PR 公開日 2025/10/21 07:00

ゼンハイザー「HDB 630」発売当日レビュー。初の“オーディオファイル向けワイヤレスヘッドホン”はどこが凄い?

製品の注目ポイントもおさらい
山本 敦/ファイルウェブ編集部
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ゼンハイザーから、音質を徹底追求したBluetoothヘッドホン「HDB 630」が本日10月21日(火)に発売となる。

「HDB 630」10月21日発売(予想実売価格:税込95,700円前後)

これまで同ブランドの旗艦ワイヤレスヘッドホンに位置づけられていた “MOMENTUMシリーズ”  の機能性や使いやすさを受け継ぎつつ、音質はオーディオファイル(オーディオ愛好家) グレードにまで突き詰めたという本モデル。特にその音質については、オーディオファイル向け有線ヘッドホンの基幹モデル “HD 600シリーズ” の系譜に連なるというのだから、その力の入れようが窺えるというものだ。

老舗ゼンハイザーがいま改めて送り出す音質追求ワイヤレスヘッドホン。本稿では、まず前半にて本モデルで見逃せない3つのポイントをピックアップ。そして後半は実際の音質および使用感について、有線/無線を問わず数々のゼンハイザー製品を聴きこんできた山本 敦氏によるレビューをお届けしよう。

 

【ポイント1】 “オーディオファイル向け” 音質をワイヤレスで実現

HDB 630の最大の特徴は、上述したとおり “オーディオファイル向け” を謳う音質。それも、ブランドの代表作と言っても過言ではないHD 600シリーズと同じ “600番台” のモデル名を、ワイヤレスヘッドホンとして初めて背負っている。

音響設計においては、自社開発の高性能42mmトランスデューサー(ダイナミック型ドライバー)を中心に、大きく分けて4か所を新設計。ドライバー前面の「ダストカバー」、ドライバーの磁石を保持するマグネットホルダーに取り付けられた「アコースティックメッシュ」、ドライバー背面の通気や反響を制御する「バックボリューム」、そして「イヤーカップ」の素材や形状などを最適化。高域から低域まで全帯域のクオリティをブラッシュアップした。

ダストカバーには、自社開発トランスデューサーを搭載していることを示す「42MM DYNAMIC DRIVER FROM IRELAND」の文字が印字される

これに加えてデジタル部では、音質処理専門のチップとノイズキャンセリング(ANC)処理専門チップをそれぞれ1基ずつ搭載。役割ごとに独立したチップを用意することによって、音響設計のポテンシャルを最大限に引き出している。

こうしたチューニングの結果、オーディオファイル向け有線ヘッドホンと同じ緻密でニュートラルなサウンドをワイヤレスでも実現。特にクリアで広がりのある高域は、まさにHD 600シリーズゆずりなのだという。

ただ、単に昔ながらのHD 600シリーズのサウンドをワイヤレス化しただけではない。HD 600シリーズの現行モデル「HD 650」と比較して、20 - 100Hzにかけての低音が強められており、近年好まれる音楽の傾向を分析した上でのアップデートが行われている。

 

【ポイント2】USBドングル同梱で、幅広いリスナーに高音質を届ける

Bluetoothヘッドホンで高音質を目指すのであれば、避けては通れないのが「コーデック」の問題。よりよい音質で聴くためには、一度に多くの情報量を伝送できるaptX Adaptiveのようなコーデックをぜひ使いたいところだが、いくらヘッドホン側が最新コーデックをサポートしても端末側が非対応では、その魅力は活かされない。

そこでHDB 630では、USB接続のBluetoothトランスミッター(USBドングル)である「BTD 700」を同梱。USB Type-C端子を備えてさえいれば、どのような端末でもaptX Adaptiveコーデックによる最大96kHz/24bit相当の音質が楽しめるようになっている。

「BTD 700」を同梱することで、USB-Cを装備してさえいればどのようなデバイスでもaptX Adaptiveコーデックで接続可能とした
後述するアプリ「Smart Control Plus」にて「ハイレゾモード」をオンにすることで、aptX Adaptive 96kHz/24bit伝送が行われる

このようにワイヤレスオーディオに力を込める一方で、3.5mmアナログ/USBデジタル有線接続ももちろんサポート。特にUSB接続では最大96kHz/24bitのロスレスオーディオに対応し、6Hz - 40kHzの再生周波数帯をカバーする。

 

【ポイント3】ANCをはじめ機能性も充実。“エキスパート仕様”のイコライザーも新搭載

ANC機能やスマートフォンアプリ、バッテリー持ちなどの機能性/利便性についても抜かりはなく、MOMENTUMシリーズで培った技術やノウハウが存分に活かされている。

ANCはこれまでのゼンハイザー製品と同様、ただ騒音を打ち消すのではなく “音質に悪影響をおよぼさない” よう入念に調整。連続再生時間は、ANCオンかつ「ハイレゾモード」オン(aptX Adaptive 96kHz/24bit伝送)の「ハイレゾモード」の状態で約45時間と、頻繁なバッテリー切れに悩まされることのない充分な長さを確保している。バッテリーじたいの寿命についても、充放電を500回繰り返してなお容量の80%が使えるといい、数年かけて使い続けられるよう配慮がなされている。

スマートフォンアプリ「Smart Control Plus」を使えば、ペアリングしている端末の管理や、ANC/外音取り込み、ハイレゾモードのオンオフといった機能のコントロールなどを一括して行える。

「Smart Control Plus」
スマートフォン/タブレットおよびBTD 700と同時にBluetooth接続して、高音質オーディオ伝送とコントロールを両立している

そしてHDB 630では、いままでのゼンハイザー製品には無かった新しい機能「パラメトリックEQ(PEQ)」も搭載されている。あらかじめ決められた周波数帯しか調整できない一般的なEQとは違い、調整する周波数や増減の幅などをユーザー自身が柔軟に決めることができる。調整前と後を聴き比べるA/Bテスト機能まで備え、まさにサウンドエンジニアのように音質を突き詰めることが可能だ。

新たに搭載されるPEQは、調節する周波数帯、カーブの形状を細かく設定でき、さらに変更前/変更後の音質聴き比べといった機能まで備える。納得行くまで音質の細部をカスタマイズできる

 

次ページ歴代のゼンハイザーサウンドを知る専門家は「HDB 630」をどう聴く?

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