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公開日 2010/06/04 13:20

貝山氏が挑む!フォステクスのGX103で構成するハイCPマルチチャネルシステムの構築

誘惑の音楽体験!ピュアマルチチャンネルの薦め<特別編>
貝山知弘
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究極のオーディオ/シアター再生への探求はもちろんのこと、高品位な「ピュアマルチチャンネル再生」に、常に情熱を傾け、日々「ボワ・ノアール」で実践・研究を行っている貝山知弘氏。今回はメインスピーカーにオーディオ銘機賞2010「銅賞」を受賞したフォステクス GX103を用い、高品位でコンパクトなマルチチャンネルを志向し検証してみる。
※「季刊・オーディオアクセサリー」135号掲載の記事を一部編集し、転載しています。

●プロローグ
G2000の導入で満足な日々だが今回は負担の少ないシステムに挑戦


解説・貝山知弘氏
私は自宅の試聴室「ボワ・ノワール」では、ステレオ再生もマルチチャンネル再生も同じ一つのシステムで行っている。映像作品を観るときでも、音声系はそのシステムを使用している。それ故に、ステレオ再生とマルチチャンネル再生との相違点、映像なしの音と映像付きの音の違いなどが、極めてはっきりと分かる。

では、マルチチャンネル再生がもたらすメリットは何か?私には、よく言われる「臨場感」ではなく、音あるいは音場の「実在感」であると思っている。もっとやさしく言えば、ステレオ再生の場合より、音楽の活き活きした響きがよりストレートに伝わってくるのだ。この好ましい感触は、いったん味わうと、もう後には戻れない。

マルチチャンネルシステムのスピーカーをフォステクスG2000に変更したことをオーディオアクセサリー誌の134号で詳述したが、このシステムは十分に満足できるもので、SACDのマルチチャネル再生、BDの音楽・映画ソフトの再生を満喫する日々を送っている。過日、その記事を見た悪友たちが押しかけてきて、そのサウンドを披露するはめになったが、本来人のシステムを褒めぬ筈の人たちが口を揃えて「凄い!」と激賛してくれたのには驚いた。

しかし、その中の一人が最後に言い残した言葉が気になった。「時流に反する快挙万歳だな・・・」。無理もない。これは巨大なG2000 5基のそれぞれに大出力アンプ1台ずつを当てがったシステムだからだ。ふだんはエコを口にするような彼ではないが、この皮肉には刺(とげ)があった。反射的に私は答えていた。「次回はエコ礼賛でいく・・・」。

もちろんやりとりは冗談だが、その日私は別の決心をした。「もっと負担の少ないシステムを組んでみよう」という考えが突然浮かんだのだ。「それこそ本当のエコじゃないか・・・」と私は思った。


FOSTEXのスピーカーシステム「GX103」とサブウーファー「CW200A」  photo by 田代法生

●GX103を中心にシステム構成
ピュアマルチに最適な高品位モデルGX103の登場が大きなきっかけ

ダウンサイズのシステムを構築するには格好の製品があった。フォステクスのスピーカーGX103である。これを良質のAVアンプ1台で駆動すれば、狙いどおりのシステムが構成できるはずだ。


今回の試聴時のセッティング状態。オーディオ銘機賞2010の「銅賞」を受賞したフォステクスのGX103を5台使用し、サブウーファーは同じくフォステクスのCW200Aを2台用意した
2月に発売されたフォステクスの小型プックシェルフGX100は市場でロングセラーを続けている。フォステクスはこの成功をさらに確実なものとするためにそれに続くシリーズ商品、GX102とGX103を発売した。これらのスピーカーの開発理念の中には、私の考えと一致する条項がある。「ピュアオーディオの性能でサラウンドシステムを構築」。かねがねピュアマルチチャネル再生を提唱してきた私にとってこれは心強い追い風である。

GX103はバスレフのトールボーイ型システム。セッティングスペースが小さくてすむというマルチチャネルを組むのに適した条件を備えたスピーカーだ。その上スリムなフォルムでありながら力感と量感豊かな低音再生ができ、音場の臨場感、音像の実在感が得られるという音質的な適合性がある。今回はこれを5基使用した本格的なマルチチャンネルのサラウンド再生を試みることにした。サラウンド再生では各チャンネルで同一スピーカーを使用するというのが私の理想だがペアで発売されている機種ではこれが邪魔になることが多い。こうしたモデルでは5.1チャンネルの再生で6本のスピーカーを買うことになる。GX103は幸いなことに1台単位で単売されるシステムで無駄が出ない利点がある。



スピーカーシステム FOSTEX GX103
¥131,250(1台/税込)
製品データベース メーカーサイト
【SPEC】
●形式:3ウェイ・バスレフ ●出力音圧レベル::86dB/W(1m) 2.83V入力時 87.5dB(1m) ●再生周波数帯域:40Hz〜 45kHz(-10dB) ●ユニット:トゥイーター→20mm マグネシウム合金 リッジドーム / ネオジム外磁型磁気回路、ウーファー→10cmHR形状アルミニウム合金振動板ウーファー×2、ボトム・ウーファー→10cmロングボイスコイルHR形状アルミニウム合金振動板ウーファー×1 ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:228W×1030H×285Dmm (グリル台座含む) ●質量:22.5kg





GX103は3ウエイ4スピーカーというユニット構成で、トゥイーターは1.8kHz〜45kHzという広い帯域をカバー。基音帯域である150Hz〜1.8kHzは2基のウーファーでカバー、150Hzから下の帯域はボトムウーファー1基で再生する。再生できる低域限界はだいたい40Hz(-10dB)だ。トゥイーターは直径20mmの新開発ユニット。リング形のネオジウム・マグネットをダブルで使用した磁気回路は強力(高磁力)である。振動板はマグネシウム合金のリッジドームを採用している。2基のウーファーは、直径10cmのアルミ合金HRコーンを強力にドライブし、小口径とは思えぬエネルギーとポテンシャルを発散できる。最下部のボトムウーファーは等価質量を増して音楽の重低音再生に最適な設計となっている。独特な形状のツインセル・ダクトを上部のウーファーの後方に配置し、S/Nの高い最良のパスレフ動作を行っている。


トゥイーターはマグネシウム合金を稜線を持つドーム形状に成型。これによりウーファー同様に分割振動による共振を分散でき、高伝搬速度振動板の音の良さを最大限に発揮する

ウーファーはG2000に搭載した純マグネシウムHRミッドレンジの技術を応用し、アルミニウム合金をHR形状に形成した振動板を開発。最下部のボトムウーファーは等価質量を増してボトムエンドを受け持つよう最適化している

サブウーファーにはフォステクスのハイCP機CW200Aを採用した

AVアンプはソニーのTA-DA5500ESを使用した。GX103の能率は86dB/wm。TA-DA5500ESの各チャンネルの定格出力は120WであるのでGX103を十分にドライブできるはずだが、全チャンネル駆動時に歪みなくドライブできるかどうかはってみないと分からない。最終的に組み上げたシステムを記述すると次のようになる。ユニハーサルプレーヤー/デノンDVD-A1UD、AVアンプ/ソニーTA-DA5500ES、スピーカー/フォステクスGX103(5台)、サブウーファー/フォステクスCW200A(2台)、プロジェクター/三菱VVP-HC7000。

なおプレーヤーについてはたまたま手元にあったる高価な製品(デノンのハイエンド機)を使ったが、実際にはハイCPの製品を選んで起用するといい。推奨機種は後述することにする。

アクティブサブウーファーはフォステクスの新製品。比較的小型に纏められたモデルでGX103と大きさのバランスは取れている。



サブウーファー FOSTEX CW200A
¥41,790(税込)
製品データベース メーカーサイト
【SPEC】
●アンプ部実用最大出力:110W(JEITA 4Ω ) ●スピーカー部型式:密閉型アコースティック・サスペンション ●使用スピーカー:20cm コーン型(簡易防磁型) ●定格インピーダンス:4Ω ●出力音圧レベル:90dB/W(1m)(JIS BOX) ●外形寸法:300W×320H×390Dmm(グリル、放熱フィン含む) ●質量:15.5kg



本機はパイプオルガンの最低音32Hzを十分に再生すること、16Hzの音も感じ取れることを目標に設計されている。25mmというロングストロークがとれる20cmウーファーを密閉型のエンクロージャーに収めている。密閉型にしたのは重低音の風きり音の発生を嫌ったからだ。この帯域の風きり音はノイズにしか聴こえないから極めて理に叶った方法だといえる。能率は90dB/wm。内蔵アンプの最大出力は110W。入力端子はRCAだ。クロスオーバーは50Hz〜150Hzで連続的なコントロールが可能。遮断特性は12dBオクターブに設定し、500Hz以上の不要帯域は18dBオクターブで遮断している。普通は1台の使用でいいが、念のため2台を用意してみた。


「5弦コントラバスの最低音である32Hzの十分な再生とパイプオルガンの16Hzも感じさせる能力を備えることを目指して設計されたCW200A。ウーファーはBKPパルプとケブラーの混抄による高剛性振動板を9000ガウスを超える強力な磁気回路と2層ボイスコイルで駆動し、90dB/wmの高能率を確保する

次ページ貝山氏がサウンドを細部に至るまでチェック

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