公開日 2015/07/27 11:10

Raspberry Pi で自作する「ラズパイオーディオ」。音質をあのメーカーに聴いてもらった!

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(2)
海上忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ワンボードコンピュータ「Raspberry Pi 」でオーディオを楽しむための方法を、あれこれ模索しながらご紹介していく連載企画の2回目をお届けします。第1回目は非常に多くのアクセスをいただきましたが、まだ概要をご紹介したばかり。課題は山積み…ということで、今回はオーディオメーカーに出向き、きちんとした環境で音質やポテンシャルを確認してもらうことにしました(編集部)

まずはベテランに話を聞こう

筆者が「ラズパイ・オーディオ」に惚れ込んでいる理由は前回説明したが、それで説明しきったわけではない。今回は、オーディオメーカー視聴室へ出向く前に、ラズパイ・オーディオの"素性のよさ"について説明しておきたい。ハードとソフトの両面にわたり、他のデバイス/OSにはないアドバンテージがあるのだ。

別売のケースに収めたRaspberry Pi。基板単体で販売されている。基板単体で価格は税込み5千円程度となる

まず、ハード面から。最新モデルのRaspberry Pi 2 Model Bに積まれるCPUのARM Cortex-A7(900MHz/クアッドコア)は、高速な内部バスの採用により高い処理性能を持つ反面、簡素なパイプラインにより優れた電力効率を発揮する。モデル名ではより新しいCortex-A8と比較しても、28nmプロセスで設計されているため(Cortex-A8は45nmプロセス以前の設計)、同じコア数/クロック数であればCortex-A7のほうが処理性能は高い。

Cortex-A7は、最新のスマートフォンに搭載されているCPU/SoCに比べれば非力なものの、オーディオ用途であればじゅうぶんだ。ノイズ発生源となりうるチップの絶対数も一般的なPCと比べて格段に少なく、その点でも有利といえるだろう。

そこに、簡素なソフトウェア構成が効果を発揮する。実際、Raspberry Pi 2 Model BとLinuxという組みあわせでは、FLAC 192kHz/24bitやDSD 5.6MHzといったハイレゾ音源を再生しても、システム負荷は10%程度。負荷の低さでいえばより高性能なCPUを積むPCのほうが有利だが、"ラズパイ・オーディオ化"したRaspberry Piは画面描画を伴わず、システムに常駐するサービス/プロセスが少ないため、楽曲の再生中に負荷が大きく変動することはない。Linuxで標準のオーディオドライバ/APIの「ALSA」も、音質面にいい影響を与えているのだが、長くなるので次回以降説明させていただこう。

「ラズパイ・オーディオ」でFLAC 192kHz/24bitを再生中、topコマンドを実行してシステム負荷を確認したところ。右上の「load average」を見れば、システム負荷が平均10%前後ということがわかる

しかし、基板のみで販売されているだけに、しっかりとしたケースがない。一般的なPCと比べ強いノイズ発生源は少ないものの、市販のアクリル製ケースではノイズ対策はないに等しい。ベアボーン感満点の無骨なスタイルは好みの問題としても、この点をクリアしないかぎりオーディオ機器としての"次のステップ"はない。

だから自作するにしても……一体どのようなコンセプトで作ればいいのか。オーディオ機器のアコースティックな面に通じたベテランに話を聞いてからでも遅くはない、そう考えてベテランのオーディオ技術者がいるあの会社を訪ねることにした。

次ページオール・アルニコの「KX-1000P」で聴いてみた!

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 BRAVIAが空飛ぶ時代? 動画コンテンツの楽しみ方に押し寄せた大きな変化を指摘するソニーショップ店長。超大画面はさらに身近に
2 ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る
3 Nothing、最大40%オフのウィンターセール開催
4 LG、世界初のDolby Atmos FlexConnect対応サウンドバー「H7」。オーディオシステム「LG Sound Suite」をCESで発表へ
5 「ゴジラAR ゴジラ VS 東京ドーム」を体験。目の前に実物大で現れる“圧倒的ゴジラ”の臨場感
6 衝撃のハイコスパ、サンシャインの純マグネシウム製3重構造インシュレーター「T-SPENCER」を試す
7 AVIOT、“業界最小クラス”のANC完全ワイヤレス「TE-Q3R」。LDAC、立体音響にも対応
8 ソニー「WH-1000XM5」に“2.5.1”アップデート。Quick AccessがApple Music/YouTube Musicに対応
9 「HDR10+ ADVANCED」が正式発表。全体的な輝度向上、ローカルトーンマッピングなど新機能も
10 クリプトン、左右独立バイアンプ機構のハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-55HG」新色 “RED”
12/19 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX