK CINEMA、SONIK ONWALLはウーファーサイズが13cmの小口径タイプで、SONIK 5とSONIK CINEMAはこのウーファーを2発搭載。
そしてSONIK 3とSONIK 7、SONIK 9が18cmの中口径タイプとなり、SONIK 7はプレーナー型トゥイーターを追加したハイブリッド・トゥイーター構成でウーファーは2発、SONIK 9も同じハイブリッド・トゥイーター構成でウーファーを3発搭載している。
それでは具体的に各モデルへ投入された技術について掘り下げていこう。まず高域を担うトゥイーターは29mm低損失ソフトドーム型を取り入れ、磁気回路内に粘性の低い磁性流体を用いている。その振動板を囲む広拡散フェイスプレートは、SONIKシリーズでは防振処理を施した新形状アルミプレートを使用。


さらに前述したようにSONIK 7とSONIK 9にはアルミプレート付きバッフルに取り付けられた17mm×45mmのプレーナー型トゥイーターを追加し、ハイブリッド・トゥイーターを構築している。


「Clarity Coneテクノロジー」採用のウーファーでトゥイーターとの音の繋がりがスムーズ
ウーファーについてはダリが伝統的に用いてきたウッドファイバーコーンに加え、KOREからの技術継承により、振動板表面に窪みを設けて分割共振を抑え、高域側の特性を整えることでトゥイーターとのスムーズな音の繋がりを生み出す「Clarity Coneテクノロジー」を採用。


磁気回路のポールピース上部には「SMCエッセンシャル・マグネット・システム」を取り入れ、電流歪みを抑えて第3次高調波歪みを大幅に低減している。
ネットワークの素子にはOBERONシリーズ同様、ラミネートコアコイルと電解コンデンサーを取り入れるが、上位のSONIK 7とSONIK 9のプレーナー型トゥイーター用には、「フィルムコンデンサー」を用いてより質感の高い、艶良く滑らかなサウンドチューニングを施している。
また入力端子についても高品位な真鍮製削り出しノブ&真鍮製ターミナルを採用。接続についてはシングル方式となる。
デザインも刷新したキャビネットはCNC加工による低共振設計のMDF製で、バスレフポートは両端をフレア状に広がるような形状としたデュアルフレア形式として、空気の流れの円滑化とポートノイズ対策としている。


内部は剛性と共振対策に向けた補強を徹底しており、フロアスタンディング型ではウーファー専用チャンバーを設け、中高域側ユニットへの背圧干渉を抑止。加えてフロアスタンディング型脚部のアルミ製アウトリガーは、OBERONシリーズの枠型に対してSONIKシリーズは4足型へと強化し、安定度も高めている。設置面については半球型ラバーフット、スパイクの2種類を用意。
キャビネットの仕上げはBLACK ASH/WALNUT/NATURAL OAK/WHITEの4種類を揃えているので、インテリアの色調に合わせたチョイスが可能だ。
SONIK 5/1のマルチチャンネルをレビュー「色付けの少ない高バランスな表現で耳馴染みの良いサウンド」
試聴には、デノンのフラグシップ・AVアンプである「AVC-A1H」を用意。まずはフロントLRにSONIK 5、サラウンドLRにSONIK 1、センタースピーカーにSONIK CINEMAを用いたスタンダードクラスのマルチチャンネル再生を試す。
視聴したのは『エクスペンダブルズ2』のCH9、市街地での戦闘シーン、『スカイ・クロラ』はCH15の空戦シーン、そして音楽系として選んだ『ボヘミアン・ラプソディー』はCH22のライブエイド前半のくだりである。
中低域の密度の濃さと高域にかけての倍音の煌き感があり、音像のどっしりとした厚みと、セリフの口元のエッジ感、BGMやSEの粒立ちの細やかさもバランス良く両立させるメリハリあるサウンド傾向だ。色付け感は少なく、ソースの持つ情報を引き出しつつ、耳馴染み良い艶感で輪郭を包み、滑らかで聴きやすいサウンドにまとめてくれているような印象を受ける。
『エクスペンダブルズ2』はセリフの厚みと口元の動きのスッキリとした浮き立ちが絶妙に融合。銃声は密度感、太さがあり、金属音もしなやかに描き、きつい方向に作用しない。BGMの浮き上がりも程よく感じられ、空間の広がりも自然だ。
『スカイ・クロラ』では戦闘機のエンジン音のコシの太さ、プロペラ音の軽快さを描き分け、前後左右の移動も実体感がある。銃声の明瞭さ、BGMのストリングスの艶っぽさ、潤い感を爽快に表現。低域弦の厚みも十分で、コーラスの爽やかさもほぐれ良く描く。落ち着き良いSEのニュアンスや、BGMの定位、高さも適切に感じられる。
『ボヘミアン・ラプソディー』ではスタジアムの広がりや回り込む歓声の拍手や声の粒立ちの細やかさが印象的。呼び込みMCの声も厚く、ライブの臨場感たっぷりである。ボーカルの声はハリ良くシャープにまとめ、キックドラムのアタックは密度良く軽やかに押し出す。ベースラインもハリ良く艶やかで、ピアノはブライトに輝く。演奏前の静寂、余韻も丁寧に引き出している。
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