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公開日 2017/10/25 11:56

【製品批評】McIntosh「C2600」 ― 絶大な瞬発力でシステムをドライブする真空管プリアンプ

レコード/ハイレゾに両対応
角田郁雄
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製品批評


プリアンプ
McIntosh
C2600
¥980,000(税別)



1949年に創業を開始したマッキントッシュは、音への基本ポリシーを守りつつも、決して従来の技術に固守することなく新たなモデルへと昇華させている。私は今回の試聴で、プリアンプ「C2600」にもそれを感じることができた。

フロントパネルには伝統的な漆黒のガラスパネルとブルーアイズ・メーターを配置し、左右シンメトリーのデザインが輝く。MM/MCフォノイコライザーとハイレゾミュージックを再生できるDACを搭載することが大きな魅力で、中央にはディスプレイを備え、選択したソース機器や音量などを表示する。トップパネルには6本のマッキントッシュ仕様の真空管を並べ、ブランド・イメージを漂わせている。このデザインと斬新な機能構成にいつもながら感激する。

搭載技術の特徴は、高いS/Nとダイナミックレンジを実現するために伝送距離を短くしていることだ。また、フロントのマイコンを使う表示/操作部、ベースの電源/DAC部、上段のメイン・アナログ増幅回路部が干渉しないようにセパレート構造を採用している。

基本的な信号の流れを説明しよう。MM/MCフォノイコライザーそれぞれのL/Rに12AX7を豪華に採用(合計4本)。これはレコードの倍音とダイナミックレンジを最大限に拡張し、広い空間性を出すためだ。このフォノ信号、アナログ・ライン入力、内蔵DAC信号は入力セレクターで選択され、12AX7を使ったインプットドライバーへ接続。その後、ステップ数が豊富な抵抗ラダー型ボリュームを経由し、12AT7を使ったアウトプット・ドライバーへ接続され出力する仕組みだ(バランス入出力には、アンバラ/バランスを変換するオペアンプを使用)。

3系統のXLR入力、4系のRCA入力のほか、MM/MCのフォノ入力を各1系統ずつ搭載。デジタル入力端子は右下部分にまとめられている

なお、DAC部では11・2MHz DSDやDXDに対応する最新DACチップを採用。トーンコントロールも可能で、制動力の高い高音質ヘッドホン・アンプも搭載する。

このモデルのオーディオ・システムへの支配力は絶大だ。高域をのびのびと開放的に描写する一方で、中低域に厚みをもたせた、高密度なピラミッドバランスのサウンドを併せ持つ。広い音場に緻密な奏者、歌い手を定位させ、驚くほどの瞬発力でパワーアンプをドライブする。それほどに弱音から強音までハイスピードな伝送を行うのである。

マッキントッシュのパワーアンプを使えばもちろんベストであるが、もし他ブランドのパワーアンプへ接続しても、この特性が生かされることであろう。パワーアンプへの支配力が大きいということは、スピーカーの音質変化も大きいということだ。マッキントッシュと言えばジャズやロックをイメージするが、クラシックを再生しても、弦楽や管楽器に音数の多い豊潤な倍音と厚みのあるスケールの大きな抑揚を添えてくれる。ぜひ一度、聴いてみて欲しい。

(角田郁雄)

Specifications
●周波数特性:20Hz〜20kHz(+0、−0.5dB)、15Hz〜100kkHz(+0、−3㏈)●全高調波歪率:0.08%以下 (20Hz〜20kHz)●S/N:-100dB(LINE)、-75dB(フォノMM)、-75dB(MC)●出力インピーダンス:200Ω(バランス)、100Ω(アンバランス)●ヘッドフォン適合負荷インピーダンス:100 to 600Ω●デジタル入力最大サンプリングレート:【RCA同軸/光TOS】192kHz/24bit、【USB入力】384kHz/32bit、DSD64、DSD128、DSD256、DXD352.8kHz、DXD384kHz●サイズ:445W×194H×419Dmm ●質量:13.4kg ●取り扱い:潟Gレクトリ


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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