公開日 2012/11/09 10:54

一番低音が充実しているのは? シリコン、フォーム、ジェル…イヤホンチップ各種の“聴こえ方測定”

【特別企画】イヤホンチップでイヤホンリスニングを変える!
ファイル・ウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
イヤホンチップ各種の聴こえ方を“目”で見てみよう!

イヤホンチップ各種の聴こえ方に迫る特別企画「イヤホンチップでイヤホンリスニングを変える!」。今回は、イヤホンチップ交換の効果を“目で見える形”でご紹介したい。さっそくだが、それがこのグラフだ。

女性スタッフの耳で計測したグラフ

高橋敦の耳で計測したグラフ

これは、補聴器を各個人に合わせて調整する際に用いる測定機器「Medrx」を利用して、イヤホンチップ各種を付け替えたイヤホンの聴こえ方を計測したものだ。左が今回の検証に協力してくれた女性スタッフの耳で測定したグラフで、右が僕の耳で測定したグラフだ。

今回測定に使用したイヤホンチップ。左から、SHUREのトリプルフランジ、モンスターのフォームチップ、同ジェルチップ、ソニーのノイズアイソレーションイヤーピース、コンプライのフォームチップ

測定機器「Medrx」。透明の細いチューブを耳穴に入れて測定する

測定では、まず測定機器の細いチューブを耳に入れた状態でイヤホンを装着して音楽を再生。チューブで収録した音を、測定機器に接続したパソコンの測定アプリで周波数解析してグラフ化した。つまりこのグラフは「カナル型イヤホンを挿入した耳の中で実際に鳴っている音」を測定したグラフということになる。

「Medrx」のチューブを耳穴に挿入

その上からイヤホンを装着する


この状態で音楽を再生して試聴を行う
もちろんこれは、個人の耳穴の大きさ・形状とイヤホンチップの相性が含まれたうえでの測定結果であるため、絶対的なものではない。しかし聴こえ方の傾向として参考にはなるだろう。

まず、女性スタッフの耳で計測した左のグラフをみてみよう。目立つのは、フォーム素材のイヤホンチップは低音が良く出ているということ。それらに続くのはシリコンの傘の下にジェルを仕込んだモンスターのスーパー・ジェル・チップと、同じくフォームを仕込んだソニーのノイズアイソレーションイヤーピースだ。この結果は、実際に僕が聴いた音の印象とも一致する。

逆に、イヤホンチップなしの状態と、女性スタッフの耳にフィットしづらかったというトリプルフランジは、低音がかなり弱い。

それらから推測できるのは、「フォームを筆頭に遮音性の高いチップは低音が良く出る」ということだ。イヤホンリスニング時に低音の出方に不満がある方は、適正なサイズのフォームチップに変えることで、そこを強化できる可能性がある。

次に、僕の耳で計測した右のグラフをみてみよう。僕のグラフの方は周囲に騒音がある状態で簡易的に図ったものなので参考程度であることをあらかじめ断っておくが、2つのグラフを並べることである程度の傾向はわかりやすいのではないかと思う。

コンプライのフォームチップについては、上述の女性スタッフと同じく僕の耳でも低音がしっかり出ていることがわかる。コンプライのフォームチップは、女性スタッフも僕も耳へのフィット性が高く、同時に遮音性が高かった。

今回は改めてイヤホンチップのフィット性が聴こえ方に大きく影響を及ぼすことを実感した。例えばモンスターのジェルチップについては、先述の女性スタッフの測定ではフォームチップに次ぐ低音が出ていたものの、僕の耳では多少フィットしづらかったためかあまり低域が出ていない。

逆にトリプルフランジについては、フィットしづらかったという女性スタッフの耳と比べると僕の耳の方がフィット性が高かったためか、比較的低音が出ている結果となっている。

なお、中音から高音側の聴こえ方はあまり大きな差は出ていないようだが、僕が実際に聴いた印象としては、フォーム素材のイヤホンチップの方が細かな音を聴き取りやすい。

これは単純に、遮音性が高い方が周囲の音に邪魔されずに細かな音も聴き取りやすいということだろう。つまり「遮音性」はあらゆる面で音に好影響をもたらすわけだ。

次ページイヤホンチップ各種の聴こえ方ミニレビュー!

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX