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入門者にオススメ!アナログプレーヤー(2)ティアック「TN-350」

2016/06/21 石原 俊
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USBデジタル出力を搭載した、スタイリッシュなベルトドライブ機
TEAC TN-350
¥OPEN(予想実売価格52,000円前後)


=こんなユーザーにおすすめ=
現代的な清潔さやニュートラルさ

本機はベルトドライブ式機。したがって古典的な力強さや濃厚さよりも、現代的な清潔さやニュートラルさが支配的だ。古めかしいアナログ再生音に暑苦しさや息苦しさを感じているリスナーにとって、面倒な調整を必要としない本機は有力な選択肢となるだろう。



■低域から高域まですらりと伸びている印象

TEACが2014年にリリースしたベルトドライブ式機である。電源アダプターを使用することで筐体から電源回路を排除したことから、薄型のモダンなエクステリアデザインを実現した。内容もモダンで、ADコンバーターを搭載しており、LPレコードの音をUSBデジタル出力し、PC等に取り込むことができる。また、フォノイコライザーも内蔵しているので、フォノ端子を持たないプリメインアンプのライン端子に接続することも可能だ。トーンアームはスタティックバランス式のS字型で、一見金属製だが合成樹脂が多用されている。この価格帯の製品で金属を多用するとコストもさることながら共振という問題が生じるからだろう。付属のMM型カートリッジは針圧が1.5g の常識的なものだ。筐体は薄型だが剛性感がある。スタート/ストップはDJ用機に比べると遅いが、実用上は何の問題もない。


内蔵フォノイコライザーアンプのオン/オフスイッチとUSB出力端子が背面に配置されている
内蔵のフォノイコライザーを用いて試聴したのだが、現代的でスリムな音である。エネルギーバランスはいわゆる摩天楼型で、低域から高域まですらりと伸びている印象だ。電源回路がアダプター方式なので、アナログらしいグラマラスさは希薄だが、現代の明るく爽やかな内装のリビングルームで聴くのには向いているのではないだろうか。また、USB出力でデータを取り込む際にも、このくらい淡白な方がいいとも思う。

ジャズは音場が広いモダンな表現が印象的だ。演奏の迫力はさほどでもないが、音量を少し上げればこの不満は解消される。

ヴォーカルはサッパリ派だ。したがって音像の質感のセクシーさは希薄である。しかしながら音場感と空気感があるので、息継ぎの音などにはハッとさせられる。アナログ再生では、この「ハッ」が肝心なのではないかと思う。

クラシックは現代の最先端機に一脈通じるものがある。音場は広く、音像は緻密で、チープなアナログプレーヤーにありがちな音の団子状態的表現に陥ることはない。このリアリズム的な表現は両刃の剣のようなもので、古い時代の演奏録音とはミスマッチになってチグハグさを感じる場合もあるかもしれないが、この価格でこの音が得られるのはありがたい。



【SPEC】
●駆動方式:ベルトドライブ ●モーター:DCモーター ●回転数:33 1/3回転、45回転 ●回転数偏差:±2% ●ワウ・フラッター:0.2% ●SN比:67dB以上(A-weighted、20kHz LPF)、60dB以上(unweighted、20kHz LPF) ●プラッター材質:アルミ・ダイキャスト製 ●プラッターサイズ:直径30cm ●形式:スタティックバランス型S字トーンアーム ●実効アーム長:223mm ●針圧可変範囲:0〜5g ●適用カートリッジ質量:3.5〜6.5g ●外形寸法:420W×117H×356Dmm(突起部含む) ●質量:約4.9kg ●取り扱い:ティアック(株)



このコンテンツは「やさしくできるアナログレコード再生の本」からの転載です。
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