公開日 2017/05/25 16:23

防音と音質向上の一挙両得が実現可能! “音楽家のための防音工事会社”による試聴会を密着レポート!

【特別企画】アコースティックラボ主催「Acoustic Audio Forum」に記者が密着
編集部:小野佳希
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「もっと大音量でオーディオやホームシアターを楽しみたい」……そんな思いから防音工事に興味を持っているAVファンは多いことだろう。しかし、防音工事は“音を漏らさない”だけでなく“音質向上”も同時に実現できるという。いったいどういうことなのだろうか? その理由を探るべく、オーディオファン向けの物件を数多く手掛ける防音工事会社、アコースティックラボにが開催した試聴会「Acoustic Audio Forum」に密着した。


■防音と音質向上の『一挙両得』が実現可能

本イベントを主催するアコースティックラボは、上述のようにオーディオファン向けの防音工事を多く手掛けるだけでなく、ミュージシャンやプロの録音エンジニアが利用する音楽スタジオの設計・施行でも多数の実績を持つ。自ら“音楽家のための防音工事会社”を名乗っているように、音楽を楽しむための部屋づくりに特化して長年活動している会社だ。

そんな同社が定期的に開催しているイベント「Acoustic Audio Forum」では、毎回テーマを変えながらオーディオと防音工事の関係についての様々な体験をすることができる。本稿でレポートする回では「防音工事をすると音がよくなる!? 音が良くなるように設計すると、防音性能が良くなる」という、オーディオファンにとって非常に気になるテーマが設定された。

同社代表の鈴木氏は「一般的に、防音工事では“防音”と“室内音響”は分けて考えられている。だが、一挙両得は可能だ」とコメント。「実際に『近所に迷惑かけないように、とにかく防音を』という相談が多いが、いざ部屋が完成したら『音も良くなった』と言われることがほとんどだ」と、防音工事がオーディオの音質向上につながっている事実を述べる。

アコースティックラボ 鈴木氏

だが、それは防音工事をすれば絶対に音質が向上するというわけではない。例えば壁の厚さを倍にすれば防音性能も倍になるという単純な話ではないのだ。しっかりポイントを抑えた上で防音工事をすることが重要だ。

吸音カーペットや吸音カーテンなども防音効果は薄いと説明

では、そのポイントとはなんなのか。そのひとつが「部屋を防振浮二重構造にすること」だ。

現代の住宅は一般的に、外壁と内壁の二重構造になっており、その壁の間に電気の配線や配管、断熱材を入れている。簡単に施工でき高気密高断熱で快適にはなっているのだが、オーディオ的な観点から考えると音質に悪影響を与える一因になっているのだという。

一般的なマンションの断面構造図

現代住宅の壁構造の模型

この一般的な二重構造は建築的には「中空二重構造」と呼ばれるもので、その名の通り“中空”、つまり内部が空洞であることが音質に影響を与える原因。太鼓のような構造になっているため、壁や天井が音で振動すると共振が起き、オーディオ再生の音が濁ったりする原因になるのだ。

太鼓現象が音質に悪影響を与える

■防音工事のメリットは音量を上げられるだけではない

その解決策が「防振浮二重構造」への変更。建物の躯体と部屋の内壁とが直接的につながらない“縁を切った”状態にした上で、壁や天井も面密度を上げて制振するというものだ。制振が音質にとって重要であることはオーディオファンには馴染み深い話。実はそれは部屋にも言えることなのだ。

防振浮二重構造の断面図

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