PR 公開日 2025/08/05 06:30

“オーディオグレード”SFPケーブルの実力は?SFPポートの使いこなしを徹底紹介

リンとエソテリックのフラグシップ機でテスト

オーディオ用光アイソレーター、ルーター、LANケーブルとネットワーク関連アイテムで立て続けにヒットを飛ばしている日本ブランド・TOP WING(トップウイング)。同社より、初の“オーディオグレードSFPケーブル”が発売となった。

TOP WING SFPケーブル「Silent Fidelity SFP」(44,000円/税込・3.0m光ファイバーケーブル付属)

リンやエソテリック、ルーミンなどのハイエンド・ネットワークプレーヤーで搭載が進むSFPポート。これまではSFPポートを使うためには、産業用にも活用される汎用的な製品を組み合わせるしかなかった。そこに登場したのがこの「Silent Fidelity SFP」、家庭内のオーディオ的機能に特化することで音質を練り上げたプロダクトとなる。その音質改善効果を、リンの「KLIMAX DSM/3」とエソテリックの「Grandiso N1T」を活用してチェックした。

 

ネットワーク伝送に“光”を活用する新提案

オーディオ機器間のデジタル信号伝送はTOS Linkなど光伝送が浸透しているが、ネットワークオーディオでは有線LANまたはWi-Fiが一般的で、光伝送はまだ緒に就いたばかりだ。普及が進まないのは、オーディオ用途の規格がなく、複雑で多様な選択肢のなかから変換モジュールや光ケーブルを選ばなければならない煩雑さが背景にある。

そんな課題に直面しながらも、音にこだわるユーザーは音質改善の手段として光伝送を諦めていない。LAN-光変換を行うメディアコンバーターや光アイソレーターが人気を呼んでいるのは、通信経路の一部を電気から光に変えることで外来ノイズを遮断する効果を期待してのことだ。いずれも光変換はLANの伝送経路の一部に限られ、サーバーやプレーヤーとの接続にはLANケーブルを使うのだが、電気配線を介したノイズ混入を要所で遮断する効果は大きく、ほぼ確実に音が変わる。

トップウイングの光アイソレーター「OPT ISO BOX」(39,600円/税込)。内部で光に変換し、再びLANに戻すことでノイズを遮断する。通常のLANケーブルが使用できるので使い勝手も良好

光-LAN変換を実現するトップウイングのメディアコンバーター「OPT LAN Bridge」(44,000円/税込)。LANケーブルと光ファイバーの変換ボックスとなっている

一方、小型の変換モジュール同士を光ファイバーでつなぐSFP(スモール・フォームファクター・プラガブル)を使えば対応機器同士がそのまま光でつながる。SFPポートを搭載するプレーヤーやトランスポート、スイッチングハブも着実に増えているので、ネットワークオーディオにおける光伝送の最適解になり得るが、ここでも肝心のSFPモジュールにオーディオグレードの製品が存在しないという問題があった。

 

オーディオ的観点で選び抜かれたSFPケーブル

そんななか、待望のオーディオ専用SFPモジュール「Silent Fidelity SFP」がトップウイングから発売された。同社はオーディオグレードのルーターやアクセスポイントを手頃な価格で投入し、ヒット作を連発。次の一手が注目されるなか、今回はSFPモジュールに加えてSFPとLANを変換するメディアコンバーター「OPT LAN Bridge」も同時に発売した。どちらもオーディオの視点からSFPの価値を問い直す注目作だ。

大ヒット中のオーディオルーター「DATA ISO BOX」(55,000円/税込)と、光-メタル変換ボックスの「OPT LAN Bridge」(44,000円/税込)を併用してテスト。無線アクセスポイント「OPT AP」も活用している

既存のSFPモジュールとの違いは、最長30mの短距離伝送に用途を限定したことが大きい。変換回路をディスクリートで構成して消費電力を抑えたり、オーディオ用途では不要な機能を大胆に省略したことも安定動作に寄与するという。光ファイバーは音質上の理由で長波長マルチモードの1芯構造とし、嵌合性の高いST Linkで接続。モジュールは「for DATA」と「for Audio」のペアで構成され、プレーヤーを後者に接続することを推奨する。

SFPモジュールは「for DATA」(ルーターやハブなど上流側に繋ぐ)と「for AUDIO」(ネットワークプレーヤー等下流側に繋ぐ)と方向性も指定されている

今回は付属の光ファイバー(3m)を用いてOPT LAN BridgeのSFPポートと接続して試聴を進めたが、OPT LAN Bridgeの手前にはオーディオ専用ルーター「DATA ISO BOX」とアクセスポイント「OPT AP」を接続した。

前者はネットワークの負荷を最小化し、後者はDATA ISO BOXと共通のネットワークにアプリ接続環境を提供する役割を担う。ネットワークの純度を高め、SFPを用いた光伝送の効果を正確に検証するためには、伝送系の音質劣化要因をできるだけ排除することが肝要なのだ。

光ファイバーケーブルとSFPモジュールの接続部。切り欠きを組み合わせて接続する

SFPモジュールの出っ張りをケーブル側の凹みに組み合わせるように接続する。慣れるまで注意が必要!

 

音質レビュー1:エソテリックGrandioso N1T

SFPポートを搭載するトランスポートとしてエソテリックのGrandioso N1T+Grandioso D1X SE、プレーヤーとしてリンのKLIMAX DSM/3を用意した。音質をきわめたハイエンド製品はネットワーク環境の変化に敏感な反応を示すことが多く、伝送方法や素材の違いを把握しやすい。

エソテリックのフラグシップモデル「Grandioso N1T」との接続をテスト。DAコンバーターはモノラル式のフラグシップ「Grandioso D1X SE」を使用

今回はSilent Fidelity SFPとの比較用に産業用SFPモジュール(StarTech J9131A)+光ファイバーを用意したほか、参考のためにメタル配線のDACケーブル(DELA C1)も試聴。さらに光とLANとの比較用に試聴室に常備するオーディオ向けLANケーブルとも聴き比べた。音源はいずれもQobuzのストリーミング再生を用いている。

汎用的な光ファイバーケーブル(シングルモード)と比較試聴も実施

Grandioso N1Tは比較用SFPモジュールとSilent Fidelity SFPの音調に顕著な違いがあり、前者のやや硬調なタッチに対し、後者は偏りのない自然な感触と安定した帯域バランスを引き出す。LAN接続でもシンバルやスネアのアタックがきつめに感じることがあるが、Silent Fidelity SFPは大きめの音量で聴いてもうるさく感じることがなく、発音は明瞭なのに強調感を感じさせない。ピアノやヴァイオリンは素直な発音に加えて音色のパレットの大きさと階調のきめ細かさがあり、比較用のSFPに変えると僅かとはいえ付帯音のような輪郭の強さが気になりはじめる。

一方、メタル配線でSFP伝送を行うDACケーブルは音の骨格が明瞭で実在感が強く、LANに比べてディテール描写は明らかにきめが細かい。繊細な描写ではSilent Fidelity SFPが僅差で優位だが、DACケーブルの骨太な筆致にも魅力があり、甲乙つけがたいというのが正直な感想だ。

ちなみにOPT LAN Bridgeへの給電を付属のACアダプターから「DC POWER BOX 12V」に変更すると、繊細な質感を保ったままティンパニやキックドラムが強靭なインパクトを獲得し、メタル接続に一歩近付く。

TOPWINGから新発売のDCリニア電源「DC POWER BOX 12V」(価格:55,000円/税込)も追加!低域の強靭なインパクトにも効く!

音質レビュー2:リンのKLIMAX DSM/3

KLIMAX DSM/3では音の違いが空間再現に現れた。既存のSFPやLANからSilent Fidelity SFPに交換すると、ソプラノ独唱とオーケストラの位置関係やステージの遠近表現の精度が上がる。楽器同士の距離を言い当てられそうなリアルな距離感、余韻が広がる絶対的な空間の大きさにも改善効果を聴き取れるし、ヴォーカルや旋律楽器の音像そのものがより立体的に浮かび上がる。特にLANからの変更時にその効果が著しく、光伝送の重要なアドバンテージがそこにあると感じた。

SFPポートを搭載するリンの「KLIMAX DSM/3」にてもテスト

後日、私の試聴室でも一般的な家庭用のルーター/アクセスポイントとオーディオグレードのスイッチングハブの先にOPT LAN BridgeとSilent Fidelity SFPを組み込み、KLIMAX DSM/3で同様な検証を行った。異なる環境で聴いても、ステージの遠近表現の深さや楽器イメージの立体感はLANに比べて明らかな改善が聴き取れる。

LAN接続に戻すと聴き慣れた音調に戻り、そちらも音楽表現の完成度になんの不満も感じない。ただし、オーディオの視点から仕様を突き詰めたSFP接続には、特に空間描写において優位性があるという結論に至った。

私自身、数年前にSFPとLANの比較を行ったときは光伝送に明確な長所があると感じられなかったし、規格の煩雑さもあってSFPの導入をためらってきた。だが、もう試行錯誤はいらない。SFPポート付きのプレーヤーやトランスポートが手元にあるなら、まずはSilent Fidelity SFPを迷わず試すべきだ。OPT LAN Bridgeを追加しても高級LANケーブル1本分ほどの価格にとどまるが、得られる効果はそれを大きく上回る。

 

【編集部注】トップウイング「OPT LAN Bridge」や10Gtek社製メディアコンバーターなど、SFPモジュールとの勘合が堅い機器が一部存在します。無理な力でSFPモジュールを取り外すとSFPポートを破損するおそれがありますので、取り外しの際は各社製品のマニュアルをご参照ください。

また、Silent Fidelity SFPは2025年7月現在、一部機器との互換性問題が報告されています。該当する場合には対策品への無償交換を2025年9月中に開始予定です。最新の対応状況は製品情報ページでご確認ください。

(提供:トップウイング)

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