公開日 2012/09/21 12:06

【フォトキナ】フォトキナ2012に見るカメラ市場の今後のトレンド

SP DIVISION 木寺務
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今回のフォトキナは、有力各社から意欲的な新製品が多数発表されたこともあり、デジタルイメージング市場の今後を占う重要な場となった。そこで本稿では今回のフォトキナのトピックを総括し、今後のトレンド予測を交えてざっとまとめてみたい。本稿はあくまでも記者の受けた印象であり、独断と偏見が多分に入り込んでいるので、その点は何卒ご容赦願いたい。

今回のフォトキナで最大のトピックとなったのは、有力各社が相次いで発表した“フルフォーマット”対応のデジタル一眼の新製品群。とりわけキヤノンのEOS 6D、ニコンのD600の両機は、価格設定もリーズナブル(国内実勢は20万円程度)で、35mmフルサイズセンサー搭載モデルの敷居を大きく引き下げる戦略的なモデル。年末にかけてはソニーのα99も出揃い、国内でも各社のフルフォーマット機が一大旋風を巻き起こすことになりそうだ。

EOSシリーズ初となるWi-Fi、GPS搭載のフルフォーマットデジタル一眼、キヤノン「EOS 6D」

ニコンが満を持して発表した小型軽量のフルフォーマット機「D600」


α900から約4年ぶりのフラグシップ機となるソニー「α99」
また、ミラーレス一眼は、各社が交換レンズの開発発表を行いロードマップに追加。システムとしての充実度向上に向け本腰を入れ始めた印象。また新たにボディ開発に名乗りを上げたハッセルブラッドや、カールツァイスによる交換レンズの開発発表など、老舗カメラ/レンズメーカーが市場参入を果たした点も見逃せないポイント。アジア諸国に比べ、ミラーレス一眼に関心の薄かった北米、欧州諸国でも市民権を得てきた証拠だろう。

ハッセルブラッドが発表したソニー「NEX-7」をベースモデルにしたミラーレス一眼「Luna」

カールツァイスが参考出品した、ソニー・Eマウント用/富士フイルム・Xマウント用交換レンズの試作機

そんなミラーレス一眼市場で、頭ひとつ抜けた感があったのがソニーだ。各社ともに内蔵Wi-Fiやオプションとの組み合わせにより、スマートフォンやタブレットとの連携機能を進めているが、その大半は撮影画像をワイヤレスで転送する、カメラを遠隔操作するという提案にとどまったのに対し、ソニーの提案はカメラ内にアプリをダウンロードしてカメラの機能強化を図るという独創的なもの。国内でも対応機となるNEX-5R、NEX-6が年内に投入され、有料のアプリも出てくるとのことなので、この新たなビジネスモデルが国内ユーザーにどのように受け入れられていくのか、期待を持って見守りたい。

Wi-Fiを内蔵しアプリダウンロードサービスに対応した、ソニーの「NEX-5R」と「NEX-6」

一方、コンパクトデジタルカメラは、スマートフォンの急速な普及の影響を受け減少傾向にあるが、SamsungのGALAXY Cameraのような通信端末との融合を果たしたモデルの登場により、新たな可能性が示された印象。会場でコンパクトデジタルカメラに関心を寄せる若い来場者の様子から強く感じたのは、彼らが求めているものは“写真をきれいに撮るためのツール”ではなく、“撮った写真でコミュニケーションを取れるツール”であるということ。そのようなニーズから考えると、サムスンの提案する“スマートカメラ”が実現する世界は実に魅力的だし、ぜひ多くのメーカーにチャレンジしてほしい分野である。

Samsungが力を入れて訴求したアンドロイドOS搭載のコンパクトデジタルカメラ「GALAXY Camera」

最後になるが、フォトキナの主役は出展メーカーの出品するハードではあるが、それと同様に写真を撮ること、写真を鑑賞することにもスポットが当たっており、プロアマ問わず写真の展示や販売ブースが大きく扱われていることも印象的であった。

大きなスペースを割いて、写真作品の展示販売も行われていた。おおよそ400ユーロから500ユーロの値が付いていたが、すでに確約済みの作品もちらほら目に付いた


国内レンズメーカー、タムロンの協賛の下、社団法人 日本写真家協会により昨年の東日本大震災をテーマにした写真展「生きる」も開催された

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