公開日 2012/05/24 09:58

【レビュー】いよいよあす発売。画質とネット機能を強化した今期新旗艦モデル“BRAVIA” HX850シリーズ

いよいよあす発売
取材・執筆/折原一也
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ソニーの液晶テレビHX850シリーズは、進化した映像処理エンジン「X-Reality PRO」を始め「インパルスモード」などの搭載により画質を向上させた新フラグシップモデル。「SEN」でのVOD視聴やショッピング、SNS連携などネットワーク機能もさらに充実。スマホ連携アプリによる操作やWEB閲覧にも対応した、高機能とスリム&スタイリッシュなデザインが特徴だ。

画質とネットを強化したハイエンドブラビア

ソニーの液晶テレビブラビアの2012年春モデルが、高画質化と「SEN」によるネットワーク機能を強化して登場する。


HX850シリーズ
HX850シリーズは解像度1920×1080の4倍速液晶パネルを搭載。LEDバックライトは左右のエッジ型配置ながら部分駆動に対応している。今回目玉となる機能は、エッジライトの技術を利用した「モーションフローXR960」と、新たな駆動モードとなる「インパルスモード」への対応にある。

「モーションフローXR960」はソニーによる240Hz駆動向けの動画機能のなかでも最上級の技術で、240Hz駆動の技術をベースにしながら、画面上から下に描画する液晶の特性に合わせて横方向のライン状にバックライトを点滅させ、液晶の書き換えタイミングを隠すことで残像が発生しにくくし、動画解像度を向上させる仕組みになっている。

また、新たに搭載される「インパルスモード」による描画では、各コマを4度書きし、一番安定した4番目のコマが表示されるタイミングでだけ通常の2倍の光量でLEDを発光させることで、ブラウン管と同じようなインパルス型の表示が可能になる。

実際に地上デジタル放送の番組で視聴してみると、発光時間が少なくなるため光量が若干落ちるほか、短時間で点滅を繰り返すインパルス型の映像に見えてしまうというのは覚悟しておきたい。一方で動画のキレ味は今までにないほどに鮮明になるというメリットがあり、テロップ表示などでもクッキリとした動画表示を確認することができた。

HX850の地上デジタル放送の視聴では、データベース型複数枚超解像技術を採用した「X-Reality PRO」が非常に有効に働いている、ということも指摘しておきたい。地上デジタル放送でもBDのような隅々まで冴え渡るような高精細なディテールを表示するというだけでなく、ノイズ発生も抑えるため一目見て分かるほどクリアで放送画質を向上させる。顔認識機能を応用した「美肌コントロール」も新規に搭載したこともあり、普段視聴するテレビの主観的な映像は、現在売られている薄型テレビのなかでもトップクラスのクオリティと言えるモデルだ。

HX850の高画質の特徴には、ブラビアの最上位機種シリーズの特徴となっている「オプティコントラストパネル」搭載による映り込みの少なさとも挙げられる。HX850では公称最大コントラスト比の表示はないものの、BD映画『NINE』の暗闇に浮かび上がる映像を見ても全黒の漆黒の沈みが徹底しているため、実効的なコントラスト比性能に優れている。前面ガラスにはスマートフォンでも採用されている「ゴリラガラス」を搭載するようになっており、薄型でも十分な強度を確保していることもポイントだ。

3Dグラスについては本機に標準では添付されていないものの、チタンフレームを採用した新デザインのTDG−BR750が別売される。軽量かつスタイリッシュで掛け心地が格段に良くなり、USB充電への対応など使い勝手も大幅に改善されている。

約34gと軽量なチタンフレームの3Dメガネ「TDG-BR750」(実売8,000円前後)も用意されている

ただし、サウンドにはやや課題がある。今回は新デザインとなったサウンドバースタンド「SU-B553S」と組み合わせて視聴してみたが、電源レスで動作するタイプだけに一般的な外付けタイプのパワフルなスピーカーのサウンドは期待しない方がいい。

2chスピーカーを内蔵したサウンドバースタンド(別売。55V型/46V型/40V型用の3サイズ展開)との組合せも可能だ

ネットワーク機能を「SEN」へと集約

ソニーの提供するブラビア向けのネット機能は「SEN」(Sony Entertainment Network)と呼ばれるようになり、新たにリモコンの「SEN」ボタンから呼び出せるようになった。

ブラビアネットチャンネルやアプリキャストなど約170種類のネットワークサービスを用意。「SENポータル」からアクセスできる

リモコンにも「SEN」ボタンが設けられた

これに伴いネットワーク機能を呼び出す本体GUIも新世代のものへと変更されている。「SEN」ボタンを押すと、「アプリ」として「Hulu」などの定番VODサービス、本機種から新たに搭載されるようになった「テレビドガッチ」など各種VODサービスがアイコンとして登録されているほか、「Video Unlimited」の映像タイトルについては直接タイトルがアイコン表示される。TwitterやFacebookなどSNSとの連携や、ソニーのみが提供している「ニコニコ実況」の機能、「ベルーナ」「イオン」など大手ネット通販サービスにアクセス可能となっており、テレビ向けネットサービスをより幅広い内容で提供する方向にもシフトしている。

YouTubeへのアクセスについては、新デザインのGUIである「YouTube Leanback」に対応するようになっており、スマートフォンの「YouTube Remote App」と連動してテレビの表示をコントロールも可能だ。
【※追記】製品発表時点ではYouTube Leanback対応とされていましたが、記事執筆後にソニーから仕様変更が発表され同機能へは非対応となりました。なお、YouTube視聴自体には対応しています。(ソニーによる詳細

スマートフォンへの対応は、昨年来のiOS/Androidアプリの「Media Remote」をバージョンアップすることで機能の追加も行っている。通常のリモコン機能以外の特徴的な点としては、スマートフォン側で表示したウェブページをそのままブラビアで表示、そしてスマートフォンをそのままトラックパッドとして利用する「フリーカーソル」、テレビ側からスマートフォン側に操作を戻す「URLキャッチ&スロー」に対応したことにある。他社でも同様の試みが始まっているが、ソニーの「Media Remote」は唯一実用的と呼べるレベルで、テレビとスマホの間でURLをシームレスに分かりやすくやりとりできるようになっていた。


「Media Remote」は「URLキャッチ&スロー」機能を搭載。同様の他アプリより操作が分かりやすく実用レベルの出来だ
ブラビアの画面によるウェブサイト表示もフルHD解像度の良さが発揮されている。ネットワーク対応のスペックだけでなく、実用性も含めた作り込みに本気ぶりが現れているモデルだ。

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