公開日 2016/05/10 10:46

<HIGH END>アコースティカル・システムズ、3,400万円超の超弩級レコードプレーヤー「the APOLYT」

会場で最も話題となったアナログプレーヤー
AUDIO DIVISION 浅田陽介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
2016年5月5日〜8日まで、ドイツ・ミュンヘンにて開催された「Munich HIGH END 2016」。世界各国からオーディオメーカーが来場し大勢の来場者が詰めかけ、大きな盛り上がりをみせた同ショウだが、今年は例年以上にアナログオーディオに対する関心が高かったように思える。

特にレコードプレーヤーの数には目を見張るものがあり、入門層向けのプレーヤーから驚愕のハイエンドモデルまで、実にバリエーションの広い展示が行われていた。

そんななか、訪れた来場者はもとより、出展社達からも大きな話題を集めた超弩級レコードプレーヤーが登場していた。地元ドイツのアナログオーディオ専業ブランド、アコースティカル・システムズの「the APOLYT」である。その値段はなんと280,000ユーロ。日本円にしてなんと3,400万円を超えるアナログプレーヤーだ。

ACOUSTICAL SYSTEMS「the APOLYT」。プラッターを見ればそのスケールの大きさが分かる

the APOLYTを見てまず驚くのが、そのサイズだ。実際に会場内のブースで写真を撮影するのが困難なほど大きく、また、ひとつひとつのパーツをみてももはやアナログプレーヤーの枠を超えたものとなっている。その重さはなんと388kg。運ぶ時は9個の箱に分割して送るというほど、世界のアナログプレーヤーを見てもその規模はまさに「規格外」だ。

もちろん、驚くべきはその外観だけではない。全体で58kgにおよぶプラッターはデルリンやタングステン、ステンレスなどさまざまな素材をハイブリッドさせたもので、マットのような特殊素材を採用したベルトを経由してひとつあたりの質量が26kgというモーターを2つ使用して駆動させる仕組みを採る。説明をしてくれたスタッフによると、プラッターのイナーシャはマイクロ精機の銘機として名高い「SX-8000」の38倍にも及ぶそうだ。

プラッターの質量だけでなんと58kg! この重量がなんとエアーでフローティングされたうえで回転する

プラッターを横から見たところ。ステンレスやタングステン、デルリンなどをハイブリッドしたプラッターは、特殊マットによるベルトで駆動される仕組みとなっている

さらに、そのプラッターは空気で浮かせるエアーフローティング機構を採用。188kgに及ぶというプラッターベースも4隅に用意されたエアーサスペンションでフローティングされ、「接地面からの振動は事実上ない」というレベルとすることを実現。徹底しているのは、トーンアームにまでエアーフローティングを採用していることで、これによりプラッターやベース、トーンアームが全てにおいて独立した構造となり、レコード盤と針先以外は存在すらしないような仮想的な状況を作り出しているとのことだ。

4隅に用意された本体を支えるエアーサスペンション

その一方で特徴的なのは、どこにもバキューム機構を採用していないことで、これは「バキュームはレコードに余計な振動を発生させる可能性がある」という考え方に基づくものだという。

本体手前にあるコントロールスイッチ類。右側面に鍵を差し込むことで電源がONとなる仕組みを採用している

本体の手前側にあるコントロール機構は、もはやレコードプレーヤーというレベルではなく重工業製品を思わせるほどのもの。3つのアナログ式のメーターは左からコンプレッサー、サスペンション、トーンアームという3つのエアー機構のステータスを見るもので、「DES」というスイッチでは空気圧を微調整することができる。

回転の調整は±5%の間で調整できるほか、33 1/3rpm、45rpmのほかオプションで16 2/3rpm、78rpmにも対応する。なお、本機を使用する際は、車のように鍵を差し込むことで電源がONになる仕組みとなっている。

コンプレッサーユニットは、ベース部に設置されている

the APOLYTは全世界で33台の生産を予定しているとのことで、納期までには5ヶ月を必要とするという。実はアコースティカル・システムズとしては、およそ20年前に同様のアナログプレーヤーを開発したことがあったようで、その際はラテンアメリカで2台、ドイツで2台、そのほかのヨーロッパ諸国で11台を販売したという実績があるそうだ。予定台数はこの実績を上回る数字となっているが、そこには現代の世界市場の動向とプロダクトに対する絶対的な自信が関係しているようだ。

これまでアコースティカル・システムズは、トーンアームAXIOMや、ヘッドシェルARCHEなど、アナログ再生におけるセッティングを極限まで追い込むことができる製群が高い評価を集め、いまやハイエンド・アナログブランドとしての地位を世界的なものとしている。そんな同社の理想をとことん突き詰め、文字通り妥協を徹底的に廃したthe APOLYTが世界で今後どのような動きを見せるのか。少なくとも会場内では世界最高峰のアナログプレーヤーとしての注目を集めていたようだ。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 "カリスマ性"ともいうべきオーラを纏ったアキュフェーズ「E-4000」<販売店の声・売れ筋ランキング2月>
2 【インタビュー】Victorブランドは生涯にわたる音のパートナー。変化していくトレンドに“らしさ”を活かした提案を連打
3 オヤイデ/NEO製品の価格改定を実施。4/14より
4 「Sonos Play/Era 100SL」は“原点回帰”の象徴。Sonos新スピーカーのポイントを本国スタッフが語る
5 クルマで楽しむドルビーアトモス。メルセデス・ベンツ×ブルメスター×Apple Musicの新体験!
6 進化するMEMSドライバー最前線。フルレンジユニットで狙う、音質&ノイキャン性能の次なる可能性
7 フルテック、NCF配合の3P→2P変換電源アダプターに非磁性24K金メッキモデル「FI-PA NCF(G)」
8 B&W、スピーカー「803 D4」とマランツ「MODEL 10」など組み合わせた視聴イベント。4/4に青山で開催
9 カメラのキタムラ、初のヤマダデンキ出店。LABI池袋本店に買取強化店舗を3/27オープン
10 デノン、空間オーディオ機能搭載ワイヤレススピーカー「DENON HOMEシリーズ」。ブランド初のクラファン販売
3/27 10:59 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー200号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.200
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX