公開日 2022/09/07 06:35

話題のアクセサリー「仮想アース」はどう効く?サエク「SGS-042」でチェック!

【特別企画】鉱石とカーボン粉末を封入
アナログ再生において、「アース」は重要なテーマである。この重要なテーマに取り組んだ新製品が、サエクのグラウンドスタビライザー「SGS-042」だ。電気的な特性を持つ鉱石とカーボン粉末を特殊製法で凝固させ、鉱石が持つマイナスイオンを発生させるとともに、内部の特殊加工高純度銅素材にノイズを吸収させることで、グラウンド電位の安定化を図る、という製品である。ここでは本機をいち早く体験した小原由夫氏の試聴レポートをお届けする。

SAEC グラウンドスタビライザー「SGS-042」(価格:198,000円/税込)

良好な接地アースの状況で顕著な効果が認められた



近年のオーディオのトレンドのひとつが、仮想アースである。簡潔にその役割をいえば、オーディオ機器の電位を下げる(または一定に保つ)ことで、ノイズの侵入を防ぎ、より高品質な音楽再生を目指すものだ。

ただしその効き目は、オーディオ機器の使用環境やセッティングの状況、あるいは仮想アース本体によっても当然ながら異なってくる。

私の仕事部屋のアース環境はというと、16年前の建築時に敷地内へ3m程度の銅製アース棒を数本打ち込み、2Ω以下というたいへん良好な接地アースの状況を構築することができた。マイ電柱と併せて、電源/アース環境はこれ以上望み得ない状態にある。そうしたことから、拙宅で仮想アース機器を試しても、その効果が判然としないことが実はこれまで数回あった。接地アースにつないだ方が遥かに効能が高かったからである。

しかし今回サエクが発表したグランドスタビライザー「SGS-042」は違った。明らかに顕著な効果が認められたのだ。

四角い黒い塊に、メーカーロゴや製品名だけが刻印されたシンプルかつプレーンな外装。SGS-042はその内部に特殊な製法によって32ミクロンのカーボン粉末にて鉱石を凝固した素材が収まっている。使用時はこの鉱石からマイナスイオンが発生し、さらに特殊加工された高純度銅材がノイズを吸収してグラウンド電位の安定化を図るという。製造は慣れた職人によって一台一台ハンドメイドされる。

アース線を接続する端子が1個ついたシンプルな構成

平衡伝送AC100Vを商用電源とする日本では、基本的にアースに頼らない状態で各種電気製品が動作するよう設計されている。オーディオ機器も例外でなく、そのアースは基本的には筐体に落とされており、それで問題は起こらないのだが、機材が増えるほど機器間に電位差が生じやすくなり、それがアース電位にも影響をおよぼしてノイズの混入を誘因するのではと考えられている。こうした状況で使う仮想アース機器には、アース電位を整えることと、ノイズを吸収することのふたつの役割が期待されるのである。

使い方は至って簡単。アンプやフォノイコライザーアンプなどに設けられたアース端子と本機のターミナルを結ぶだけだ。スピーカーでは、左右のマイナス端子にそれぞれ1個使用すれば逆起電力の吸収も期待できるという。SGS-042の端子はスピーカーターミナルを活用しており、太い剥出し線も問題なく通せる穴が開いているので安心だ。

端子は大型で、裸線、Yラグ、バナナ等様々な端末に対応できる

バックグラウンドノイズが後退しヴォーカルが前に迫り出してくる



試作品を今回自宅でテストする機会を得た。フォノイコライザーアンプのアキュフェーズ「C-47」のアース端子にSGS-042を接続したところ、バックグラウンドノイズがスーッと消え(感覚的には後退し)、ヴォーカルがグッと前に迫り出すような印象があった。明瞭度が高まり、実体感が増したのである。伴奏との距離感や音場の立体感もより豊かになった。

ピアノトリオでは、鍵盤の微細なタッチがよりデリケートに描写され、弱音部が際立つ。一方でキックドラムの音圧感は高まり、ダイナミックレンジが広がるような感じを持った。

今回は時間の関係でフォノイコライザーアンプに接続した状態のみ試すという、限られた状況での短時間の試用であったが、SGS-042のポテンシャルが非常に高いことは確実だ。私自身もさまざまな機器との接続でさらに追試をしてみたいと思っている。

仮想アースが市民権を得つつある今、何でも同じ効果があると思ったら大間違いだ。SGS-042のように大きな効果をもたらすものもあれば、そうでもないものもある。それがケース・バイ・ケースであるということもぜひ覚えていただきたい。

(提供:サエクコマース)

本記事は『季刊・analog vol.76』からの転載です。

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