公開日 2018/09/28 20:14

ソニーはこれから何を作るのか? ヒントが詰まった展示会、明日29日から。一足先に体験した

テーマは「日常のなかに隠された感覚」
編集部:平山洸太
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東京・銀座のソニービル跡地に、8月9日より開園した公共スペース「Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)」。「ミラノデザインウィーク」の出展内容を国内初披露する『HIDDEN SENSES AT PARK(日常のなかに隠された感覚)』が、明日29日から11月4日まで開催される。今回、一足早くメディア向けにその内容が公開された。

「HIDDEN SENSES AT PARK」の会場入口

感想を先に述べると、肩乗せスピーカー「SRS-WS1」「Xperia Touch」「Xperia ear」「aibo」など、同社の様々なユニークな製品が生まれた背景が感じられる展示内容となっていた。

会場で配られているリーフレット

会場は地下通路と直結。柱は今回のイベント仕様になっていた

本展示は、生活空間に溶け込み、人に寄り添った“心地よい”テクノロジーのあり方を提案するというプログラム。全14の展示を通して “隠された感覚” が体験できるとしている。またソニーパークの公園というかたちを利用して「1階の公園部分から光が漏れ出し、地下まで届く」などの工夫も施されるなど、「わかるひとにはわかるが、わからないひとにはずっとわからない」トリックが隠されているとのことだ。

会場の様子

ソニー(株)デザインセンター・センター長、長谷川豊氏の挨拶では、「ユーザーに感動をもたらし、人々の心を豊かにする」のがソニーの活動の目的と説明。これを実現するため、「最先端の技術を活用しながらも、行動や気持ちをしっかりと汲み取り、いかに人に近づいていけるか」ということをデザインの面から考えてきたという。また長谷川氏は、デザインについて「技術をわかりやすいように翻訳していくもの」と説明した。

感動で人々の心を豊かにすることがミッション

ソニー株式会社クリエイティブセンターセンター長 長谷川豊氏

ソニーではこれらのゴールに向かって、2014年から “HIDDEN SENSES(隠された感覚)” というコンセプトで研究を行っている。また、あたりまえの「日常」に「非日常」が入ってきて、生活に技術が溶け込んだとき、本当に心地よいものとは何かということを考えてきたと、同社チーフアートディレクターの田幸宏崇氏は説明。こういった取り組みの背景には、スマートフォンやIoTが普及し始めたことがある。“自動化” や、“情報に囲まれる” ことが果たして良いことなのか、技術が “気持ちよく穏やかに生活に溶け込む” というあり方も良いのでは、と考えを巡らせたのだという。

ソニー株式会社チーフアートディレクター 田幸宏崇氏

HIDDEN SENSES

わかりやすい例として、今回の展示の1つである『Flutter Paper』を挙げた。“紙にテープが貼ってある” というだけのシンプルなものだが、光と影を制御することで、あたかも紙が “動いている” ように見せるものだ。物自体を動かすのではなく、光や影という “日常” にあるものを制御し、同じような視覚効果を得るのも、デジタル技術の効果的な活用方法ではないかという提案である。

Flutter Paper

『Welcome Butterfly』は、会場の入口に配置され、リーフレットが置かれている。リーフレットを取ろうとすると蝶が舞う、という展示だ。これ自体が直接製品に活用できるわけではないが、映像を見るためのプロジェクターを照明・演出として使うことにより、「使い方を変えると別の体験ができる」ことを表している。Xperia Touchなどは、このような考え方から生まれたものだという。

Welcome Butterfly

リアルな感覚を作り出す、センシング技術

『Tactile Bench』と『Empty Jug』は、ジェスチャーや触覚など、センシング技術を応用したもの。Xperiaのゲームや映画のサウンドに合わせて振動する機能や、PS4のコントローラーの振動、振動によって没入感を高める肩乗せスピーカー「SRS-WS1」などは、この“リアルな感覚を作り出す” 研究を発展させたものだ。

Empty Jug

Tactile Bench

Tactile Benchはベンチのようなデバイスだ。シーソーのように揺れる形状で、揺らすと水の上に座っているような体験ができる。中には10個のスピーカーと、数多くの振動ユニットを内蔵することで、リアルな感覚を作り出すという。またEmpty Jugは水差しのようなデバイスで、水を注いでいないにもかかわらず、あたかも水が注がれているような感覚が得られる。コップの中の水も連動して動くなど、細かい点までこだわっている。

年々大型化するテレビをインテリアにする

『Material Shelf』は、一見すると普通の棚に見える。実は枠組みの部分以外は画面になっており、模様を変えることが出来る。ここで注目すべきことは、枠から画面に落ちている影は作り出したもので、本物の影ではないということ。光源の情報をソフト上で入力することで、実際の影をシミュレートし、リアルな表現を行っている。加えて、画面には有機ELを使用している。有機ELを使用したのは、黒い部分が沈み込むことで、よりリアルに表現できるためだという。

Material Shelf

まるで本物のような質感

この“テレビをインテリアに溶け込ませる” という発想に至った背景には、テレビの大型化に対する意見があると説明してくれた。特に欧米では、「大きな黒い板」を部屋に置きたくないという声が多いとのこと。先行して展示したミラノにおいても、この展示は好評だったという。

マグネットで付く“枠”を貼り付けると、そこだけ映像がながれる

プロジェクターを日常に溶け込ませる

今回の展示では、先述の2展示も含め、プロジェクターを展示したものが多かった。しかし使いかたはそれぞれの展示で異なり、様々な活用方法を模索していたように思える。次のページでは、それぞれの展示を紹介する。

次ページプロジェクターは映像を表示するためだけのものじゃない

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