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公開日 2016/04/05 19:38

米DTSのCEOが語る今後の戦略。「VRとHeadphone:Xで究極のイマーシブを実現する」

DTS:Xについても言及
編集部:小澤貴信
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本日5日、米DTS社の会長兼CEOであるジョン・カーシュナー氏が来日。DTS japanのオフィスにてプレス向けにラウンドテーブルを開催した。

米国DTS, Inc. 会長兼CEO ジョン・カーシュナー氏(右)とdts japan 代表 黒川剣氏

ラウンドテーブルでは、カーシュナー氏がDTSの思想と取り組み、今後の展開について語り、さらには質疑にも答えてくれた。また、発表会冒頭ではdts japanの代表である黒川剣氏が挨拶。「DTSは1993年に公開された『ジュラシック・パーク』と共に歴史が始まり、現在ではサラウンドコーデックの提供にとどまらず、様々なオーディオ技術の提供、ポスプロ、車載技術まで幅広い領域に及んでいます。今後は次世代のトータルオーディオソリューションの提供を目指していきます」と挨拶をした。

DTSは「ホーム」「モバイル」「カー」でイノベーションを目指す

ジョン・カーシュナー氏は、「コンシューマーエレクトロニクス(CE)業界は変化、そして進化を続けています」と会見を切り出し、創業から23年目を迎えるDTSはこうした業界の中でもやは若い企業ではなく、成熟領域に入ってきたと述べた。「1993年の創業からDTSに在籍していますが、私の髪もだいぶ薄くなりましたしね(笑)」とカーシュナー氏は冗談も交えて話す。

この23年間の間に、DTSがメーカーがライセンスを提供した製品は25億個を超えるという。この中で一貫して持ち続けた姿勢が「イノベーションへの絶え間ない挑戦」だったという。その根本には、DTSの技術によってアーティストがより豊かな想像性を獲得し、コンシューマーにはより充実したエクスペリエンス(体験)を届けたいという想いがあった。

ジョン・カーシュナー氏

DTSは10年ほど前、今後の展開を見越した戦略的計画を練り上げた。その過程で徹底的に議論されたのは、人々は今後、どこで、どのような手段を用いてエンターテイメントを楽しむのだろうかということだったという。

この議論で導き出されたのは、エンターテインメントの消費方法は3つのケースにカテゴライズできるというもの。それは「Home(家庭内/ホーム)」、「On The Go」(屋外/モバイル)、そして「Car(車載/カー)」の3つだ。

カーシュナー氏はまず、この3つのユースケースに対して、DTSが具体的にどのようなイノベーションを提供しているのかを説明した。

現時点のDTSがホーム・エンターテインメントに対して提供する最も大きなイノベーションは、やはり「DTS:X」だという。オブジェクトオーディオや3D 立体音場を実現したDTS:Xは、イマーシブな(没入感のある)体験を提供することを可能にした、と同氏は胸を張る。

ホーム領域におけるもうひとつの技術が、ワイヤレス伝送が可能なロスレスオーディオ技術「Play-Fi」だ。カーシュナー氏はPlay-Fiが実現する世界を「次世代オーディオ技術によるネットワークオーディオ」と表現する。

モバイル領域の軸になるのは、DTS Headphone:Xだ。これは一般的なヘッドホンでもサラウンドサウンドが楽しめる技術で、「ポストプロセッシングと同様のリッチなサラウンドサウンドをモバイル環境で実現する」と謳われている。

3つ目の車載分野は、カーシュナー氏自身が今後の発展の可能性を強く感じているカテゴリーだ。この分野の直近の例では、2015年10月、米国で認可された次世代デジタルラジオ技術「HD Radio」を手がけるiBiquity社の買収を行った。このほかにも複数の車載技術に投資を行っており、DTSはオートモーティブの分野でビジネスモデルを確立しつつあるという。

この3つのカテゴリーの展開における共通のテーマは、やはり「より良いエンターテイメント体験を実現させたい」という想いなのだという。コンテンツについても、映像、音楽からゲームに至るまで、その基本姿勢は変わらないと同氏は語る。

「VRにおいてHeadphone:Xを用いた実験的な取り組みを行っている」

カーシュナー氏は、日本の10年後を見据えた場合、各分野のエンターテイメントにおいて日本の役割はより大きなものになると考えている。市場においても、やはりこの3つのユースケースが重要になっていくという。だからこそ、1つのブランド、単一のソリューションによって、この3つの領域を横断する技術革新とユーザー体験を提供できるDTSが、この日本においても特に重要な役割を担っていくはずだと同氏は語る。

コンシューマーエレクトロニクスは、この業界のプレーヤー全員にとっての大きな変化を迎えている。その中で、各領域において技術革新を続けていくことが、DTSの役割なのだという。パートナーも巻き込んで行きたい、カーシュナー氏は期待を込めてそう語っていた。

デモディスクに収録されたDTS Headphone:X収録コンテンツを再生しているところ

それではイノベーションは今後、どこに向けられていくのか。上記で挙げたような技術に加えた新たな取り組みとしてカーシュナー氏が言及したのは、「VR」だ。VRのようなイマーシブな映像体験において、イマーシブなオーディオ技術はさらに重要になる。「VR領域において、DTS Headphone:Xに対する感心が非常に高まっています。Headphone:XはVRを完全にイマーシブにすることができるからです」とカーシュナーは自信も見せる。

2016年版のDTS:Xデモディスクには、Headphone:X作品が多数収録

質疑応答では「VRのハードを提供する各社との協業はあるのか」という質問も出たが、「現時点で公にコメントできるのは、現在複数の会社と実験的な取り組みをしているということだけです」と答えるにとどまっていた。

また、DTSがさらなる新たなイノベーションを起こせる領域として車載も挙げた。「コネクティドカーや自立型走行車などが登場してきましたが、まだまだ技術革新の余地があります」と同氏は述べていた。

次ページDTS:X収録BDが「ある時期が来たら爆発的にタイトル数が増える」

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