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公開日 2011/05/26 16:57

【更新】ソニー、10年度連結業績を発表 − PS3が利益牽引、液晶テレビ事業の赤字は約750億円

11年度は増収見込む
ファイル・ウェブ編集部
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ソニーは本日、2010年度連結業績を発表し、記者会見を行った。会見には同社執行役 EVP CFOの加藤優氏、業務執行役員 SVPの神戸司郎氏が出席した。

ソニー(株)執行役 EVP CFOの加藤優氏

業績は先日見通しを修正した数値とほぼ同様で、売上高は7兆1,813億円、営業利益は1,998億円。前年度比増収増益を記録したが、日本における繰延税金資産に対して約3,600億円の評価性引当金を計上したため、純損益は2,598億円の赤字となった。

2010年度の業績概要

各セグメント別の売上高と営業利益

セグメント別では、コンスーマー/プロフェッショナル&デバイス部門が売上高3兆5,727億円と増収を記録し、営業利益も前年度の532億円の赤字から、29億円の黒字へ転換した。

■液晶テレビ事業は約750億円赤字。今期も赤字継続

コンシューマー向け製品の売上げ台数では、液晶テレビが2,240万台となり、前年度の1,560万台から大幅に増加。ただし2月時点での2,300万台という予想には届かなかった。

販売台数が大幅に増え、前年度比640万台増となったものの、2010年度のテレビ事業の損益は約750億円の赤字となった。コスト削減などの効果はあったが、単価の下落、為替の悪化、震災による販売減などの影響を受けたという。

加藤優CFOは「テレビ事業は赤字が出続けているわけだが、これは期初の前提が甘かったということではなく、実行力や実力の部分で思った通りにできなかったということ」と述べ、オペレーションに課題があると説明した。

2011年度のテレビの販売台数は2,700万台を想定しているが、テレビ事業の損益は引き続き赤字を見込む。ただし「価格下落や部材コストについては、かなり厳しく見込んでいる」とし、損失額は2010年度に比べてかなり圧縮できるとの見通しを示した。

2010年度のテレビ事業の損失が膨らんだ背景には、パネルの調達コストが想定より高かったことも要因として大きかったという。ソニーでは現在、液晶パネルの調達先として、サムスンと合弁で展開しているS-LCD、シャープと合弁しているJV、オープンマーケットの3つを使い分けているが、加藤CFOは「この方針そのものは大きく変わらない。どこからどういうサイズのパネルを調達するかは、市場の動向を見て判断していきたい」と説明した。

震災によるテレビ事業への影響は、第1四半期は在庫があったため、限定的なものにとどまるが、2Q以降は一部部材の不足により、付加価値の高いテレビの投入計画が後ろに倒れるなどの影響が出るという。

加藤氏はテレビ事業について「長いレンジで考えたときは、次のディスプレイも考えていく。技術革新をしながら付加価値を上げていくような、中長期的にはそういう施策も考えていきたい」とコメント。神戸SVPは「テレビ事業単体で大きな利益率を目指すかというと、必ずしもそうではない」とし、「3Dやネットワークなどをつなげ、全体を付加価値として提案したい。テレビは家庭の中心にある。全体の戦略の中の大きな要素としてテレビを位置づけている」と述べた。

そのほかコンパクトデジカメは前年度の2,100万台から10年度は2,400万台へ、PCは680万台から870万台へと、ともに2桁以上成長した。反面、ビデオカメラは520万台で、前年度の530万台から減少した。

コンスーマー/プロフェッショナル&デバイス部門の営業利益の増減要因

■PS3のコスト改善でゲーム事業の利益が大きく伸長

またPC“VAIO”やゲーム事業などを抱えるネットワークプロダクツ&サービス部門も、売上げは1兆5,793億円と、わずかながら増収を記録。営業利益も前年度の833億円の赤字から356億円の黒字へと、大幅に損益が持ち直した。

ゲーム事業の売上高は前年度比5%減の7,980億円で、営業損益は465億円の黒字。利益が大きく増えたのは、PS3のハード製造コストが大幅に改善したことに加え、グランツーリスモ5などヒットタイトルが多く生まれたことによるソフトの販売台数増、またPS Moveなどの販売増などが寄与したという。

PS3の2010年度の売上げ台数は1,430万台で、前年度の1,300万台から増加。PS3用ソフト販売も大きく成長し、前年度の1億1,560万本から10年度は1億4,790万本に増えた。

加藤氏は今後のゲーム事業の収益安定化見通しについて「過去数年の赤字の要因は、PS3プラットフォームに、技術的に大きなものを投入したことが原因。売値とコストの乖離が大きく、過去数年に渉って大きな損失を計上した」と、これまで赤字体質が続いた背景をあらためて説明した。

また加藤氏はゲーム機開発に関する考え方が変化したことにも言及。「PS3のときは最先端の半導体を製造するため、自社でファブを持った。当時は自社で作る必要があったからだが、いまは状況がかなり違う」とし、「たとえばNGPなどを例に取ると、ファウンダリーもかなり充実しているし、チップセットも“アリもの”の技術をうまく組み合わせながら、私どもの工夫を加えることで製品の魅力を上げる」と説明。

さらに加藤氏は「今後は初期投資に大きな金額を突っ込むということは考えていない。ゲームはソフトビジネスなので、プラットフォームを盛り上げていくことを第一に考える。それができれば収益は安定するかな、と考えている」と、ゲーム機開発の方向性を示唆した。

ネットワークプロダクツ&サービス部門の営業利益増減要因

■PSN/Qriocityの全面復旧は5月中に

PlayStation Network(PSN)とQriocityへの不正アクセス問題について加藤氏は「ご心配とご不便をおかけしている。セキュリティを強化し、できるだけ安心してお使いいただけるようにするという一点に尽きる」としながらも、「ネットワーク事業が今後の収益の柱の一つになるという位置づけは、一切変えるつもりはない」と述べた。

ギリシャやカナダでも、ソニーグループが保有している個人情報が流出しているが、これについて加藤氏は「SOEやSNEなどのシステムとは異なるシステムへのハッキング行為で、抱えている情報や規模感は違い、一概に一つのものとして考えることはできない」と説明した。

神戸SVPも不正アクセスについて言及。「ネットワークへのシフトが強まる中、ハッカーとの向き合い方、社会全体の仕組みなどについても、中長期的には議論していきたい。ただし今できるのは安全対策をきっちりやるということ。何か起こったら速やかにアクションを起こし、それを継続して行うということだ」とした。

同社が2011年度に不正アクセスへの対策費として想定しているのは140億円。これには個人情報の盗難対策プログラム費用やセキュリティの強化費用、カスタマーサポート費用、ユーザーへのフリーソフト提供費用などが含まれている。また法務系や調査系の費用も含んでいるが、法務系費用には、今後損害賠償が発生した場合などの費用等は含まれていない。

なおPSNとQriocityについては、現在欧米で一部サービスが再開しているが、日本ではサービスが停止したままになっている。もともと同社は、5月中に全サービスを再開するとアナウンスしていたが、神戸氏は「5月中にすべてのサービスを再開したいという目標は変えておらず、日本などでも部分再開を近日中に行う」と明言。「欧米では全面再開に向けたチェックを行っている。何とか5月中に全面再開したいと考えており、遅れたとしても数日になる」と、全面再開が近いことを強調した。

■2011年度は増収、営業利益は横這いと予想


2011年度の連結業績見通し
同社は2011年度の業績見通しも発表。売上げは7兆5,000億円と、10年度比4.4%増を予想。営業利益は2,000億円で10年度並みと予想している。

2011年度のコンシューマー向け機器の売上げ見込みは、液晶テレビが2,700万台とさらに増えると予想。ビデオカメラは500万台と引き続き減少を見込み、コンデジも2,400万台と10年度並みを想定している。

一方でPCは1,000万台の売上げを見込み、11年度も2桁以上の成長を遂げると予想。PS3についても、売上げ台数1,500万台と10年度以上を見込んでいる。ただしゲーム事業は大幅な減益を予想。PSN/Qriocityの不正アクセスに対して140億円の費用がかかるほか、12年目に入るPS2、7年目になるPSPの各プラットフォームの収益が減ることも想定した結果という。

東日本大震災の影響については、売上高で約4,400億円、営業利益で約1,500億円が減少する影響があると予測。加藤CFOは「2011年度の震災による影響はかなり大きいと現時点では見ている。その結果、売上げは前年比増収を見込むが、営業利益は横這いになりそうだ。2012年度の目標に掲げている5%の営業利益達成に向けては厳しいが、震災は既に起きたことであり、現在の状況の中で努力していく」と述べた。

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