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公開日 2023/05/18 18:38

パナソニック、競争力強化の2年を終え成長のフェーズへ。車載電池へ重点投資

パナソニックグループ戦略説明会
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■競争力強化はまだまだ道半ば。手綱を緩めず徹底強化



パナソニックホールディングスは、グループ戦略説明会を開催し、中長期で目指す姿と戦略について、グループCEO 楠見雄規氏が説明を行った。

パナソニック ホールディングス株式会社 グループCEO 楠見雄規氏

楠見氏は2年前、これからの2年間を、誰にも負けない競争力を身につけるための期間に充て、一時的な利益をあげるのではなく、中長期の成長のための基礎体力作りに集中すると明言した。

長期視点に基づく「戦略」と「オペレーション力」を両輪に、戦略面ではグループの使命達成を阻む最大の課題を地球環境問題と捉え、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を策定した。2050年に現在の世界のCO2総排出量の約1%にあたる3億トン以上の削減インパクトを目標に、着実に推進する。楠見氏は「CO2削減は企業としての責務。効率的なCO2削減が競争力のひとつになる」と説明した。

オペレーション力の強化では、ものづくりの現場のサプライチェーン全体を見渡し、各事業会社から1つ以上の現場革新代表拠点を選定し、高い目標を掲げて改善を続けている。拠点のひとつであるPAS敦賀工場では、生産リードタイムを50%短縮、安全在庫半減するなど大きな成果も見られた。「もっと速いスピードで横展開ができればよかったが、目覚ましい成果を出す拠点も現れ、展開する素地が整ったという意味では成果があった」と振り返る。

この2年間は競争力強化を徹底

この2年間の取り組みを総括し、「財務指標に成果を残すことはできず、競争力強化はまだまだ道半ばと認識している。企業を取り巻く環境はこれまで以上に急激に変化していくことが予想されるなか、中期経営指標である累積営業キャッシュフロー 2.0兆円、ROE 10%以上、累積営業利益 1.5兆円を維持し、手綱を緩めることなく、競争力を徹底して強化していく」と決意を示した。

■成長のステージへフェーズチェンジ



競争力強化に徹する2年間を終え、「今年度は成長へ向けギアチェンジをしていく。そのためにグループが目指す姿の解像度を上げ、使命達成に向けて変革を加速していく」と力を込めた。そのために、重点投資領域を鮮明化するとともに、お客様を起点にグループの総合力を結集していく。

グループ戦略では、最重要経営課題と捉える「地球環境問題の解決」、そして、「一人ひとりの生涯の健康・安全・快適」の2つを柱に、社会課題に向かい合っていく。

「地球環境問題の解決」では、Panasonic GREEN IMPACTの実現が大きなテーマ。地球環境問題を解決することはもちろん、グループの成長にもつながる。CO2削減では「何よりも大きいのは化石燃料を使う電化機器の置き換え」と指摘。グループ全体のCO2削減貢献量の6割を占める車載電池へ投資を重点的に振り向け取り組んでいく。

車載電池はEV市場でグローバルに拡大しており、北米では年平均35%成長(2021年-2030年)と急速な拡大が見込まれる。なかでも、エネルギー密度・安全性・コスト面で優位性のある円筒形車載電池により北米市場での事業拡大を目指す。電池技術開発の先駆者として、高容量化・レアメタルレスで電池業界をリードする同社。「レアメタルをいかに使わないかが重要。技術的にはすでにゼロが見えている」と説明した。

車載電池の需要が急拡大する

北米最大の生産能力を誇るネバダ工場に加え、カンザス工場を立ち上げる。また、研究・技術開発においても拠点を集約して開発体制を強化し、2024年には住之江に生産技術開発拠点、2025年には門真に新機種・次世代機種の開発や材料の源流開発を行う拠点を計画する。

同社車載電池の優位性が評価され、「Lucid社、Hexagon Purus社など、新たなお客様との供給契約を締結、さらなる引き合いもいただいている。生産能力増への準備も整い、本格的な成長フェーズへ突入した」と語る。2030年度までに現在の4倍となる200Gwhの生産能力へ拡大を目指す。

■事業ポートフォリオの見直し・入れ替えに2つの判断軸



車載電池に次ぐ投資規模となるのが「空質空調」と「サプライチェーンマネジメントソフトウェア」だ。空質空調では、冷媒制御技術とIoT遠隔監視を強みにして、気候変動対策が進んでいる欧州を主戦場に、開発・製造・販売を一気通貫で行う地産地消を推進する。AV機器を製造していたチェコ工場を空調に転換するなど、将来的にはグローバルで100万台の生産体制に拡大する。

サプライチェーンマネジメントソフトウェアでは、製造・物流・流通をカバーするEnd to Endソリューション、データ収集・蓄積・AI分析による高精度な全体最適解の導出、業界リーダー企業を含む3,000社超の強固な顧客基盤を強みに、あらゆるムダと滞留を無くし、環境負荷の軽減と人手不足解消に貢献していく。

環境と並ぶ戦略のもう一つの軸となるグループ共通戦略「一人ひとりの生涯の健康・安全・快適」の取り組みでは、お客様のくらしにおける多様なつながりとデジタル・AIの活用で、一人ひとりに合った価値を提案できる『くらしのソリューション・プロバイダー』になることを目指す。

成長のステージへフェーズチェンジとなる今年度は、事業ポートフォリアの見直しや入れ替えも視野に入り、そのための2つの判断軸・基準を設定した。一つ目は、社会へのCO2削減への貢献など、環境とくらしのグループ共通戦略との適合性。二つ目が市場の成長性・継続性、事業の市場ポジション・収益性など、事業の立地・競争力だ。「今年度中に方向付けを行い、順次実行していく」とした。

事業ポートフォリオの見直しを順次実行していく

財務戦略では、必要となる資金は事業からのキャッシュフローでまかなうことを基本に、累積営業キャッシュフローは2兆円。1.8兆円の投資では、0.6兆円を戦略投資と位置づけ、車載電池に重点的に投資を行っていく。

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