HOME > レビュー > Raspberry Pi で自作する「ラズパイオーディオ」。音質をあのメーカーに聴いてもらった!

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(2)

Raspberry Pi で自作する「ラズパイオーディオ」。音質をあのメーカーに聴いてもらった!

2015/07/27 海上忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

オール・アルニコの「KX-1000P」で聴いてみた

訪ねた会社は、ピュアオーディオスピーカーや各種アクセサリーで著名な「クリプトン」。メイド・イン・ジャパンにこだわる姿勢と、熟練の職人が丁寧に組み上げるハンドクラフト精神は、多くのオーディオファンに支持されている。

一方でハイレゾ音源を中心とした音楽配信サイト「HQM STORE」を展開、USB DAC内蔵の小型アクティブスピーカー「KS-1HQM」をハイレゾ対応製品としていち早く世に問うなど、進取の気性を持つ企業でもある。

試聴に立ち会っていただいたのは、顧問の前島氏とオーディオ事業部長の渡邉氏、オーディオ事業部の田中氏の3名。ひととおり「ラズパイ・オーディオ」を説明したあと、ケースやケーブルなどオーディオ的な配慮をまったく行わない"すっぴん"の状態で試聴に臨んだ。

今回利用した「ラズパイ・オーディオ」。前回紹介したまま、敢えてベア・ボーン感全開で試聴に望んだ

不慣れなプレゼンを行う筆者。「ラズパイ・オーディオ」の素質に惚れ込み、あれこれ可能性を探っている

利用したシステムは、スピーカーに同社フラッグシップモデルのKX-1000P、パワーアンプにはアキュフェーズ A45、プリアンプにはアキュフェーズ C2410。USB-DACにはTEAC UD-301、「ラズパイ・オーディオ」とつなぐUSBケーブルは同社製のUC-HR(1.0m)だ。

試聴で利用したシステム。黒いトールボーイがオール・アルニコのマグネットを採用したフラッグシップモデル「KX-1000P」だ

「ラズパイ・オーディオ」側の構成だが、ハードウェアは前回紹介したとおり。端子の位置やGPIOについて説明するために、あえてシースルーのケースに入れて持参した。ただし、後述するワイヤレスオーディオのデモを行うため、iPhoneをモバイルルーターとして使用するためにテザリングの設定を有効にしている。

最初に聴いた曲は、Mathias Landaeus Trioの「Opening(DSD 5.6MHz)。タッド・ガーフィンクル氏によりDSD録音された音は生々しく、ECMを思わせる耽美な音世界が印象的な音源だ。「ラズパイ・オーディオ」の出力はDoPに設定しており、電源をオンにした状態でTEAC UD-301と接続した。

最初に試したUSB DACは、TEAC UD-301。DSD 5.6MHzおよびPCM 32bit/192kHzに対応している

曲の再生指示にはPC/スマートフォンのWEBブラウザを利用できる。ここでは、テザリング中のiPhoneを経由し、MacBook Airからワイヤレスでラズパイ・オーディオを操作している

リモコン代わりに使うiPhoneの再生ボタンをタップすると……何事もなくピアノの音が。じゅうぶんに動作テストを繰り返してきたものの、緊張の一瞬だ。オール・アルニコのマグネットを採用するKX-1000Pは立ち上がり/立ち下りに優れ、音の粒立ちのよさが印象に残る名器だが、この基盤が丸見えの小さなデバイスでDSD 5.6MHzを難なく再生していることに、試聴に立ち会った一同は感じ入っていたようだ。この時点では誰も感想を口にしないが、表情を見れば「なるほどね」程度とわかる。

しばらく再生したところで、ひとつ提案を持ちかけた。「本日お持ちした『ラズパイ・オーディオ』は、オーディオ機器らしいアコースティックな処理を一切していません。クリプトンさんの『ネオフェード・カーボンマトリックス3層材』を使うと、どうなるでしょうね?」 

渡邉氏が立ち上がり、適当に置いた「ラズパイ・オーディオ」を2枚の「ネオフェード・カーボンマトリックス3層材」で挟み込むと…。

次ページ効果てきめん、底知れぬ「伸び代」に驚愕

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE