公開日 2017/04/24 12:07

【ラズパイオーディオ】4.4mmバランス接続も視野に。「海上プロデュースDACボード」の仕様を公開!

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(28)
ワンボード・オーディオ・コンソーシアムの設立に乗り出す前から進めている、筆者プロデュースによるDACボード換装対応Raspberry Pi用オリジナルケース(以下、オリジナルケース)だが、それと並行してDACボードの開発を進めていることもご記憶かと思う。オリジナルケースの開発は急ピッチで進めているが、より順調なDACボードの方を先に披露することにしたい。

拡張ボード規格「HAT」との関係

Raspberry Pi向けにDACボードを開発しようとなると、「HAT」を意識しなければならない。このHATとは、「Raspberry Pi Model B+」の発売に際してRaspberry Pi財団が策定した拡張ボード規格で、基板サイズやピン(GPIO)の位置など物理的レイアウトのほか、開発者情報などを書き込むEEPROMといった仕様が示されている。強制力はなく、仕様を満たしていなければ「HAT準拠」とうたえないだけの緩い規格だが、ここから外れてしまうと汎用性は格段に落ちる。

コンソーシアムでは、「ポータブル」と「コンポーネント」という2種類の規格策定を進めているが、HAT規格の拡張ボードを使うのは前者のみになる予定だ。基板サイズは横65mm×縦56mm(56.5mm)、そこからさらにGPIOコネクタと4隅のマウンティングホールが必要になるわけで、実装面積は限定されてしまうものの、パーツを選べば色々できる。

今回開発したDACボードは、HATの横65mm×縦56mmという“箱庭”でいかにして音質を追求するか、機能を実現するかにこだわった。どのDACチップを採用するか、電源をどう供給するか、出力端子をどうするか……筆者が担当した基本仕様および主要パーツの選定について、その理由を項目ごとに説明していこう。

Raspberry Pi財団が策定した拡張ボード規格「HAT」のスペック表。今回のDACボードは、この仕様に準拠している

DACチップ

DACチップには「TI PCM5122」を採用した。理由は2つ、Raspberry Pi用オーディオ特化型OS(ex:Volumio、Moode Audio)で動作実績があることと、外部クロックの利用が容易なことだ。Raspberry Pi用DACカードではよく見るチップだが、無難だからというわけではなく、検証が重ねられ安定したドライバ(linux/sound/soc/bcm/hifiberry_dacplus.c)が存在することを重視した。

Linuxカーネル v4.1.10以降のシステムでPCM5122を動作させると、精緻な外部クロックに基づく「マスターモード再生」が可能になる。Raspberry Piにシステムクロック(SCLK)を渡すのではなく、Raspberry PiをDACボードに対しスレーブ動作させ、外部クロックが生成したビットクロック(BCLK)とLRクロック(LRCLK)を渡し、それに同期してシリアルデータ(SDATA)を出力させるというわけだ。最新・高性能DACチップも魅力的だが、PCM5122の実力をとことん引き出すことに挑戦してみたかったのだ。

DAC周辺部のブロック図。2系統の外部クロックを使用していることを読み取れるはず

次ページヘッドホン端子、電源にも大いにこだわった

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX