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公開日 2012/08/06 19:29

デノン“MUSIC MANIAC”シリーズ ー ヘッドホン「AH-D7100」「AH-D600」/イヤホン「AH-C400」を聴く

注目新製品レビュー
レポート/野村ケンジ
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デノンのオーディオファイル向けヘッドホン&イヤホンに、新たなリファレンスサウンドを実現した“MUSIC MANIAC”シリーズが登場した。最上位機の「AH-D7100」をはじめ、ヘッドホン「AH-D600」、カナル型イヤホン「AH-C400」のサウンドインプレッションを、ライターの野村ケンジ氏がレポートする。

この夏デノンから、全く新しいコンセプトを持つ4シリーズ8機種のヘッドホンが登場した。その中でも音楽好きにとっての注目株は、音質を重視した「MUSIC MANIAC」シリーズだろう。新しいフラッグシップヘッドホン「AH-D7100」をはじめ、ハイエンドモデルの「AH-D600」、シリーズ唯一のカナル型イヤホンでバランスドアーマチュア型ドライバーを搭載した「AH-C400」など、そのいずれも概要を見ただけでもこだわりの深さがうかがえる、渾身のモデルだ。当然ながら、サウンドの傾向や実力のほどにも大いに興味がわくところ。ということで、早速3モデルを借りて、その実力のほどを体験してみることにした。

AH-D7100:デノン・ヘッドホンサウンドのリファレンスが誕生した


“MUSIC MANIAC”「AH-D7100」
フラッグシップモデルとなるヘッドホン「AH-D7100」は、これまでのデノンのヘッドホンとは全く異なる、現代的なスタイルを与えられた。その内部にもナノファイバー振動板をもつ50mmドライバーや天然マホガニー材のハウジング、耳にフィットしつつ周囲の騒音もシャットアウトする5角形イヤーパッドなど、新技術がふんだんに投入されている。一方で、サウンドマイスターによる徹底的な音質調整など、高音質をとことん追求するデノンらしさは新世代ヘッドホンにおいても変わることなく継承されているようだ。そのほか、ケーブルは着脱式を採用。自宅でのオーディオ再生用(3mの7N-OFC芯線採用ケーブル)と、屋外でのポータブルリスニング用(1.3mのiPhone対応リモコン付ケーブル)に、それぞれ最適となるケーブルを2タイプ付属するなど、先に紹介した5角形イヤーパッドなどを含め、使い勝手の面でも様々な配慮がなされている点もうれしい。

イヤーカップには5ヶ月をかけてひとつずつ丹念に仕上げたという天然マホガニーのリアルウッドを使っている

D7100の内部分解図


「ペンタゴナル シェイプ」を採用したイヤーパッド。ブラウンのスティッチが採用されている

ヒンジ部


ケーブルは本体着脱式

ケーブルを装着したところ



本機の専用キャリングポーチ

さて、肝心のサウンドはというと、一聴してまず驚くのが、そのダイレクト感の高さと、音色のリアルさだ。解像度が高く、キレの良い、かつ付帯音が皆無な超クリアサウンドのおかげだろう、まるで目の前でミュージシャン本人が演奏しているかのような、とてつもなくリアルなサウンドが楽しめる。なかでも女性ヴォーカルがいい。抑揚がダイナミックで、それでいてニュアンスの表現は細やかな、少しかすれ気味の歌声で、時には勢いよく、時には艶っぽく歌い上げてくれる。

高域は伸びやかでキレが良い傾向、低域は解像度が高いものの柔らかく広がる音色傾向で纏め上げられているため、音楽ジャンル的にはクラシックがベストマッチしてくれる。女性ヴォーカルも艶やかなので、オペラ系もなかなかにいい。続いてジャス系といったところか。思ったほどにジャンルを問わないのも、「AH-D7100」ならではの魅力といえる。新世代フラッグシップの名にふさわしい、素晴らしい製品だ。

ヘッドホンスタンドも付属する

Music Maniacシリーズ対応のアプリ「Denon Audio」もiOS/Android版が登場


100バンドのグラフィックイコライザー機能を搭載

ユーザーがカスタマイズした値を保存することも可能


イコライザーのプリセットも用意する

インターネットラジオは地域別検索も可能

AH-D600:キレ味鋭いサウンドが魅力のシリーズ中堅モデル


“MUSIC MANIAC”「AH-D600」
一方の「AH-D600」も実力としてはかなりのレベルだ。また、ナノファイバー振動板を持つ50mmドライバーなどは同じながら、ハウジングがグラスファイバー配合FRPに変えられているほか、オールジャンルなキャラクターを目指したのか、音色傾向も多少異なっている。

特に印象的なのは、高域のキレの良さと鋭さだ。「AH-D7100」も素晴らしいレベルだが、「AH-D600」ではさらに立ち上がりが鋭く、まるでナイフのような切れ味を持つ。付帯音も皆無といって良いほどで、音のダイレクトさはフラグシップの「AH-D7100」に勝るとも劣らないレベルに達している。また、低域のソリッドさもいい。制動のよく効いた、芯のある低音がボトムエンドまでしっかり伸びきっているので、バスドラやタムなどがリズミカルなサウンドを奏でてくれる。音色の傾向的にはこちらの方が好みという人がいるかもしれない。

イヤーカップとヘッドバンドには、本体内部に発生する不要振動を最適にダンプするため、新開発の「GFRP(グラスファイバー強化樹脂素材)」をメインに採用した

イヤーパッドは本機も五角形に近づけた形状の「ペンタゴナル シェイプ」を採用。低反発素材を採用し、装着感も高めた


ヒンジ部

柔軟性の高いヘッドバンド


ケーブルは本体着脱式

OFC導体採用の3mロングケーブルと、iPhone対応マイク付コントローラー搭載の1.3mショートケーブルが付属する


マイク付コントローラー

テーマカラーの赤と黒を配色したボックス



AH-C400:とてつもない広帯域をカバー、しかもグルーブ感の高いサウンド


“MUSIC MANIAC”「AH-C400」
「AH-C400」は、バランスドアーマチュア型ドライバーを搭載したカナル型イヤホン。ドライバーは2基、加えて亜鉛ダイキャストハウジングを採用することで、再生周波数帯域が幅広く表現力が豊かだ。それでいてクオリティの高いサウンドを実現しているという。ちなみにケーブルは直出しタイプを採用、iPod/iPhone/iPad専用のコントローラー+マイクが付属している。

イヤホンのハウジング外側にDENONロゴを配置

フルレンジと高域用のドライバーを独立させた2Way方式のデュアルアーマチュアドライバーを搭載


マイク付コントローラーを採用

ケーブルはメタリックカラーの被覆を採用


Complyのフォームチップが1ペア同梱するほか、2種類のシリコン製イヤーピースを同梱する

うち1種類は新開発の「二重構造シリコンイヤーピース」となり、S/M/Lの3サイズを付属。内部を肉厚なシリコンの2重構造にしたことで、遮音性能を高める効果を持たせている


そのサウンドは、帯域の幅広さがとてつもなく秀逸。このあたりはヘッドホンと共通するキャラクターで、「MUSIC MANIAC」シリーズのメインコンセプトなのかもしれないが、とてもバランスドアーマチュア型ドライバー2基のみとは思えない、素晴らしいクオリティだ。屋外の使用が前提となるカナル型イヤホンらしく、低域は敢えてボリューム感を与えられているが、解像度感が高いうえ、中域がしっかりと存在感を主張しているため邪魔にはならない。そればかりか、リズム感の良さ、グルーブ感の高さは「AH-D600」に対して勝るとも劣らないレベルに達している。相性が良いのはウォーミーなヴォーカル系で、ダイアナ・クラールとの相性は絶品だった。

いずれもクォリティが高く、共通のキャラクターを持ちながらも、それぞれに魅力的な個性を発揮してくれる「MUSIC MANIAC」シリーズ。この夏、話題の中心となることは間違いない。


野村ケンジ プロフィール
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。


◆本製品の詳しいレビューは8月17日発売の「AVレビュー 2012年9月号」に掲載されます。

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