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強いグローバルブランド“SHARP”を目指し

シャープの2022年度連結決算は7年ぶりの赤字に。2023年度黒字必達に向け新体制で挑む

公開日 2023/05/11 17:36 PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
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シャープの決算会見の模様
シャープは、2022年度の連結決算業績の説明会を開催した。連結業績は、売上高が前年同期比2.1%増の2兆5481億円となったが、営業利益は2570億円の赤字、経常利益が3040億円の赤字、最終利益が2608億円の赤字となった。

2022年度の連結業績概要

同社代表取締役副社長 執行役員の沖津雅浩氏は「2022年度の売上高は、ディスプレイデバイス以外の4セグメントが伸長して前年を上回ったが、営業利益・経常利益は円安やディスプレイ事業の不振の影響で2015年度以来の赤字となった。最終利益は、ディスプレイデバイスに関連する減損損失などの一過性の費用を計上した」と説明した。

2022年度のセグメント別概況として、スマートライフは、白物家電事業は下期以降、国内やASEANをはじめ世界各地で市況悪化の影響を受けたが、通期で増収。売上高の増収要因を「特に調理家電は欧米でスマートキッチンやB to Bが伸長、大幅に売り上げを伸ばした。洗濯機もドラム洗などが好調で前年を上回った」とする。原材料価格の高騰や円安の進展により国内の白物事業の収益が落ち込んだことなどで、営業利益が減益となった。

2022年度スマートライフの概況

8Kエコシステムでは、テレビ事業が市況低迷により売上高が減収。アジアは通期で増収となったものの、市況が悪化した4Qは前年同期比割れとなった。営業利益では、ビジネスソリューション事業で高付加価値化がすすみ増益となったが、テレビ事業は減収となり減益に。

2022年度8Kエコシステムの概況

これらを受け、2023年度の取り組みが説明された。需要環境として「コロナ特需の反動や世界的なインフレなどの影響で全体的に低調に推移すると考えている」とするが、「カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション関連分野などは引き続き堅調な需要が見込まれる」と期待を示す。その上で「2023年度年間黒字の必達に向けて、全社で開源節流を徹底する。ブランド事業を主軸とした事業構造の構築に向け、新規事業の具体化加速、ゲームチェンジを実現する革新技術、革新デバイスの開発などに取り組む」とした。

2023年度の連結業績予測

2023年度の取り組み方針

そして、事業変革を加速する新たな体制の構築について言及し、「注力領域の明確化、事業間シナジーの最大化を狙い、2023年度からブランド事業のグループ体制を『スマートライフ&エナジー事業』『スマートオフィス事業』『ユニバーサルネットワーク事業』の3つに再編した。デバイス事業はこれまで同様、さらに技術力強化を狙い、最先端AIやロボティクスなど、全社のイノベーションを支える機能を束ねた『イノベーショングループ』を新設している」と説明した。

2023年度からの新体制について

2023年度のセグメント別概況にも触れた。スマートライフ&エナジー事業では、新規の独自特長商品やソリューションの創出、海外事業の拡大を方針とし、付加価値商品のシェア拡大、日本や米国でのスマートキッチンの拡大などに取り組む。

2023年度のスマートライフ&エナジー事業の取り組み

ブランド事業における新規事業の具体化加速については、「4月1日付で各事業グループに新規事業専門組織を設置した。今後この組織が中心となり、将来の成長の柱となる事業の早期立ち上げに取り組む」と説明した。

2023年度は新規事業に取り組む

最後に沖津氏は「当社は昨年来ESGに重点をおいた経営のもと、人を生かす経営、グローバルマインドの醸成、技術力のさらなる強化を進めてきた。今年度も厳しい事業環境が継続する見通しだが、これらの取り組みをベースとして全社をあげて開源節流を徹底、年間黒字を必達する。将来の持続的成長に向け、ブランド事業を主軸とした事業構造の構築を加速し、輝けるグローバルブランド“SHARP”を実現する」と締め括った。

2023年度に目指すもの

続いて同社代表取締役社長 執行役員 CEOの呉柏勲(ロバート・ウー)氏は、「2022年の業績で巨額の赤字が発生したことについては最大の責任を負っていきたい。シャープにとって重要なのは、2023年に黒字転換し、技術の強いブランド企業を目標としてすすむこと。技術変革は極めて重要で、コア技術の強化、ブランド事業の展開、新しいビジネスチャンスの創出を目的に、ゲームチェンジャーとなるようにシャープのブランドを強化する。2023年の黒字化は固く達成していきたい」と語った。

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