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公開日 2020/09/29 10:52

電気製品の事故に遭遇しないためにチェックしたい「Sマーク」と「PSEマーク」。その違いも知っておこう

身近に潜む危険を回避
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■非純正バッテリーパックが発火

コロナ禍のステイホームを背景に、自宅で料理をする機会が増えた調理家電、若い人も家で動画配信を楽しむ機会が増えたテレビなど、人気を集める家電製品も少なくない。身近にあることが当たり前な家電製品。それだけに、 “安全性” については意外と見落としがちな落とし穴となっている。

製品の事故に関する情報収集や調査・原因究明、事故の再発防止・未然防止のための情報提供を行っているのが、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)。NITEのホームページでは、思わず目を疑いたくなる数々の事故事例が報告されている。

バッテリーパックに不具合があり、充電中に発火に至る事故はそうしたもののひとつで、電動工具用の非純正バッテリーパックによる事故イメージ映像が紹介されている。「電動工具などでバッテリーパックの付け替えが行える製品は、事業者の指定する純正バッテリー以外に、他社製の互換品(非純正バッテリー)も市場で流通しています。それら非純正バッテリーの中には、品質の低い安全性が確認されていないものもあるため、購入時には注意が必要です」と警鐘を鳴らす。

電動工具用非純正バッテリーパックによる事故のイメージ映像(動画提供:NITE)

性能アップで “メインの掃除機” としても人気を集めるコードレスクリーナーもバッテリーパックが必須となる家電製品で、同様の事故事例の報告件数が増えてきている点は見逃すことができない。

2014-19年度 非純正バッテリーが関係するリチウムイオンバッテリーの事故件数(NITE)

一時、ニュースとして取り上げられたモバイルバッテリーの発火・発煙事故も、引き続き気を付けなければならない。リコール対象製品のモバイルバッテリーが発火した事故の再現映像が紹介されており、「お持ちの製品がリコール対象製品かどうか確認を行ってください。リコール対象製品をお持ちの場合は、異常が認められなくても使用を中止し、販売店や製造事業者に連絡してください」と注意を呼び掛ける。

リコール対象製品のモバイルバッテリーが発火した事故の再現映像(動画提供:NITE)


2014−19年度 モバイルバッテリーの事故件数(NITE)

2014年度から2019年度の6年間、NITE(ナイト)に通知があっただけでも、リチウムイオンバッテリーを搭載した製品の事故は合計982件に及ぶ。製品別では、モバイルバッテリー、ノートパソコン、スマートフォンの事故が多くを占めているが、2018年度から2019年度にかけては、充電式の電気掃除機や電動工具の事故が急増。事故の多くは、事業者の指定する純正バッテリーではなく非純正バッテリーで発生した火災事故だ。

■安全性を第三者が客観的に評価する「Sマーク」

それでは、家電製品を購入する際、 “安全性” について、消費者はどうやって見分ければいいのか。製品をよく見ると、電気製品の品番や電圧などを記したシールの中などに、「PSE」や「S」のマークが付いているのをご存じだろうか。実はこれが、安心・安全な製品を見極めるために、見逃してはならない目印となる。

家電製品に付いている「Sマーク」「PSEマーク」。冷蔵庫なら扉の内側、品番や電圧などを記したシールの中などに記載されている

テレビなら背面部に記載されているケースが多い

電気製品の安全については、戦後、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品が普及し始めると同時に不良品も横行。そこで、消費者の手に渡る電気製品の安全性を確保する手段として、昭和36年(1961年)に「電気用品取締法」が制定され、適合した家電製品には、郵便マークのような「三角T」と呼ばれるマークが付けられるようになった。

電気製品の飛躍的な普及に伴い、感電、火災などの事故が多発するようになると、対象となる製品も拡大された。政府の許可を必要とした従来の三角Tに加え、昭和43年(1968年)からは、事業者自身で適合性を確認できる「丸T」が取り入れられた。電気製品の安全性が高まってくると、多くが丸Tに移行され、国の許可が必要とされる製品は、電線、ヒューズ、配線器具などの製品のみに限られるようになった。

その後、平成13年(2001年)4月1日、それまでの電気用品取締法を抜本的に改正した「電気用品安全法」が施行された。これを機に誕生したのが「PSEマーク」だ。PSEマークには菱形と丸形の2種類があり、菱形は、特に高い安全性が要求される特定電気用品116品目が対象で、長時間無監視で使用される電線、ヒューズ、配線器具などが含まれる。一方、丸形はそれ以外の電気用品341品目で、一般家庭でコンセントにつないで使用される冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンなどはこちらに含まれる。

菱形PSEと丸形PSEの違いは、菱形は、国が認定した検査機関による適合性検査で認定を受けなければならない。一方、丸形は自主確認のみとなっている。身近な家電製品のほとんどが、安全性を事業者自身に委ねる丸形となったことに対し、当然、これを不安視する声も出てくる。そうした中で平成7年(1995)に誕生したのが「Sマーク」。公正・中立な第三者認証機関が、公正な立場から当該製品の安全性を客観的に評価し、安全性が確認された製品であることを表すものだ。

ライフスタイルの多様化に伴い、身近な家電製品も用途に応じて種類が格段と増えている。掃除機ひとつとっても、ロボット型、前述のコードレスタイプにもスティック型とハンディ型がある。人気を集める調理家電も、消費者のこだわりや食生活に応えて、ホームベーカリー、電器圧力鍋、電気フライヤー、スチームクッカーなどさまざまな種類の家電が登場する。

海外ブランドの参入も相次ぎ、聞きなれないメーカーも増えてくる中で、安全性を事業者自身に委ねる丸形PSEで、果たして事業者の自己確認が正しく実施されているのだろうかという不安な気持ちや疑問を抱く消費者も少なくないのではないだろうか。ネット販売の台頭も見逃せない。

そうした状況を補完する役割を担うのがSマークだ。Sマークを運営する電気製品認証協議会(SCEA)事務局長・平井雄二氏は、「電気製品を購入される際に皆さんは何を基準に選んでいるでしょうか。機能、デザイン、価格、ブランド、日本製か海外製か。ひょっとしたら製品の安全性については選択の基準から外れてしまっていないでしょうか。そうは言っても、目当ての製品が安全であるかどうかは判断が難しいですね。そこで製品に表示されている “Sマーク” がお役に立ちます。Sマークは第三者機関が公正・公平に安全確認した安全・安心のしるしです。不安全な製品が原因で製品が発火・発煙するだけで収まらず、大切な命や財産を失うことにもなりかねません。電気製品を購入する際には、Sマークが付いているかどうかチェックしてみてください」と訴え掛ける。

電気製品の安全性について、今一度、目を向けてみたいものだ。なお、コードレスクリーナー等の交換バッテリーやモバイルバッテリーの事故事案については、改めて詳細にお届けする予定だ。

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