公開日 2025/11/21 17:01

「BS放送には伸びしろがある」。放送開始25周年でNHKと民放各局がコラボキャンペーン発表

NHKは「第9」8K中継など
編集部:小野佳希
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NHKとBS民放5局は、日本でのBS放送が今年で25周年を迎えたことを記念して、共同企画「BSデジタル放送25周年キャンペーン」を展開すると発表。看板番組の出演者が他局の番組に出演する特別番組の放送などを行う。

本件に関し、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)主催による記者会見も開かれ、各局の社長らがBS放送の現状や今後についてもコメント。また、BSで冠番組を持つ料理家の和田明日香さんや、NHKのアナウンサー桑子真帆さん、4K8K推進キャラクターのヨンハチも登場し、BS放送をアピールした。

NHKは「第9」を8K映像と22.2ch音声で放送/民放はコラボ番組

NHKとBS民放各局は、年末にかけて様々な番組を用意。例えばNHKでは、NHK交響楽団によるベートヴェン「第9」演奏会を12月20日 16時からBS 8KおよびBSプレミアム4Kで生放送。それに先立つ11月29日には、森山未來主演による時代劇特番「丹下左膳 〜大岡越前外伝〜」を4Kで放送する。なお、N響「第9」の8K生中継は22.2ch音声でのオンエアとなる。

BS民放5局では、11月23日から「コラボWEEK」と称して各局でコラボ番組をオンエア。例えば11月23日 21時からは、BSフジ「クイズ脳ベルSHOW」に、BS日テレ「おぎやはぎの愛車遍歴」から小木博明さん、BS朝日「そこに山があるから」から金子貴俊さん、BS-TBS「憧れの地に家を買おう」から武井 壮さん、BSテレ東「マネーのまなぎ」からパックンさんと、他局の番組の出演者がパネラーとして登場する。

また、BS-TBS「カンニング竹山の昼酒は人生の味。」11月24日放送回に、BSテレ東「和田明日香とゆる宅飲み」から和田明日香さんが出演。翌11月25日には、その「和田明日香とゆる宅飲み」にカンニング竹山さんが出演する。

そのほか、BS朝日「工藤阿須加が行く 農業はじめちゃいました」と、BS日テレ「なおみ農園」もコラボ。11月26日放送の「農業はじめちゃいました」に財前直見さんが、11月27日放送の「なおみ農園」に工藤阿須加さんが出演する。

上述のとおりBSテレ東で冠番組を持つ和田明日香さんは「疲れた夜には、誰かがお酒を飲んでる番組をBSで観て癒やされている」と、BSの番組を普段からよく視聴しているとコメント。自身の番組についても「自然と肩の力が抜けちゃう空気感がある」と、BSならではの魅力があると語った。

NHKの桑子アナは、上記の4K時代劇「丹下左膳」についての見どころとともに、大晦日の紅白歌合戦を今年も4Kおよび8Kでも放送することを紹介。

また、和田さんから「マニアックなお仕事をされている方を番組のゲストに呼んでみたい。それこそアナウンサーとか……」と水を向けられ、NHKと民放の壁も超えたオファーに少し戸惑う一幕もあった。

BS放送は「まだまだ伸びしろがある」

BSテレビ東京の社長でありA-PABの理事長も務める加増良弘氏は、「BS放送が開始された25年前、SMAPの『らいおんハート』が大ヒットしていた」と世相も交えつつ「この25年は(BS放送にとって)明るい話題ばかりではなかった」とコメント。視聴者数や広告料収入の伸び悩みなどの課題を挙げる。

しかしその一方で、「地上波とは違う独特の手法でテレビコンテンツの一翼を担ってきた自負がある」とも語り、「効率的な全国放送で視聴者を惹きつけてきた。また、メジャーリーグやプロ野球の放送も展開してきたことによって『野球はBSで』という視聴習慣も定着したのではないか」と続けた。

また、BS朝日の濱島 聡社長やBS-TBSの伊佐野英樹社長らからは、番組発のコンサートや関連イベントも盛況だったことを紹介。「放送だけにとどまらず、視聴者とリアルな接点が生まれている」(濱島氏)、「(BS放送は)人間で言えば25歳。まだまだ若者、伸びしろがあるということ」(伊佐野氏)と、BS放送の今後の可能性に自信を見せた。

そして前出の加増氏は「一丸となってBSデジタルを盛り上げることが一番求められている」ともコメント。「BSデジタルは新しい時代に入る。ぜひご期待いただきたい」と述べた。

「JCOM BS」の視聴率は「BS松竹時代と同じレベルまで回復」

BS放送関連の話題としては、今年7月に「BS松竹東急」が「JCOM BS」へと変わったこともトピックのひとつ。当初は1日14時間の番組編成だったが、10月からは24時間編成となり、「視聴率もBS松竹東急時代と同じくらいのレベルにまで戻っている」(JCOM BS 常務取締役 伊藤彰伸氏)という。

また発表会では、全国の放送局が撮影した地域情報コンテンツの流通促進を目指す「合同会社LCB」が設立されたことも紹介。社名のLCBは「ローカルコンテンツバンク」を意味しており、地域情報コンテンツの流通促進による地域活性化や、地域情報コンテンツ制作の業務DXへの寄与などを目指していくという。

そのほか、4Kや8K、3D、VRの優れたコンテンツを表彰する「ルミエール・ジャパン・アワード 2025」の結果も報告。4K部門ではNHK「美の壺スペシャル『皇居』」がグランプリ、パナソニック映像「動く絵画」が準グランプリを受賞。8K部門ではNHK「不思議な国宝『松林図屏風』」がグランプリ、関西テレビ「Beginning」が特別賞を受賞したことなどが紹介された。

同アワードを運営する先進映像協会日本部会の河合隆史会長は「4Kの特性を理解、活用して多様な作品群が制作されている」と日本のコンテンツ制作状況に言及。「8Kは世界的にも先端レベルにある。ハリウッドで開催される本家ルミエールアワードでも連続入賞している」と説明した。

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