「ながら聴きイヤホンガイド 2025 SPRING」家事も仕事もスポーツも快適にする、最適なモデルはこれだ!
昨今各社メーカーから新製品が相次いで発売され、注目を集めている「ながら聴きイヤホン」。従来のイヤホンでは難しかった音楽を聴きながら周りの音も聞き取れるオープン構造により、家事や子育て、通勤やスポーツなどをしながら、快適に音楽も楽しめるというイヤホンの新たな活用法を実現して人気を博している。
本特集では、そんな “ながら聴きイヤホン“ の基礎知識や最新トレンド、読者のライフスタイルに合った各シーンごとに最適なイヤホンの選び方を、オーディオライター・高橋 敦氏が解説。あわせて、編集部厳選のオススメながら聴きイヤホンをPHILE WEB掲載のレビュー記事と共に紹介する。

そもそも「ながら聴きイヤホン」とは? 基本概要を解説
改めて “ながら聴きイヤホン“ とは、「コンテンツの再生音を “聴きながら” 周囲の音も聞き取れるように、耳の入口を塞がない形状や装着方法を採用したイヤホン」のことを指す。耳を塞がない構造から「オープンイヤー型イヤホン」とも呼ばれる。
従来型のイヤホンは程度の差こそあれ、耳の入口を塞ぐ形であり、装着中ましてや再生中は周りの音が聞こえにくかった。そこに「外さないと会話できない」「近付いてくる自動車の音も聞こえない」といった不便や不安を感じていた方は以前からいただろう。
加えて近年になり、「イヤホン装着で在宅ワークしていてもドアベルや家族の声が普通に聞こえたら便利なのに」という新たなニーズも発生。それらに応える形でながら聴きイヤホンの新製品が多数投入され、ジャンルとして確立したわけだ。
ながら聴きイヤホン「タイプ別」ガイド
ながら聴きイヤホンの形状と装着方法は、おおまかには以下3タイプに分類できる。
■イヤーフック(イヤーハンガー型 or 耳掛け型)タイプ
左右に分かれた完全ワイヤレスのイヤホン本体に、眼鏡の耳掛け部分のようなイヤーフックが付いていて、それを耳にかけて装着する形状&装着方法。
スポーツイヤホンでの採用例の多さからもわかるように、特に装着安定性に優れている。また、「耳にかける」という装着方法のなじみ深さからか、初見から迷わずに着け外ししやすい方式でもある。一方弱点は、フック部分の大きさがあるために、イヤホン本体も充電ケースも大柄になりがちなこと。
■イヤーカフ型
完全ワイヤレスイヤホン本体が材質の弾力やバネ機構を使ったクリップ的な形になっていて、それで耳たぶの少し上あたりなどを挟むようにして装着する形状&装着方法。その名前に似つかわしくアクセサリーな美観を高めた製品も多いので、「イヤホン選びはビジュも大切!」という方も要注目のモデルだ。
装着安定性も多くの製品で問題ない。本体と充電ケースのサイズ感も一般的な完全ワイヤレスの範疇となっている。ただ弱点として、イヤーカフを耳に挟む動作になじみがないユーザーの多さもあってか、着け外しのしやすさへの評価にはバラツキが見られやすい印象となっている。
■ネックバンドタイプ
左右本体のイヤーフックがそのまま後ろに伸びて、後頭部から首のあたりを回るようにして左右つながっている形状&装着方法。装着感はイヤーフック型に近いが、後ろ側に回るバンドも支えになることで装着安定性はさらに優れる。
使い勝手においては「完全ワイヤレスではない」のがポイント。小さなケースに収納して鞄に入れられないのを不便と感じる方もいれば、首周りにラフに引っかけて持ち歩けるのを便利と感じる方もいるだろう。
ながら聴きイヤホン「音質設計」ガイド
以上の形状と装着方法の違いに加えて、音を発生させ、それを聴覚に届ける仕組みの違いでのタイプ分けもある。それは主に以下4つの方式が挙げられる。
■「空気伝導」方式
普通のイヤホンあるいは極小のスピーカーを耳から少し離した位置に浮かせて置いたような方式。音声信号を空気の振動として送り出して鼓膜に届けるという普通の仕組みなので、聞こえ方の自然さや聴き疲れにくさなどに優れる。
であるが、低域再生能力の不足や再生音の音漏れしやすさといった、ながら聞きイヤホンの弱点が現れやすい方式でもあり、その点において各社が対策に挑んでいる。
■「骨伝導」方式
音声信号を振動に変換し、その振動を頭蓋骨や頬骨を通して鼓膜の先の蝸牛という器官に届けることで、聴覚に音を伝える仕組み。音を耳の穴を通して鼓膜に送るわけではないので、耳を塞がない形にすることが容易。音を出す空気孔も必要ないので防水性能も高めやすい。周囲の音は空気伝導、再生音は骨伝導と経路が分かれることで、どちらも聞き取りやすいともされる。
弱点としては、音質面において低音側にせよ高音側にせよ、その再生帯域の広げにくさ。使い心地や聞き心地においては、皮膚に感じる振動や頭内に響くような聞こえ方に違和感を覚えるユーザーもいること。なお、音漏れについても空気伝導と比べて一概に少ないとは言えない。
■「ハイブリッド」方式
複数方式のドライバーを組み合わせた方式。組み合わせ方は様々だが、例えば骨伝導ドライバー×空気電動ドライバーを組み合わせることで、「骨伝導ドライバーの低域または高域の不足を空気伝導ドライバーで補う」といった方式などが挙げられる。
■「軟骨伝導」方式
耳の入口付近にある耳珠と呼ばれる軟骨に振動を伝えると、耳珠から耳の穴の内壁の軟骨に振動が伝わり、内壁の振動で耳の穴の中の空気が揺らされて音が鳴り、それが鼓膜に伝わるという仕組み。
スタートは骨伝導っぽいが、ゴールは鼓膜への空気伝導だ。骨伝導に比べ、振動体を強く押し当てなくてよいので装着の圧迫感を減らしやすい。左右共通の頭蓋骨ではなく左右別の軟骨を通すので、左右の音が混じらずステレオ感を維持しやすいなどもメリットだ。
通勤・通学やアウトドア、家事・子育てなど「シーン別のおすすめ」タイプ
通勤からスポーツ、ビジネスから家事まで、ながら聴きイヤホンの使用シーンはユーザーによって多岐にわたる。では、各シーンごとに特にフィットするながら聴きイヤホンは、一体どのタイプになるのだろうか。
そこでここからは、「通勤・通学」「スポーツ・アウトドア」「テレワーク・ビジネス」「家事・子育て」の計4つのシーンごとに、それぞれのおすすめのタイプを紹介しよう。
■「通勤・通学」シーン
乗客密度が高い電車やバスにおいて、ながら聴きイヤホンは車内のうるささに対抗して音量を上げれば音漏れが増え、音漏れを減らそうと音量を下げれば再生音が聞き取れなくなりと、どのタイプであっても実用は難しい。
しかし、徒歩経路においては音漏れは気にしないでよいし、装着安定性はどのタイプでも十分。タイプを限定せず幅広い製品から選択してOKだ。
■「スポーツ・アウトドア」シーン
スポーツやアウトドアで大切なのは装着の安定性。そして汗や雨や水飛沫に負けない、余裕のある防水仕様もほしい。その両方を満たす製品の典型的なタイプは「イヤーフック型」か「ネックバンド型+骨伝導方式」となる。
また特にアウトドアにおいては、着け外し時の“うっかりぽろり”でイヤホンが水没したり、行方不明になったりすることもあり得る。その心配を減らしたいという方にはネックバンド型がおすすめだ。
■「テレワーク・ビジネス」シーン
通話で大切なマイク性能。今どきのワイヤレスイヤホンはどんなタイプであっても必要十分な性能を確保しているが、特に優れたマイク性能を求めるなら、ネックバンド型の安定性を土台に、イヤホン本体から口元まで伸びるブームマイクを搭載した形の製品に注目だ。
ただし、ネックバンド型は充電ケース式でないために充電を忘れやすいのが懸念ポイント。会議中のバッテリー切れ回避を重視したいなら、イヤーフック型やイヤーカフ型の方が無難かも。
■「家事・子育て」シーン
家事をしながら、配信を聴きながら、子供の声にも注意を払いながら、そして宅配便のチャイムも聞き逃さないようにしながら、水回りの仕事もあるから防水仕様も必須だったりと、ながら聞きイヤホンの最も過酷な利用シーンかも。
そんな中で特に重視してほしいのは、長時間装着時の快適性。次々と切り替わる家事の合間にイヤホンを何度も着け外しするのは面倒だろうから、ずっと着けっぱなしでも気にならないほど軽やかな装着感の製品を選び、着け外しの回数を減らすのがおすすめだ。まずは、イヤーカフ型から探し始めるのがよいだろう。
【レビュー有り】編集部のおすすめモデルはコレ!
PHILE WEBでは「ながら聴きイヤホン」のレビュー記事を多数掲載中。ここからはレビュー記事を掲載したモデルの中から、編集部が今おすすめする注目モデルをピックアップする。プロの評論家による製品レビューもチェックできるので、ぜひとも好みのモデルを見つけだしてほしい。

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