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公開日 2017/03/31 10:00

クロック入力が無い機器やUSBオーディオも音質向上 − MUTEC「MC-3+USB」でリクロックを試す

【特別企画】リクロックで音はどう変わる?
岩井 喬
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デジタルオーディオにおいて重要な役割を担っているパートの一つがクロックである。その中でも基本的なクロックとして挙げられるのがサンプリング周波数と同期したワードクロック、そしてオーディオ機器内部で基準となる同期信号を作り出すオーディオマスタークロックだ。

ワードクロックは一般的なデジタルオーディオインターフェースであるS/PDIFやAES/EBUなどにおいて、音声データとともにワードクロックも内包した状態で後段の機器へ伝送される。またオーディオマスタークロックはオーディオ機器の内部で水晶振動子やPLLなどで生成されており、基準となるサンプリング周波数の倍数(256倍など)が用いられ、分周されたものがDSPやDAC部などへ供給される。

ミドルクラス以上のCDプレーヤーやDACなどにはワードクロック入力やマスタークロック入力を備えるモデルが存在する。各オーディオ機器内部のクロックよりさらに高い精度のクロックを外部から入力することでジッターを低減し、揺らぎのない正確なD/A変換が可能となるのだ。

外部クロックの役割イメージ

では外部から入力できる高精度なクロックには、どういったものがあるのだろうか。製品名として“マスタークロックジェネレーター”といった名称のものが多いが、それらの製品ではワードクロックをサポート。接続には75Ω・BNCアンバランスケーブルを用いる。

さらに22.5792MHzや24.576MHzなどのオーディオマスタークロック出力が可能なもの、そして水晶振動子とはケタ違いの、極めて高い精度を持つルビジウム発振器を用いる10MHzの原子クロックジェネレーターも、接続機器さえ対応していれば活用することができるだろう。

元々こうしたクロックジェネレーターはプロの音楽制作現場で複数のツールを一元的に同一クロックで同期させて用いることを前提としており、コンシューマー用途ではS/PDIFのデジタル伝送に含まれるワードクロックで十分とされてきた。しかしデジタル技術の進歩に合わせ、ハイエンドモデルを中心とした高い解像度と精度を要求されるサウンド再生に対して有効なアプローチとして、外部クロックの存在が重要視されるようになってきている。

USBオーディオでも活用できるクロック「MC-3+USB」

前置きが長くなってしまったが、こうした外部クロックのなかでユニークな製品展開を行っているのが1989年にドイツで設立された「MUTEC(ミューテック)」である。基本的にプロ用の高精度クロック/ビデオシンク・ジェネレーターを手掛けてきたブランドで、その高い精度と信頼性、独自技術に定評がある。

なかでもクロックジェネレーターにおける独自技術として特筆すべきものが「1Gクロックテクノロジー」だ。PLL回路を利用した製品が通常DDS(ダイレクト・デジタル・シンセシス)クロックを約50〜100MHzという低い周波数帯域で処理するのに対し、1GクロックテクノロジーはDDSクロックを1GHzという高い周波数帯域で処理することで圧倒的な低位相ノイズ・低ジッターを実現できるというものだ。

MUTECクロックジェネレーターの核となる「1Gクロックテクノロジー」

この1Gクロックテクノロジーを核とし、USBオーディオインターフェース、およびBNCクロック入力が付いていない機器からのS/PDIFやAES3をリクロックするだけでなく、外部マスタークロックからのクロック入力に対してもリクロックを行える画期的なマスタークロックジェネレーターが「MC-3+USB」である。

MC-3+USB(アルミニウム)

MC-3+USBはクロックジェネレーター「MC-3」の機能強化バージョンであり、USB入力以外に同軸および光S/PDIF入力やAES3/11、AES3id入力、ワードクロック及びルビジウムクロックなどの10MHz入力も可能なクロックジェネレーター/ディストリビューターだ。

カラーバリエーションとしてブラックもラインナップ

本機にはUSB入力が用意されるとともに、最大192kHz/32bit PCMに加え11.2MHzまでのDSD(ASIOドライバによるDSDネイティブ+DoP方式)にも対応できるようになった。なおDSD信号はPCMへ変換(88.2/176.4kHz)されるほか、macOS環境では5.6MHzまでの対応となる。

USB入力はDSDにも対応するが、出力はPCM変換されたものとなる

写真はMacBook Pro(13インチ)との組み合わせ。サイズは非常にコンパクト

USBオーディオ伝送路に混入する高周波干渉ノイズの影響を排除し、USB回路部の電源も他のデジタルセクションから分離させた構成となっており、ガルバニック絶縁されたUSBアイソレーターを備えるUSB-DDCとしても活用できることが本機最大の強みだ。またUSBからの入力と、S/PDIF、AES3、AES3id間の双方向信号変換も可能なため、フォーマットコンバーターとして活用することもできる。

USB B入力に加え、RCA同軸デジタル入力、光TOS入出力、AES/EBU入出力を備えるためUSB-DDCとしても機能する

次ページ>USBオーディオをリクロックすると音はどう変わるのか

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