公開日 2021/09/01 06:30

耳を塞がない、けど骨伝導じゃない。ambie完全ワイヤレスイヤホンの使い勝手は?

<山本敦のAV進化論 第204回>
ソニーからスピンアウトして誕生したambie(アンビー)の独創的な “耳を塞がないイヤホン” のラインナップに、左右独立型の完全ワイヤレスイヤホン「ambie TW-01」が新たに加わる。今回はそのサンプル機を先行入手、試用ができた。他の開放型イヤホンとの仕組みや音質の違いに迫ってみたい。

“耳を塞がないイヤホン”が左右独立スタイルになった「ambie TW-01」

耳を塞がずに外音を自然に取り込めるambieのイヤホン

ambieは2017年に誕生した若いオーディオのスタートアップ企業だ。同社が初めての耳を塞がないイヤホンである「ambie sound earcuffs」を発表・発売したのも同じ年の春だった。最初のイヤホンはプレーヤーとケーブルでつなぐ有線タイプ。翌年にはネックバンドタイプのBluetoothイヤホン「wireless earcuffs AM-BT01」が発売される。

どちらのモデルもイヤホンで耳を塞ぐことなく、周囲の環境音や人の声に注意を向けながら音楽再生やハンズフリー通話が楽しめる、斬新なリスニング感が話題を呼びヒットした。

ネックバンドスタイルのBluetoothイヤホン「wireless earcuffs AM-BT01」

ambieの社名は「ambience=環境・雰囲気」という英語に由来する。同社の創設メンバーであり、オリジナリティ豊かなイヤホンの開発責任者でもある三原良太氏は以前筆者のインタビューに答えながら、耳を塞がないイヤホンが目指したコンセプトについて「周囲の音や人の声も聞きながら音楽を自然に楽しむ体験を実現すること」だと説いた。

ambieは装着スタイルもユニークだ。今回新しく発売される完全ワイヤレスイヤホンからはその名称が省かれているが、“イヤーカフ” と呼ばれる耳を飾るアクセサリーから着想を得た独特のデザインをambieの全イヤホンが共有している。

骨伝導技術を採用するイヤホンとの違い

耳を塞がずに音を聴くambieの仕組みは意外にシンプルであり、このイヤーカフを模したデザインと深く結びついている。耳を挟み込むように装着するイヤホンは、筐体がふたつの部位に分かれている。装着すると耳の後ろ側に回る筐体にはドライバーを内蔵する。ドライバーから生まれた音は、カーブした本体の中に格納された音導管を伝わり、耳の前方側の筐体に設けられた開口部から出力されて耳に届く。

手前側の少し大きな筐体の中に9ミリのダイナミック型ドライバーやバッテリーが格納されている

ハウジングに小さな孔を設けた開放型イヤホン


左側小さめの筐体先端にある小さな孔から出力される音を聴く。右側大きめの筐体の先端に記されているマークで左右の筐体が見分けられる

なお、本体の後方筐体にはボタン式のリモコンがある。ペアリングしたスマホの操作は音楽の再生・一時停止や曲送り、音量調整(長押し)に加えて、ハンズフリー通話のコントロール、ボイスアシスタントの呼び出し(トリプルクリック)などに対応する。

耳を塞がないイヤホンといえば、昨今では骨伝導方式を採用する製品も人気だ。頭蓋骨を振動させて音を聴く骨伝導方式に比べると、ambieのリスニングスタイルはシンプルだが、負けないほどにインパクトがあると筆者は思う。明瞭度が高く自然な音の聴こえ方にも個性がある。本機に似た開放型ハウジングによるリスニング感を実現したイヤホンには、ソニーの「Xperia Ear Duo」や「STH40D」「SBH82D」などがある。

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo」も耳を塞がない独自の開放型リスニング構造を特徴としている

耳に挟んで装着する “イヤーカフ” スタイルに、筆者は最初のうちはなかなか慣れなかった。完全ワイヤレスタイプになると、先に発売された有線やネックバンドスタイルのambieよりも本体が重くなりそうだが、どうだろうか?装着感を気にしつつ、ambie TW-01の実機を体験してみることにした。

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