海上忍のラズパイ・オーディオ通信(22)

ラズパイ・オーディオにOS「Moode Audio Player」を導入、そのメリットをチェック

海上 忍

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2016年12月13日
「Moode Audio Player」をLinux/ALSAの目線で掘り下げる

Raspberry Piは、小なれどコンピュータだ。最新モデルの「Raspberry Pi 3」は、クアッドコア/1.2GHzのARM Cortex-53という64bit CPUを搭載し、数年前のノートPCを凌駕する演算性能を有する。USBやGPIOといったインターフェイスによる拡張性も併せ持ち、スペック的にはオーディオ再生に十分耐えうる存在だ。

その環境でオーディオ指向のOSを動作させ、USB-DACや(GPIO接続の)DACボードを用意すれば、我らが「ラズパイ・オーディオ」が姿を現すわけだが、その鍵となるのがOSたるLinuxであり、オーディオAPI「ALSA」だ。今回は、前回取りあげたOS「Moode Audio Player」を、そのLinux/ALSAという目線から掘り下げてみよう。

ラズパイ・オーディオのソフトウェア的な基盤は「ALSA」にある

最初に、ALSAについて概説しておきたい。正しくは「Advanced Linux Sound Architecture」と呼ばれるこのソフトウェアは、ドライバ(カーネルモジュール)としてUSBなど外部インターフェイスに接続されたデバイスを駆動し、音声を出力する。Advancedという言葉は、それ以前から存在するLinux標準のサウンドアーキテクチャー「Open Sound System(OSS)」に対するものだが、ALSAの登場から20年近い月日が経過しOSSをほぼ置き換えているいま、ただの名残りと言っていい。現在、LinuxではALSAが事実上標準のサウンドアーキテクチャーだ。

他のOSのサウンドアーキテクチャーと比較してALSAにアドバンテージがあるとすれば、それは「レイテンシー」だろう。ここでいうレイテンシーとは、音を発する処理から実際にサウンドデバイスから音が出るまでの時間を指しており、一般的には10ms(0.01秒)以下であれば演奏にも使えるほど気にならないレベルとされる。

レイテンシーの大小が特に影響するのは、楽器や声など演奏データを入力/録音する場面だ。一般的にオーディオ信号はストリーム型であり、一度再生が始まるとレイテンシーによる影響は少ないと考えられるが、入力した各チャンネルに数十msのズレがあるとどうなるか?誰でも分かるレベルの違和感だろう。オーディオ再生にしても、レイテンシーが小さいに越したことはなく、音質を追求するにあたっての“基礎体力”と見ることもできる。

コンピュータの性能を引き出す「Crossfeed DSP」

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