• ブランド
    特設サイト
公開日 2012/05/10 16:02

JVC、新構造“ダイレクトトップマウント”採用のカナル型イヤホン「FXD/FRDシリーズ」

最上位機はステンレス製エンクロージャー
ファイル・ウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
JVCケンウッドは、JVCブランドから新開発のダイレクトトップマウント構造や、カーボンナノチューブ振動板を使ったマイクロHDユニットを採用したカナル型イヤホン、FXDシリーズ/FRDシリーズの計4機種を6月上旬から順次発売する。

今回発表された製品の発売日と価格に関する情報、カラーバリエーションは下記の通りだ。

HA-FXD80/6月上旬/¥OPEN(予想実売価格7,000円前後)/ガンメタリック
HA-FXD70/6月上旬/¥OPEN(予想実売価格5,000円前後)/ブラック・シルバー
HA-FXD60/6月上旬/¥OPEN(予想実売価格4,000円前後)/ブラック・レッド・ホワイト
HA-FRD60/7月上旬/¥OPEN(予想実売価格4,500円前後)/ブラック・レッド・ホワイト

HA-FXD80

HA-FXD70


HA-FXD60

HA-FRD60
ともにJVCのイヤホン製品のラインナップに新しく追加されるシリーズ。FRD60は兄弟機のFXD60をベースに、スマートフォン対応のマイク付コントローラーを搭載したモデルだ。各製品には今回のシリーズのため、JVCが新たに開発した新技術や新素材などが採用されている。その特徴を全て搭載したモデルがFXD80となり、他のモデルについてもそれぞれ特徴を持たせている。

FXD/FRDシリーズのラインナップ

本日JVCケンウッドは新製品説明会を都内で開催した。製品の特徴については、ホーム&モバイル事業グループHM技術統括部 商品設計第三部 第一設計グループ 浅香宏充氏がプレゼンテーションを行った。


JVCケンウッド 浅香宏充氏
JVCではイヤホンの音質を決定する3つの重要な要素として「構造/振動板/ノイズ対策」に気を配り、新シリーズの開発を行ったという。

「構造」の点では「ダイレクトトップマウント構造」が一つ目の進化のポイント。同社のイヤホン「FXCシリーズ」(関連ニュース)に採用されている「トップマウント構造」では、ドライバーユニットとハウジングの間にラバーの音筒を設けていたため、ユニットとハウジングは間接的に固定されていた。今回のFXDシリーズでは、スピーカーのエンクロージャー構造に着目し、専用設計したエンクロージャーの先端部にユニットを直接取り付ける構造としたことで、ドライバーユニットの性能をダイレクトに引き出し、全帯域でリアルなサウンドを実現したという。この構造により、遮音性・密閉性にもメリットが得られると浅香氏は説明する。

FXD80の分解パーツ

ダイレクトトップマウント構造の解説


FXD70の分解パーツ

FXD60の分解パーツ
2つめは切削加工の高剛性ステンレス素材を用いたメタルエンクロージャーが、FXD80とFXD70の2機種に採用されたこと。メタル系の素材を採用したことで、不要な振動を抑えながらクリアで伸びのあるサウンドを実現した。なおFXD60/FRD60は樹脂製のエンクロージャーを採用する。

5.8mm口径のマイクロHDユニット

FXD80に採用されたメタルエンクロージャーの内部構造

3つ目はFXD80のみが採用する「デュアルシリンダー構造」だ。内部に比重の大きい「ブラスリング」を内蔵し、さらに不要な振動を抑えてサウンドの臨場感を高めた。またFXD80は、エンクロージャーの後部に5つの「マルチポート」を設け、密閉構造ながらヌケのよさを兼備する音づくりを狙った。ほかにもマイクログラス吸音材を配置し、自然で伸びのあるサウンドに仕上げている。

エンクロージャーの後部に5つの「マルチポート」を設けて、開放感のある音に仕上げている

背面にJVCロゴを配置

振動板については、物性値として「高剛性」「軽量性」「適度な内部損失」が求められることに着目し、“ツインシステムユニット”採用のカナル型イヤホン「FXT90」(関連ニュース)にも採用されている、軽量・高剛性の「カーボンナノチューブ振動版」を採用。さらに今回のFXD/FRDシリーズのために、新規にチューニングを施した専用振動板が搭載されている。

カーボンナノチューブ振動板のメリット

ノイズ対策の面では、エンクロージャー根元のブッシング内で、ケーブルを一度S字に屈折させてタッチノイズを防ぐための「制振フィットブッシング」を採用。これにより同社FXC71との比較で約30%低減しているという。

ケーブルを一度S字に屈折させてタッチノイズを防ぐ「制振フィットブッシング」を採用

FRD60シリーズにはケーブル部にワンボタンタイプのマイク付コントローラーを搭載。スマートフォンのハンズフリー通話や音楽再生コントロールを可能にした。

FRD60のマイク付コントローラー

ケーブルは全モデル共通でY型1.2m、3.5mm L字型プラグを採用する。FRD60のプラグは4極仕様だが、コントローラー背面の切り換えスイッチで3極/4極の切り換えが行え、別途変換コネクターを使わずに各社のスマートフォンへの対応を実現している。イヤーピースをL/M/Sの3種類のほか、クリップ、キャリングポーチが付属する。

FXD80のプラグ。L字型3.5mmミニプラグを採用

FRD60のマイクコントローラー背面。極性の切り換えスイッチが設けられている


既発売のカナル型イヤホンの“いいとこ取り”をしたFXD/FRDシリーズ


JVCケンウッド 星野達朗氏
本日の新製品説明会にはJVCケンウッド ホーム&モバイル事業グループ 商品企画統括部AVC部 商品企画グループ グループ長の星野達朗氏が出席し、FXD/FRDシリーズのコンセプトを紹介した。

JVCでは、アウトドアでのリスニングスタイルが拡大し、今後もヘッドホン・イヤホンの市場が堅調に伸びていくと予測。カナル型イヤホンは「5,000円から1万円台」の価格帯にあるミドルクラスが伸長しており、「この価格帯のモデルには、徹底的に解像度を高めたものや、重低音再生に特化したものなど、ユニークな製品が多い。音の違いを使いわけて楽しみたいというユーザーのニーズを刺激しながら、今後も注目度が高まるはず」と星野氏は語る。


JVCのカナル型イヤホンのあゆみ
ミドルクラスのカナル型イヤホンについては、同社では2008年8月にFXC70/50シリーズを発表(関連ニュース)。昨年4月にFXT90を発売し、ラインナップを充実させてきた。新しいFXD/FRDシリーズについて、星野氏は「FXC、FXTシリーズの高音質技術を進化させて、“いいとこ取り”をしたモデル」と説明する。



JVCケンウッド 澤田孝氏
新シリーズの開発意図は、ホーム&モバイル事業グループ 商品企画統括部AVC部 商品企画グループ 澤田孝氏が説明を行った。2008年からスタートしたFXCシリーズでは、“マイクロHDドライバーユニット”と“トップマウント構造”が採用され、高音質で使い勝手の良いスタンダードモデルとして高い評価を得てきたと同氏は説明する。

FXD/FRDシリーズの開発意図

「これまで培った技術的なアドバンテージを活かしながら、さらに高品位な製品をつくりたいと考えた。FXCシリーズからの単なる延長線上でなく、さらなる進化を実現するために、サウンドには“高解像”の要素をプラスし、低音から高音まで、全帯域の“リアリティ”を追求した」(澤田氏)。素材を含めた外観の仕様にもこだわりつつ、高品位なデザインと質感を持たせたこともFXD/FRDシリーズの特徴であるという。


さっそく新製品を試聴してみた

今回はFXD80、FXD70、FXD60のサンプルをテストすることができたので、簡単なインプレッションを報告しておこう。

やはりエンクロージャーの素材がメタルなだけに、FXD80/FXD70は手に乗せると、ずっしりとした高級感のある重みが感じられる。外装の仕上げもリッチに仕上げられていて、満足感が高い。FXC71ではラバー製の音筒がフィンのようなかたちにデザインされており、耳に着けると上手い具合に内側にフィットして安定感が心地よかった。本機は筐体がストレートな形状をしているため、耳穴の奥までフィットするような感覚が得られて、これはこれでスッキリと装着できるので良いと思う。


FXD80/70/60の各モデルに、FXT90LTD(右上)をゲスト参加させるかたちで試聴してみた
試聴はiPod touchを直接接続して、ジャズはAnn Sallyのアルバム「fo:rest」から「あたらしい朝」を、ポップスはPerfumeのアルバム「JPN」から「GLITTER」を、いずれもアップルロスレスでリッピングした音源で聴いた。参考までに個人で所有している「HA-FXT90LTD」とも聴き比べてみた。


HA-FXD60
FXD60ではアコースティックギターやパーカッションなど、木製楽器のほどよく乾いた音色を再現。ベースの音色は一音ずつ、柔らかく広がりながら染み渡っていく感じが心地よい。Ann Sallyのボーカルは音像がやや緩めではあるものの、そのぶん優しい雰囲気が上手に引き出せていると思う。Perfumeは電子楽器の音にほどよいアタック感がある。中域から高域にかけての見晴らしもよく、FXT90LTDよりも音場はさらに広大なイメージが再現されるようだ。低域の押し出しがもう少し強くても良いように感じたが、このあたりはエージングを重ねていけば、全体のバランスも変わってくるだろう。


HA-FXD70
FXD70を聴くと、FXD60よりも高域の表現力に深みが増したようだ。中・低域のサウンドも力強く、Perfumeの電子楽器は音の輪郭が力強く描かれ、煌びやかな演奏が楽しめた。Ann Sallyはバンドの楽器の演奏が、FXD60と比べて少しあっさりとした印象を受けたが、ボーカルの表情はより鮮明になり、人の声が持っている生命力がいっそう引き出される感じだ。長時間リスニングしても苦にならなそうな安心感は、本機が一番得られたと思う。


HA-FXD80
FXD80は、さすがに解像感が3モデルの中で飛び抜けている。Ann Sallyのボーカルは息づかいも鮮明に再現され、艶っぽい魅力を残さず再現する。ギターの音色は弦の響きがとても豊かで、高域は明瞭な音像を保ちながら、鳴り始めから終いまでしっかりと伸びきっている。アコースティック楽器の音がとてもリアルだ。Perfumeはライブ会場の光景が目の前に広がるような臨場感。見晴らしがとにかく良い。密閉構造のイヤホンながら、オープン型のヘッドホンで聴いているようなヌケの良いサウンドが楽しめた。

3つのイヤホンを一斉に聴いてみると、それぞれに個性的なキャラクターを持った製品であることがよくわかった。いずれもJVCイヤホン製品のラインナップの中で、単純な上下関係の位置づけで語るべきモデルではないようだ。スマートホンやポータブルオーディオプレーヤーに付属してくるイヤホンから気軽にステップアップできる価格帯で、これだけ面白い製品がJVCのラインナップに加わったことは歓迎すべき出来事だと思う。


【問い合わせ先】
JVCケンウッド カスタマーサポートセンター
TEL/0120-2727-87

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック

製品スペックを見る
  • ジャンルヘッドホン(単体)
  • ブランドJVC
  • 型番HA-FXD80
  • 発売日2012年6月上旬
  • 価格¥OPEN(予想実売価格7,000円前後)
【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●再生周波数帯域:8〜25,000Hz ●インピーダンス:20Ω ●音圧レベル:102dB/1mW ●ケーブルの長さ:約1.2m Y型 ●質量:約8.5g(ケーブル含まず) ●付属品:シリコンイヤーピース(S/M/L 各2)、コードキーパー、クリップ、キャリングケース
  • ジャンルヘッドホン(単体)
  • ブランドJVC
  • 型番HA-FXD70
  • 発売日2012年6月上旬
  • 価格¥OPEN(予想実売価格5,000円前後)
【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●再生周波数帯域:10〜25,000Hz ●インピーダンス:20Ω ●音圧レベル:102dB/1mW ●ケーブルの長さ:約1.2m Y型 ●質量:約10g(ケーブル含まず) ●付属品:シリコンイヤーピース(S/M/L 各2)、コードキーパー、クリップ、キャリングケース
  • ジャンルヘッドホン(単体)
  • ブランドJVC
  • 型番HA-FXD60
  • 発売日2012年6月上旬
  • 価格¥OPEN(予想実売価格4,000円前後)
【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●再生周波数帯域:10〜24,000Hz ●インピーダンス:20Ω ●音圧レベル:102dB/1mW ●ケーブルの長さ:約1.2m Y型 ●質量:約5.3g(ケーブル含まず) ●付属品:シリコンイヤーピース(S/M/L 各2)、コードキーパー、クリップ、キャリングケース
  • ジャンルヘッドホン(単体)
  • ブランドJVC
  • 型番HA-FRD60
  • 発売日2012年7月上旬
  • 価格¥OPEN(予想実売価格4,500円前後)
【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●再生周波数帯域:10〜24,000Hz ●インピーダンス:20Ω ●音圧レベル:102dB/1mW ●ケーブルの長さ:約1.2m Y型 ●質量:約5.3g(ケーブル含まず) ●付属品:シリコンイヤーピース(S/M/L 各2)、コードキーパー、クリップ、キャリングケース
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 Beats、ブランド史上最小の完全ワイヤレス「Solo Buds」。ケースにバッテリー非搭載
2 2023年後期朝ドラ『ブギウギ』の総集編放送。GW期間中にNHK総合とBSプレミアム4Kで
3 Apple Musicも聴ける高コスパ ネットワークプレーヤーeversolo「DMP-A8」。音質と使いこなしを徹底検証
4 オスカー受賞『ゴジラ-1.0』4K UHDをフラゲ!特典盛りだくさんのパッケージ開封の儀
5 女子プロゴルフ「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」、5/2からの放送・配信予定
6 英・コード製プリメインアンプの実力恐るべし!「Ultima Integrated」をB&W「800 D4シリーズ」で徹底検証
7 【moraアニソンTOP10】本当に令和? 「ツバサ」「Get Wild」がまさかのランクイン!
8 Amazon Prime Videoの人気8チャンネルが2ヶ月間99円に!GW期間中キャンペーン
9 Dolby Vision&Atmosでゴジラの圧倒的迫力と世界屈指のVFXを堪能!4K UHD BD版『ゴジラ-1.0』徹底レビュー
10 (nb)の耳を塞がないイヤホン「Open+」、発売日が5/17に決定。割引キャンペーンも
5/2 10:40 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX