公開日 2017/06/07 10:00

総額2.5万円以下、「DragonFly Black」+「Audirvana Plus 3」で手軽にMQA再生を楽しむ

<山本敦のAV進化論 第134回>
5月末、Audioquestのスティック型USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「DragonFly Red/Black」にMQA再生機能を追加するファーム更新が行われたことが明らかになった。MQA再生を最も手軽に楽しめるデバイスの一つとなった「DragonFly Black」でMQA再生を試してみた。

ソフトウェアアップデートによりMQA再生に対応したAudioquestの「DragonFly Black」

2万円台前半で揃えられるMQA再生環境

DragonFlyは2012年に発売されたUSBスティック型のDAC内蔵ヘッドホンアンプ。ノートパソコンだけでなく、iOSやAndroidを搭載するモバイル端末につないでUSBバスパワー駆動でも手軽にハイレゾ再生が楽しめるロングヒットモデルだ。2013年に「Ver.1.2」としてハードウェアをアップデートした後、2016年夏に上位のRedとエントリーのBlackに枝分かれした。

両者はESSの異なるDACチップを搭載しており、Redが上位の「ES9016」。ESSヘッドホンアンプと9016のDACチップに搭載されているビットパーフェクト・デジタルボリュームコントロールを内蔵する。

Blackの方は「ES9010」のDACチップにVer.1.2と同じ高品位ヘッドホンアンプとアナログボリュームコントロールを組み合わせる。ヘッドホン出力はRedが2.1V、Blackが1.2V。価格はRedの29,500円(税別)に対して、Blackは14,600円(税別)と違いがある。

どちらの製品もAudioquestがWebサイトで公開した最新バージョンのファームウェア「1.06」をダウンロードし上書きすることで、MQA音楽ファイルのネイティブ再生に対応する「MQAレンダラー」に生まれ変わる。

Audioquestの公式サイトから最新バージョンのファームウェア「1.06」をダウンロード。DragonFlyに書き込む

ところで、この「MQAレンダラー」とは何か? 2017年1月、TIDALがMQAによるハイレゾ音楽配信を、そしてMac用の定番音楽プレーヤーソフト「Audirvana Plus 3」がMQA対応を発表した際、MQAもAudioquestの「DragonFly Red/Black」がMQAレンダラーとしてMQA対応機器の仲間に入ることをアナウンスしていた。

MQAのチェアマン兼CTOであるボブ・スチュアート氏にMQAレンダラーの定義を尋ねたところ「Audirvana Plus 3のようなMQAのコアデコーダーを搭載するハード機器やソフトに組み合わせ、MQA再生をフルに楽しめるデバイス」と答えている。つまり、新規購入で74ドル(約8,100円)、アップグレードなら39ドル(約4,300円)のAudirvana Plus 3とDragonFly Blackを揃えれば、合計2万円台前半でMQA再生環境が揃うことになる。

DragonFlyは単体だと最大96kHz/24bitのリニアPCM系ハイレゾ再生までにしか対応していないが、Audirvana Plus 3に接続してソフトウェアの設定から「MQA Renderer device」を選ぶと、ESSのDACチップの性能がフルに発揮され、384kHz・352.8kHz/24bitのDXDフォーマットのMQAファイルも再生できるようになる。

なお、メリディアン・オーディオのUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「Explorer 2」などMQAフルデコーダーを搭載するオーディオ機器については、例えばFoober 2000などMQA非対応の音楽プレーヤーソフトにつないでも、本体に内蔵するMQAデコーダーを使ってMQA再生を楽しむことができる。

DragonFlyは通常のハイレゾ音源はリニアPCMの96kHz/24bitまで再生できるが、MQAファイルの場合はそのリミットを超えた再生が楽しめる

またExplorer 2に限らず、MQAフルデコーダーを搭載するハイエンドオーディオ機器の場合は、本体に内蔵するDACチップの特性を解析したうえでMQA音源のエンコードからデコードまで“Analogue to Analogue”の、より洗練された再生システムを構築できるところも特徴だ。

次ページDragonFlyでMQAを聴いてみる

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX