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【特別企画】リクロックで音はどう変わる?

クロック入力が無い機器やUSBオーディオも音質向上 − MUTEC「MC-3+USB」でリクロックを試す

2017/03/31 岩井 喬
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外部クロックをさらにリクロックする

ここでMC-3+USBの外部クロック入力を生かして、さらなるジッター低減と精度の高いサウンドを目指してみたい。用意したのは±0.01ppmの精度を持つOCXOを搭載するESOTERIC「G-02X」である。

クロックジェネレーター「G-02X」と組み合わせて検証

G-02Xからは10MHz出力を取り出し、MC-3+USBの1-10MHz入力に接続。本体の設定も “MODE”は “EXTERN”+“RE-CLK”2つのLEDが点灯するよう切り替える。続く“REFERENCE”項目は“1-10.0M”と“USB-DSD/DoP”を示すLEDが点灯するよう設定を行う。UD-503の10MHz外部クロック入力も効果が高いのだが、今回はMC-3+USBに対しリファレンスクロックを供給する形にした。MC-3+USB以降の接続はUD-503との接続をそのまま維持している。

外部クロックの入力に切り替えるのも、ケーブル接続のほかはシンプルなボタン操作のみ

まず大きく変化するのが音像の実体感、逞しい描写である。音場の深さも十分感じられ、余韻の階調も一段と増しているようだ。ボーカルの佇まいも力強く、ボディは密度良く引き締まる。一方口元の描写はきめ細やかで、その動きも非常に滑らかだ。リズム隊の重心もぐっと低くまとまり、音の芯も太く高密度な音像として表現。

フォーカス感、S/Nも一際高く、ホーンセクションやピアノのタッチもキレ鮮やかに決まる。オーケストラの旋律もハリ良く滑らかで、倍音の潤いも自然に描写。ローエンドの制動性の高さによりにじみもなく、シームレスな空間が展開する。ロックも迷いのないストレートな押し出しを持っており、実に快活なサウンドを楽しめた。

手持ちのオーディオ資産がリクロックで進化する

最後にCDプレーヤーの同軸デジタル出力をMC-3+USBに繋ぎ、Sonica DACへと結ぶ手法でリクロックの実力を確認してみたい。用意したプレーヤーはAccuphase「DP-720」だ。DP-720とSonica DACを同軸デジタルで直結した音色は全体的に穏やかな傾向となる。中低域の音伸びは豊かだが、制動感はもう少し欲しい。そこへMC-3+USBを挿入するとS/Nが一気に向上し、音像が締まったフォーカスの良いサウンドに改善された。

様々なデジタル入力を活かした幅広いシステムでのクロック処理対応が魅力

リズム隊のアタックもグリップ良く決まり、ボーカルも潤い良く丁寧に描かれる。ピアノのタッチも克明で、ストリングスの旋律も分解能高く爽快に表現してくれた。今回の試聴では比較的最近の高級機を使ったが、旧型のCDプレーヤーやデジタル出力を持つチューナー、TVなどの機器をMC-3+USBと最新DACに繋ぐことで鮮度・解像度の高い、ハイレゾ時代ならではのリアルなサウンドへと進化させることができるだろう。

自宅環境でもラックスマン「DA-06」のUSB入力と、MC-3+USBのUSB入力を経たうえでDA-06に同軸入力させた状態とで比較してみたが、MC-3+USBを経由させた方が圧倒的にS/Nが高く、空間性もより鮮明となった。中低域のダンピングも良く、音像の輪郭もにじみなくスパッと分離良い。静寂な音場の空気感も見事で、余韻の階調も非常に細かく、リアルで奥行き深いサウンドを聴くことができた。

クロックジェネレーターという、極めて精度の高いクロックを生成することができるMC-3+USBだからこそ、USB-DDCとしてのリクロック能力の高さも担保できるという証明が様々な試聴の結果から良く理解できた。

ワードクロックを備える機器を持つ方にはもちろんのこと、かつてのCDプレーヤーの名機を生かしつつ、DACとの連携でさらなる音質改善を望む方にとっても、MC-3+USBの存在は心強いものとなるだろう。

(特別企画 協力:ヒビノインターサウンド)

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