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公開日 2019/06/14 12:39

“セルフィ専用”ドローンカメラやAlexa搭載ロボも登場:NY家電イベント「CE Week」レポ<後編>

CE Weekと連携を深めるメッセ・ベルリンへのインタビューも
山本 敦
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ニューヨークで開催されたコンシューマーエレクトロニクスショー「CE Week」の現地レポート、完全ワイヤレスイヤホンの出展についてお届けした前編に続き、後編では米スタートアップのスマートプロダクトを中心にご紹介しよう。

さらに、8Kテレビに関するトークセッションに登壇したソニービジュアルプロダクツの小倉敏之氏のコメントや、IFAを主催するメッセ・ベルリンのIFAグローバル・シニア・エグゼクティブ・マネージャー、ディリク・コスロフスキー氏にCE WeekとIFAの連携による今後のコラボレーションの戦略に関するインタビューもお伝えする。

Alexaを搭載するパーソナルロボット「Temi」

最初に紹介する製品は、ニューヨークのマンハッタンに拠点を構えるTemiのパーソナル・ロボット「Temi」だ。

Alexa搭載のパーソナルロボット「Temi」

本機は底部に車輪を内蔵して自走できるAmazon Alexa搭載ロボット。頭にあたる位置にタブレットのような10.1型フルHDのタッチパネルディスプレイを載せて、画面表示でコミュニケーションができる。内蔵マイクに向かって音声コマンドを話しかけるか、またはタッチパネルに直接タッチして操作ができる。搭載されているAIアシスタントはAlexaなので、音声とビジュアルによる応答はEchoシリーズのスマートディスプレイ「Echo Show」に近いイメージだ。LINUXをベースにした独自OSを組み込んでいる。

身長180cm前後の人とならぶとサイズ感はこれぐらい。本体にスピーカーも内蔵している

ディスプレイの上側フレームに3つのカメラと深度情報を記録するためのカメラユニットがあり、360度LIDARセンサーを含む全16個のセンサーにより部屋の環境をマッピング、障害物を避けながら走行ができるという。同社は独自にROBOXナビゲーションシステムと名付けている。

また本体にはビデオ通話機能を設けて、遠隔地にいる家族やオフィスの仲間とコミュニケーションができたり、音楽のレコメンデーションエンジン、ニュースやエンターテインメント系、ホームコントロールのアプリもAmazon Alexaのプラットフォームをベースにしたものが使えるようだ。本体には20Wのアンプと2基ずつのトゥイーターと中域用スピーカーユニット、サブウーファーを内蔵している。けっこう迫力のある音を鳴らしていた。

10.1型のタッチディスプレイもインターフェースになっている

スマホにつないでビデオコールでコミュニケーションしたり遠隔操作も可能だ

1度のフル充電から連続8時間の駆動が可能。使われていない時間帯はロボット掃除機のように自ら充電スタンドに帰巣できる機能も備えている。

最大走行スピードは時速3km前後。室内で使うぶんには十分に感じられるほど機敏に動いていた。障害物を検知すると走行速度を落としたり、つまずいて転ばないように安全な走行を実現するためのセーフティ機能も搭載したという。

本体の背中がワイヤレス充電パッドになっている

LIDARなど16個のセンサーを内蔵。障害物や人を避けながら自走できる

AIエンジンがAlexaをベースにしているので、日本語によるオペレーションにも対応できるそうだ。アメリカでは今月に量産モデル500機の出荷から開始が予定されており、価格は2,000ドル(約21万円)になるそうだ。同社のスタッフによると日本で本機を展開するパートナーもみつかっているそうなので、上陸を期待したい。

自撮り専用ドローン「Air Pix」

続いて紹介するカリフォルニアのスタートアップ、AirSelfieは“空飛ぶデジカメ”「Air Pix」を出展していた。こちらはダイナミックな自撮り写真を楽しむためのドローンである。クラウドファンディングのIndiegogoで資金を集めて開発を完了。7月から初期支援者への出荷を開始する。

AirSelfieが開発した自撮り専用ドローン「Air Pix」

本体サイズはスマホより小さく、質量は“ゴルフボールよりも軽い”という52g。本体には12MPのイメージセンサーを内蔵。静止画と最大1080/30pの動画撮影ができる。1度のフル充電で6〜7分の飛行ができるバッテリーを内蔵している。内蔵メモリーは8GB。

12MPのカメラを搭載する

一度手を離れて浮いた後はユーザーと1〜1.5mほどの距離間隔を自動で保ちながら飛び続けて、連続して写真を撮り続けるか、またはハンドジェスチャーでシャッターを切ることができる。Wi-Fiでスマホをつないでリモコン操作ができるようになるiOS/Android対応のAirSelfieアプリも用意される予定だ。内蔵メモリに記録された静止画・動画をアプリに転送すればSNSへのシェアも素速く行える。

フル充電から6〜7分前後の飛行が可能。あまりに小さいのでぶつかりそうになる歩行者も続出

シャッター操作はハンドジェスチャーでも行える

AUDEAのAndroid搭載ワイヤレススピーカー

ソルトレイクシティに拠点を構えるスタートアップ、AUDEAはAndroidベースのタッチディスプレイを搭載するワイヤレススピーカー「Q40」を出展していた。Wi-Fi機能を搭載して、Andorid OS上で動くSpotify、Apple MusicやPandora、TIDALなど様々な音楽ストリーミングサービスを高品位に楽しめるという。

AUDEAのAndroid搭載ワイヤレススピーカー「Q40」

Android OS上で動く様々な音楽配信サービスが楽しめる

本体には5基のスピーカーユニットと総合出力40Wのデジタルアンプを搭載する。独自に開発した10バンドEQも内蔵。本体に搭載する16GBのメモリーに音源をキャッシュして聴くことも可能だ。8月に米国で発売を予定しているそうだ。

ソニー初の8Kテレビも出展に確かな手応え

CE Weekに来場したリテール関係の来場者、およびジャーナリストに向けたカンファレンス形式のイベントも2日間に渡って開催された。2日目の午前中には「8Kがやってくる!その価値を読み解きどう売るか?」と題したトークセッションが開催され、ソニービジュアルプロダクツ(株)TV事業部 技術戦略室の小倉敏之氏も登壇した。

トークセッションに参加したソニービジュアルプロダクツの小倉敏之氏

小倉氏は「8Kは4Kよりも解像度が上がるという意味で、店頭のうたい文句にはしやすいかもしれない」と前置きをしながら、これから8Kテレビを安定したビジネスとして立ち上げていくためには、ただ解像度の強みだけを述べるのでなく、8Kの映像が持つ“リアリティ”を、HDRのテクノロジーが登場したことによる色域や輝度、色深度、映像のコントラスト感やフレームレートなどの条件を加味したトータルパフォーマンスを意識したうえで最適な提案方法を確立しなければならないと強調した。

同じトークセッションに顔を揃えたシャープ、LGエレクトロニクス、サムスンの担当者も8K映像を家庭で楽しむための最適視聴距離をユーザーに正しく伝え、テレビの画面がさらに大きくなることの意味を丁寧に店頭で説明することの必要性について見解を交わした。ソニーの小倉氏はまた「8Kについてはテレビやカムコーダーなどエレクトロニクス側の環境を私たちが先に整えてから、クリエイターに使ってもらうことでコンテンツを含めたエコシステムを確立して、普及に導くこと」も大事と述べた。

このトークセッションの前日にはCE Weekに集まったトレードビジターや北米で活躍するジャーナリストを集めた、8Kテレビを商品化している各社によるデモンストレーションも実施されていた。小倉氏は「実際にZ9Gの8K映像を初めて目の当たりにした方々の反響がとてもよかった」と、CE Weekへの参加に確かな手応えを得た様子だった。

北米で導入がスタートしたソニー初の8Kテレビ「Z9Gシリーズ」

ソニーにとっても初めての8KテレビとなるZ9Gシリーズの98型/85型モデルは北米市場での導入が始まったばかりだが、早速多くの引き合いがあるそうだ。クリスマスセールのシーズンまでにその勢いはさらに加速していくのではないだろうか。

IFAの姉妹イベントと連動する「グローバルブランドプロモーション」がスタート

最後に、メッセ・ベルリンのディリク・コスロフスキー氏へのインタビューをお届けしよう。

メッセ・ベルリンのディリク・コスロフスキー氏にIFAとCE Weekのコラボの手応えを聞いた

CE WeekとIFAの連携は昨年にスタートしているが、その成果によりCE Weekがグローバルイベントとして認知を高めて、今年は出展者の国際化、カテゴリーの多様化がまた一歩前進したという手応えをコスロフスキー氏も抱いているようだ。「来年以降もまた連携を深めながら、IFAと姉妹イベントであるCE Chinaとのパートナーシップを強化したい」とコスロフスキー氏は目を輝かせた。

今年からイベントへの出展者を対象に、IFAとCE China、CE Weekの3つのイベントに特別価格で出展できるプログラム「グローバルブランドプロモーション」がスタートした。近年は特にIFAの展示スペースにオーバブッキングが続いていることもあり、CE Weekで発表された本プログラムにも早速大きな反響が返ってきているという。

コスロフスキー氏は「出展者の皆様にとって欧米、中国のマーケットへ効果的にプレゼンスを発揮してもらえる絶好のプロモーションになるだろう」と語る。4月に開催されたIFAグローバル・プレスカンファレンスでは、ゼンハイザーが「IFAグローバル・オーディオ・パートナー」として9月に開催されるIFAとCE Chinaに合わせて出展、中国でのマーケット力強化を図ることが決まっている。「このゼンハイザーとの試みが、グローバルブランドプロモーションの良き手本となるだろう」とコスロフスキー氏も期待を寄せているようだ。

CE Weekは2006年から毎年6月に開催されてきたリテーラー向けのトレードショウだ。ニューヨークでは11月末に実施される大規模なブラックフライデーのセールから、そのままクリスマスのホリデーセールまで続く“かき入れ時”に向けたビジネスを固めるための大事なイベントとして機能している。「例えば世界進出を計画する日本のスタートアップにとっても絶好のビジネスチャンスになるだろう。ぜひグローバルブランドプロモーションも含めて積極的にこの機会を利用して欲しい」とコスロフスキー氏は呼びかけている。

なお今年は9月6日に開幕を予定するIFAに関する“重要なアナウンス”が7月に計画されているそうだ。今回はオーディオ・ビジュアルと深く結びついている発表になるということなので、ぜひその内容に注目したい。またIFAキーノートの基調講演に立つスピーカーも、現在決まっているファーウェイ、クアルコム以外のプログラムがこの時に発表される予定だ。今年のIFAもまた熱く盛り上がりそうだ。

(山本 敦)

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