公開日 2025/10/03 06:30

四国に“クセつよてんちょー”あり、コール徳島店がつくる住宅設計と一体のホームシアター

連載「遠藤義人の全国のインストーラーを訪ねて」

コール徳島店は、その名の通り徳島にあるソニーショップ。かつ、本格的なホームシアターインストールショップであり、わたしが心の底から敬愛して止まないクセつよで熱血漢の社長、野田博之氏(てんちょー/ノダヒロ)が運営する。大阪からレンタカーを飛ばし、7年ぶりに会いに行った。

コール徳島店を訪問

「クセつよてんちょー」は最上級の褒め言葉!

わたしから見て、四国でホームシアターのカスタムインストーラーといえば、いまやこのコール徳島店一択といっていい。カスタムインストーラーとは、単に商品を購入できる販売店にとどまらず、オーディオビジュアル機器を住宅空間に寄り添うように設計/施工し、家族の誰もが簡単便利に使えるようにあつらえることはもちろん、アフターメンテナンスも親身になってフォローしてくれる存在であるべきだと考えるが、それを絵に描いたような店舗だからだ。

店舗奥にホームシアター視聴室がある。スクリーンはオーエスのほかキクチなど3枚あり比較投写できる

わたしたちが手にするオーディオビジュアル機器の大半は工業製品であり、いってみればどこで買っても一緒。まして、ソニー製品だったら、ソニーストアのネット通販を利用すればいい。購入相談だって、情報の伝達だけだったらオンラインでできる時代だ。

でもそれだけだと、お互い遠慮がちになってしまう。その点、直接対面すれば、ちょっとした気になることだって気軽に質問できるし、人となりもわかる。ホームシアターユーザーとなってからも、家の環境だってわかった上で相談できるから安心だ。

それはお客さんもそうだが、実はお店の立場からしても同じなのだ。互いに率直に話せる野田博之氏(以下、野田店長)は、そういう存在。「クセつよてんちょー」は、わたしからしたら最高級の褒め言葉だ。

プロジェクターはソニーのほか、オプトマやエプソンなどを展示

99%が新規のお客さん。その理由とは…?

「わたしどものお客さまは、99%が新規。しかも、オーディオビジュアルのマニアではない方々です。もちろん、過去に施工させていただいたお客さまのリピートのご相談にも乗りますが……。ですから逆にわたしどもからすると、視聴会でお客さまを集められるお店さんは凄いなと思います」とは野田店長。

「お店を始めた当初から、当店はカジュアルシアターを推進してきました。もともとソニーショップという肩書きでカメラやウォークマン、Xperiaも販売しているお店だからというのもありますが、マニアでないお客さまが多いんです。襖にテレビを壁掛けしてくれなんてご相談もあるぐらいですから…。そのようなホームシアター初心者の方々に、『AVアンプとは何なのか』を説明するところから始めなければなりません。最新フォーマットへの対応やHDMIの分配機能といった、画質や音質云々以前のことが大事なんです」

ソニーショップとして、同社のカメラ製品や関連アイテムも豊富に取り揃える

ヘッドホンなどオーディオ製品の体験も可能

このように、ビギナーに面倒見のいいお店さんだというのもあるが、コール徳島店に新規のお客さんが多い最大の理由がもうひとつある。同じ建物内に、野田店長の弟である野田雅之さんの一級建築事務所、コールスペースデザインが併設されていることだ。

「わたしたちはホームシアターだけでなく、家とともに家具も作っています。するとお客さまからしたら、何でもできるのかと思うんでしょうね。さきほどの襖の壁掛けのご依頼は、新たに壁を立ててクロスを張り、いわば “壁付きの壁掛けテレビ” にしました。大半は弟の仕事になりましたけれどね」(野田店長)

コール徳島店内にあるコールスペースデザイン

野田雅之氏ほかスタッフも和気藹々として楽しそう! 「なに⁉︎ みんな写真、写る気満々やん(笑)」(野田店長) 

一般的に新築物件にホームシアターをインストールする場合は、設計士や住宅メーカーが建物全体を仕切り、ホームシアターのカスタムインストーラーはシアター周りの調整役となる。ところがコール徳島店の場合は、コール徳島店自体がむしろ全体の統括のような立場になってしまう。

そのため、ちゃんと壁掛けや天吊りの補強を入れているか、壁内PF配管は22Φのものが入っているか等々、通常の住宅設計/施工では軽視されがちなポイントまでキチンと行き届くから安心だ。

最近では個人邸のみならず、オシャレな商業施設への取り付け依頼も多いとか。確かに、せっかく優雅な雰囲気のカフェなのに、流れている音が電車の車内アナウンスのようでは台無しになってしまう。空間設計全般が、コール徳島店のテリトリーなのだ。

視聴室右手の大型テレビを支えているのが、オリジナルAVラック「RISHRAQ(リシュラック)」。インストーラー野田博之氏とデザイナー野田雅之氏の共同設計で、かゆいところに手が届く逸品。現在は店頭販売のみ

ライフスタイル提案のために大切なのはコンテンツ

野田店長は、建築やライフスタイルという見地からホームシアターを見ている。だから、住む人暮らす人に寄り添う視点が常にある。

「一般的な住宅でスクリーンシアターをするなら、壁面さえ確保できるならば120型がちょうどいいサイズだと思います。テレビでも100型クラスのものが出てきているので、それより大きいものをご提案したいからです。その際に、いちばん大事なのは、コンテンツだと思うんですよ。わたしが常日頃から一番気にしているのは、ホームシアターを導入されたあとにご活用いただけているかにあるんです」(野田店長)

そのため、常日頃から情報収集は欠かさない。

「お客さまがご興味ありそうなコンテンツを紹介できるように、サブスクをたくさん契約し自分でも試しているんです。『これは仕事やから…』と自分に言い聞かせて(笑)。Netflix、Amazon Prime Video、Hulu、dアニメ、Abema TV、Amazon Music…この前Qobuzも入りました。そのほかにも、AVアンプの使いこなしとして、大阪のFM802が受信できるようにしてあげたり、radikoで日本全国の放送が受信できるようにしてあげたりすると、家事の合間に聴けるようになったわ、と、とても喜ばれます。わたしたちのお店は、オーディオショップとしての顔はあまり持ち合わせておらず、それぐらい敷居が低いお店にしています」(野田店長)

日々の事柄を記すブログ「店長のつぶやき日記」も、ソニー新製品のマニアックな紹介に見えて、あくまでもユーザー目線。ときにはメーカーに対する厳しい視点で記されているものも。ホームシアターは、最初の設計/施工だけでなく、むしろその後の使いこなしも含めたアフターフォローから付き合いが始まるといっていい。正直に想いをぶつけられるコール徳島店のようなお店に巡り会えれば、その後の家時間が豊かになること請け合いだ。

コール徳島店の最新実例

コール施工住宅の和室シアター。畳の部屋に直に座る、寝そべるというスタイルで視聴する。「和室にスクリーンを垂らすとどうしても雰囲気を損ねかねないので、OSの『パペルマット』という壁紙スクリーンをつかい、壁全体に投写するように施しています。画質も明るさも申し分なしです」(野田店長)。施工には技術が必要だ。詳細はこちら

コール施工住宅。居住スペースを犠牲にすることなく75型を壁掛けしている例。「間取り上はテレビを置くスペースを確保していませんが、実は、階段の袖壁へ設置できるよう住宅設計を行っています」(野田店長)。ダイニング、リビングなど、スイーベルすることでどこからでも大画面が楽しめる。アイデアとともに、理想をカタチにできる設計/施工力が求められる。詳細はこちら

お問い合わせ先

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