公開日 2018/03/16 16:02

“震えるドライバー”で低域を「体感」、スカルキャンディー「CRUSHER WIRELSS」開発者インタビュー

<Skullcandy独占本社取材第2弾>
折原 一也
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■低域を「体験」するスカルキャンディーの代表モデル「CRUSHER WIRELESS」

米国でトップクラスのヘッドホンブランド「スカルキャンディー」の代表的モデルである「CRUSHER WIRELESS」は、最大の特長である“震えるドライバー”の搭載をはじめ、「Stereo Haptic Bass」により超低域のステレオ再生も実現した。さらに40時間の長時間バッテリーや、スタイリッシュなデザインと高級感のあるレザーを使用したイヤーパッドなど、ワイヤレスヘッドホンとしての高い作り込みで、多数のファンに愛されている。

10代、20代の若い世代から熱狂的な支持を得ている、スカルキャンディーの最上位モデル「CRUSHER WIRELESS」

CRUSHER WIRELESSは、スカルキャンディーが掲げるサウンドコンセプトを実現すべく誕生した。VP of Product Developmentのジム・ハチン氏は「CRUSHER WIRELESSは、コンサートで味わえる臨場感豊かなベースサウンドを、聴くだけでなく体験できるヘッドホンとして開発されました。身体に響く低域再現を徹底的に追求したのです。低域にはステレオの概念があまりないのですが、楽曲によってはLchからRchへと移動する低音も含まれています。Stereo Haptic Bassを新搭載することで、低域の左右の移動感も表現可能にしたヘッドホンなのです」と語ってくれた。ライブや野外フェスに足繁く通う若い世代がスカルキャンディーを熱狂的に支持する答えが、CRUSHER WIRELESS のサウンドコンセプトにあった。

■“震えるドライバー”を用いた絶妙なチューニング

CRUSHER WIRELSSのサウンドを作り上げるのに欠かせないキーテクノロジーが、“震えるドライバー”だ。

「CRUSHER WIRELESSには、音を再生する2基のドライバーと、振動板を動かすための2基のドライバー、全4基のドライバーを搭載しています。振動板を動かすドライバーには、“サーキュラービーイングスプリング”と呼ばれる機構を採用したドライバーによって、低域の振動を実現したのです」と、ハチン氏はドライバーが震える秘密を語ってくれた。

音を鳴らす振動板自体を動かすため、“サーキュラービーイングスプリング”と呼ばれるバネとマグネットによる構成のドライバーが追加されている

プレーヤー側からの音声信号は、通常のドライバーユニットへと伝わっていき、同時に振動板を震わすドライバーにも音声信号が入り、ネットワーク回路を通して0〜200Hzの周波数帯域に対してマグネットとスプリングスが反応し、55Hzの“ビート”として表現される仕組みになっている。他のヘッドホンと比較して、倍のドライバー構造になっているが、これを開発するだけでなく、ポータブルヘッドホンの中に組み込める点にも技術力の高さが垣間見える。

また、振動板を動かすため、サウンドバランスが崩れてしまうことも懸念されるのだが、何度もリスニングテストを行うことで、絶妙なバランスのチューニングを成し得ており、音質に対しての信頼度も非常に高い。どこの国でも、CRUSHER WIRELESSを一聴すると“WOW”と驚きの声を上げると言うが、開発の裏側を聞くと、さらにサウンドへの驚きが増すばかりだ。

CRUSHER WIRELESSは、高域や中域はフラットな特性になっているが、低域のビートをしっかり再現するため、スカルキャンディーならではの低域特性を理想として音作りが成されている

CRUSHER WIRELESSは、スカルキャンディーのラインナップの中でトップに位置するモデルだが、その上質さは外観だけでもわかる。デザイナーのエリン氏は「CRUSHER WIRELESSには、最上位モデルとして、ユーザーに持つ喜び、そして最先端であることを訴えかけるデザインを施しています。さらにサウンドコンセプトにも合わせ、パワフルさと音の強さも自然と伝わるようにしているのです」と、デザインに込められたコンセプトを語ってくれた。

ヘッドホンだけでなく、車や時計などのカテゴリーにおいて、リーダー的存在のブランドの取り組みも研究し、そこからさらにスカルキャンディーらしさを打ち出すべく、数多くのディスカッションを行った賜物なのだ。CRUSHER WIRELESSが、ヘッドホンの傑作としてファンに語られる理由が、開発陣の声によって明らかになった。

次ページCRUSHER WIRELESSの開発に携わった2人へインタビュー

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX